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令和2年度 第1回 公共交通機関のバリアフリー基準等に関する検討会

2020年06月11日 バリアフリー

 6月10日(水)、第1回 公共交通機関のバリアフリー基準等に関する検討会が開催されました。今回は新型コロナウィルスの感染予防の観点からウェブ会議形式で行われました。

今回の主な議題は下記の通りです。

(1)「公共交通機関のバリアフリー基準等に関する検討会」の設置について
(2)公共交通事業者等のソフト基準適合義務の創設等について
(3)新幹線の新たなバリアフリー対策について
(4)視覚障害者のエスカレーター利用のための誘導案内方法について
(5)その他


(1)「公共交通機関のバリアフリー基準等に関する検討会」の設置について

 本検討会は、本年5月に成立した「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律(以下、改正バリアフリー法)」を受けて交通バリアフリー基準及びガイドラインの見直しが必要となったことから、社会情勢の変化や技術向上等に合わせた内容となるよう議論を行う場として設置されました。

 令和 2 年度においては、①役務の提供の方法に関する基準(ソフト基準)等、②新幹線の新たなバリアフリー対策、③視覚障害者のエスカレーター利用のための誘導案内方法について検討を行うこととしています。

検討会は年4回開催され、構成員は学識経験者、障害者団体、交通事業者団体等、行政機関等の実務者、事務局は国土交通省総合政策局安心生活政策課、(株)サンビームが行っています。

(2)公共交通事業者等のソフト基準適合義務の創設等について

 改正バリアフリー法において、公共交通機関において整備された旅客施設及び車両等を使用した役務の提供の方法に関する基準(ソフト基準)への遵守義務が創設されました。

また、移動等円滑化に係る「心のバリアフリー」を推進する観点から、鉄道車両等における優先席等の高齢者障害者等用施設等における適正利用について広報活動及び啓発活動を行う努力義務が課されることを踏まえ、その前提として、優先席のハード基準について検討が必要となっています。

 DPIからは、UDタクシーのドライバーが研修を受けても時間が経つと忘れてしまうことから、実車を用いた研修を年に複数回実施し、全てのドライバーに年2回以上の受講を義務づけて頂きたい。研修には社会モデルを学ぶこと、障害当事者を講師とした研修を行うこと。電車の優先席等の適切な利用の推進については、駅員からの声掛けを積極的に行って頂きたい、といったことを伝えました。

 学識経験者からは、心のバリアフリーは利用者のマナーや思いやりではない。障害の社会モデルを理解し、UD2020行動計画の内容に準拠したものにして頂きたい。ソフト対策はハード対策と両輪で進めていかなければならない。等の意見が出ていました。

(3)新幹線の新たなバリアフリー対策について

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、新幹線のバリアフリー対策を抜本的に見直し、世界最高水準のバリアフリー環境を有する高速鉄道を実現するための「新幹線のバリアフリー対策検討会」の下に設けるWG(ワーキンググループ)において、「障害のある方が一 般の方と同様にグループで快適に乗車できるよう「車椅子用フリースペース」(仮称)を一般客室の窓際に設ける」との方針(R2.3 中間とりまとめ)を踏まえ、基準等の改正に向けて具体的な検討が行われています。

中間とりまとめでは、車いす利用者でも車窓を楽しめること。通路の通行を阻害しないこと。グループで利用できること。車椅子使用者の移乗用席、介助者用席、同伴者用席が近くに配置されていること。を要件としています。

 多目的室について障害者団体からは、授乳のために利用する方もいるためなかなか使えないといった声もありました。今後新たに導入されるN700Sの車両には多目的室の他に授乳室も設置される他、空席情報や予約システムを検討していくとのことでした。

 聴覚障害者、自閉症、外国人等、音声や文字でのやり取りが難しい方からは絵や記号でもわかるような案内方法も検討して頂きたいといった意見が出ていました。

(4)視覚障害者のエスカレーター利用のための誘導案内方法について

 平成28年度及び29年度に「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準等検討委員会」を設置し、学識経験者、高齢者、障害者等関係団体、事業者団体等の参画を得て、移動等円滑化基準の改正内容、ガイドラインの改訂について検討が行われました。

この検討の中では、技術が開発途上であることや十分に普及していないこと、有効性が確実に証明されているわけではないこと等の理由により、視覚障害者がエスカレーターを利用できるようにするための誘導案内方法について検討課題とされました。

 障害者団体や学識経験者からは、視覚障害者の他、歩行訓練士や移動支援をしている人等、日ごろから現場をよく知っている当事者を入れた現場実証を行う必要があるといった意見が出ていました。

 また、大きなターミナル駅では音声案内が複数のホームで流れているため音が重なってしまい聞き取りづらいといった問題をあげ、音声案内についても検討して頂きたいという意見がありました。

 今回の検討会では様々な障害種別の当事者や学識経験者が数十名参加しており、それぞれの立場からの課題や提案が出ていたのが印象的でした。私自身も、普段は車いす利用者としての視点で考えていますが、他の障害種別の意見を聞くことで発見も多く、改めて様々な障害当事者が参加することの重要性を感じました。

 本検討会の議事録は後日国土交通省のウェブページにて公開される予定です。また、第2回の検討会は9月頃を予定しています。

(バリアフリー部会 工藤登志子)

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