DPIビジョン2030 中間振り返り―これまでの成果と2030年に向けた今後の行動計画
2026年08月27日 地域生活バリアフリー権利擁護インクルーシブ教育雇用労働、所得保障障害女性国際/海外活動障害者権利条約の完全実施

「DPIビジョン2030」は、各分野(地域生活、アクセシビリティ、権利擁護、教育、雇用労働、所得保障、障害女性、国際、優生思想、尊厳生)の取り組みについて、2030年までに実現したい社会の姿と、その実現に向けた中長期の行動計画をまとめたものです。
策定から5年が経過した今回、2025年までの行動計画について、これまでの取り組みや成果、残された課題を中間的に振り返るとともに、この間の社会情勢や制度の変化を踏まえ、2030年までに達成したい目標と行動計画の見直しを行いました。
この5年間、私たちを取り巻く社会は大きく変化してきました。新型コロナウイルス感染症の拡大、急速なテクノロジーの進展、政治・経済状況や人々の生活の変化など、障害者を取り巻く環境も大きく変わっています。一方で、地域での暮らし、教育、雇用、情報・移動のアクセシビリティなど、障害者の権利をめぐって、今なお多くの課題が残されています。
また、2016年の相模原障害者殺傷事件であらわになった優生思想は、決して過去のものではありません。命や人の価値に優劣をつける考え方に向き合い、すべての人の尊厳と権利が等しく保障される社会を実現することは、引き続き私たちにとって重要な課題です。
2030年まで、残された時間は限られています。これまでの成果をさらに前進させるとともに、十分に取り組むことのできなかった課題についても改めて向き合い、障害当事者をはじめとする多くの人たちと連帯しながら、行動を続けていきます。
このビジョンを実現するためには、みなさんの力が必要です。私たちの活動へのご理解と応援を、どうぞよろしくお願いいたします。
「すべての人が希望と尊厳をもって、ともに育ち、学び、働き、暮らせるインクルーシブな社会を創る」ために。
クリックすると各分野に移動します
1.地域生活部会

1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標 1「シームレスな PA 制度の確立」は、重度訪問介護の利用範囲拡大について、法改正や報酬改定の検討の際のヒアリング等の機会をとらえて要望活動を行ったものの、告示 523 号の改正による通勤・通学、就労・就学中の利用拡大や障害児への対象拡大には至らなかったが、大きな成果を上げることができた。それは、従来認められてこなかった長期間にわたる海外滞在中の重度訪問介護利用に関する課題であり、加盟団体と協力をして自治体や厚労省へ働きかけた結果、1 年未満であれば重度訪問介護を継続利用できるとする事務連絡を発出させることができた。
目標 2「脱施設の制度化」では、国連総括所見の中で真っ先に取り組むべき課題として指摘をされ、脱施設・地域移行に向けた効果的な勧告を引き出すことができた。地域移行をテーマにした助成事業を活用した政策提言活動を行うとともに、各種調査研究や検討会への参加を通じ、脱施設化に向けた意見提起を行っているが、現状、抜本的な脱施設の制度化には至っていない。その一方で、障害者総合支援法の改正、その後の報酬改定において、共同要望を出すなど関係団体と連携した取り組みにより、地域生活支援拠点の法定化とその機能強化が図られ、地域移行を進めるための拠点コーディネーターの配置など、加算の仕組みが設けられるなどの前進があった。
目標 3「障害者・児の介護職が求職人気 No.1 に!」では、介助職の魅力発信や社会的意義の周知の一環として、医療と介護は必要なインフラで、持続可能な公共事業かつ成長産業であるという視点からその重要性を訴えた。具体的な介助人材確保策やそのための国際的な人材育成の仕組みづくりについては、全体としては課題認識を共有するにとどまっているものの、一部地域での実践は進められている。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
- シームレスな PA 制度の確立:重度訪問介護を年齢や障害種別、利用目的や場面を問わず活用できるよう法改正・告示改正を実現。障害者基本法第 14 条を「地域生活支援」に改正し、「可能な限り」を削除。
- 脱施設の制度化:脱施設・地域基盤整備を法制度化し、どんな障害であっても施設ではなく地域で暮らせる環境をつくる。施設職員の地域生活支援者への転換、インセンティブ策導入など包括的で中長期的な脱施設に向けた戦略を確立。この実現に向けた取り組みとして脱施設の地域モデルの創設、脱施設に向けた全国キャラバンなどを実施する。
- 介護職の魅力と人材確保:国内外での介助者育成スキームを構築し、介護職が安定的に確保される体制を整備。また、報酬改定時における訪問系サービスの報酬単価引き上げなどにも取り組む。
- 制度の谷間の解消:障害者基本法・総合支援法の定義見直しにより、障害者手帳の有無や種類にかかわらず支援を受けられる仕組みを確立し、機能障害による利用制限を撤廃。障害者手帳制度を社会モデル・人権モデルへ転換。
2.バリアフリー部会

1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標1 障害者の移動の権利と環境整備の推進を法制度に確立する
- 障害者基本法とバリアフリー法の改正は実現できていない。
- 手話言語法は、2025 年に手話施策推進法が策定された。
目標2 建物のバリアフリー整備を義務化し、誰もが利用できるバリアフリー整備を推進する
- 2025 年 6 月から、劇場等の車いす用席は総席数の 0.5%以上、バリアフリートイレは概ね各階に 1 以上、車いす使用者駐車場は 200 台以下で 2%以上、200 台超で1%+2 台以上が義務化された。また、2026 年 1 月から劇場等の車いす用席のサイトラインの確保の検討状況を建築確認申請書で記載することになるなど大きな進展があった。
- 店舗のバリアフリー化については、2021 年 3 月に小規模店舗のバリアフリーガイドラインを策定し、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(以下「建築設計標準」という。)を改正し、加えられた。また、2025 年度からは義務基準の策定に向けて、国交省が検討を開始した。
- 学校のバリアフリー化については、2020 年に文科省が 2025 年までの整備目標を策定したが、目標を達成することが難しい状況である。2025 年度末の見込みでは、バリアフリートイレが校舎 77.2%、屋内運動場 51.3%、エレベーターが校舎 32.9%、屋内運動場が 72.4%である。これを踏まえて、2025 年に「学校施設バリアフリー化推進指針」を改訂し、2026 年から 2030 年までの新たな整備目標を策定し、早期に達成することを目指し 2025 年 8 月に「学校施設におけるバリアフリー化の一層の推進について(通知)」を発出した。
- 共同住宅のバリアフリー化については、2024 年 6 月に「地域で自立して居住することを目指して-障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブック-」が策定された。
- ホテルのバリアフリー化については国レベルでは進捗はないが、東京都では建築物バリアフリー条例を改正し、一般客室のユニバーサルデザイン化を義務付けた。
- 歴史的建造物のバリアフリー化については、バリアフリー法での整備義務化はできていないが、名古屋城天守閣木造復元事業は、地元団体の尽力で実質的に計画を止めている。
- 当事者の意見反映については、2025 年に国交省が「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を策定した。当事者参画を全国に広げるために、日本福祉のまちづくり学会、建築士会連合会等と協力して、人材育成のセミナー、相談体制の構築に向けて取り組んでいる。
目標3 全ての公共交通機関を誰もが快適に利用できるバリアフリー整備を実現する
- ノンステップバスについては、第4次基本方針の 2030 年度末目標を 90%に引き上げ、空港アクセスバスにおいては、「指定空港へアクセスするバス路線の運行系統の総数の約 60%について、バリアフリー化した車両を運行する」と盛り込むことができた。
- UD タクシーについては、2019 年、2023 年、2024 年、2025 年と全国一斉行動!UD タクシー乗車運動を実施し、実態把握に努めてきた。調査結果を元に国交省に働きかけ、障害を理由とした乗車拒否はしてはいけないという事務連絡を毎回発出している。
- 鉄道については、新幹線は 2021 年に、特急は 2022 年にバリアフリー整備の新基準を策定することができ、続々と新型車両が導入されている。駅無人化については、2022 年に「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドライン」を策定した。ローカル路線での鉄道乗務員による携帯スロープを使った車いすの乗降介助は JR5 社で実施され、着実に広がっている。第4次基本方針に、新たにホームの段差と隙間の解消の目標値(4000 番線)、ホームドアの設置(4000 番線)を盛り込むことができた。
- 航空機については、2024 年に目視によるバッテリーチェックは必須ではないという事務連絡が発出され、さらに、保安検査場と搭乗ゲートでのバッテリーチェックの簡略化が実現した。また、JAXA と協力し航空機のバリアフリートイレ「メタモルフィック・ラバトリー」が出来、導入に向けて国会に働きかけている。
- 2024年に羽田空港で起きた日航機事故をきっかけに、国交省に障害者の緊急避難について航空事業者との意見交換を要請し、視察や意見交換会が実現した。
- 地方のバリアフリー整備については、2022 年度から鉄道駅バリアフリー料金制度が導入され、都市部の事業者に出していた補助金が地方の事業者に回せる仕組みが実現した。
目標4 誰一人取り残されないよう、情報コミュニケーション保障に関する環境整備を推進する
- 2025 年に手話施策推進法が策定された。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
- 目標4項目の変更はなし。
- 小規模店舗のバリアフリーは、ようやく義務基準の策定に向けて国交省が動き出した。強力に働きかけ、なんとしても義務化を実現したい。
- 当事者参画については、加盟団体に呼びかけて地元での建築プロジェクトへの当事者参画をすすめ、関係団体とも連携して全国で推進していく。
3.権利擁護部会

1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標1 障害者差別解消法の改正
- 法改正は 2021 年に実現し、民間も合理的配慮の提供が義務化され、2024 年 4 月から施行されている。
- 法改正に向けて差別事例を収集し、事例に基づいて意見書を作成し、基本方針の策定時に内閣府障害者政策委員会に提出して働きかけた。中央省庁の対応要領・対応指針の改定においても、事例を省庁ごとに分類し、働きかけを行い多くの項目が盛り込まれた。
- 相談の迷子問題を解決するために、内閣府に障害者差別の相談窓口の開設を働きかけ、「つなぐ窓口」が創設された。当初は試行事業だったが、本事業化するために、与野党の議員を招いて院内集会を実施した。
- 運用状況のチェックについては、サッカー観戦チケット応募への車いすユーザーの排除、ポケパークの車いす使用を理由とした入場拒否、コンサートでの介助者の同伴を認めない等の障害者差別解消法に該当する差別問題が起きた時は、随時中央省庁の担当窓口に申し入れ、改善を働きかけてきた。
目標2 障害者基本法の改正
- 法改正は実現していないが、内閣府障害者政策委員会で障害者基本法改正について繰り返し発言し、働きかけを続けている。
- JDF 政策委員会で他団体とともに試案を策定した。また、DPI としても独自に 10 項目を選定し、ロビー活動も行った。
目標3 障害者虐待防止法の改正
- 法改正は実現していないが、DPI 全国集会や政策討論集会で精神科病院の強制入院・長期入院問題や、滝山病院事件について分科会を開催した。
目標4 障害者地域生活基盤整備法(仮)の制定
- 法制定は実現していないが、脱施設を厚労省に働きかけ、「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」が立ち上がり、構成員として働きかけを続けている。
- 2024 年から他団体と連携し、脱施設 PT を立ち上げ、院内集会や勉強会、映画上映会、ロードマップづくりを継続して実施している。
目標5 障害者基本法、差別解消法、虐待防止法の 3 年後見直し規定による法律見直し
- 障害者差別解消法の改正は実現し、基本法と虐待防止法の改正は実現していない。
- 虐待防止法の改正については、精神科病院と学校も通報義務に加えることを要請したが、精神科病院については精神保健福祉法が改正され、精神保健福祉法で虐待通報が義務化された。
目標 6 当事者を中心に運営される相談監視機関を全国に設置
- 実現していないが、パリ条約に基づく独立した人権機関の設立については、日弁連と連携し、国会議員にロビー活動を行った。
目標7 成年後見制度の廃止を含めた抜本的な制度の見直しを行い、自己決定支援制度の確立
- 成年後見制度の見直しは 2025 年に取り組まれている。公開学習会を実施し、法務省のヒアリングにも参加し、意見書を提出した。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
- 目標と行動計画については変更無し。
- さらに取り組みたいことは、改正障害者差別解消法の運用状況を監視するために、2026 年度には法改正以降の差別事例を収集し、意見書にまとめ、政府に働きかけを行う。これを定期的に実施していきたい。
4.教育部会

1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標1.障害者基本法 16 条「教育」を改正し、インクルーシブ教育(手話を言語とする教育の確立を含む)を推進する
目標2.特別支援学校と普通学校における就学奨励費の格差是正を実現する
障害者基本法改正について DPI 全体として働きかけを進め、JDF の中でも議論を重ねているが、文科省と具体的な変更内容等の話はできていない。また、就学奨励費の格差是正についても大きな改善は見られず、今後も関係団体と連携し事例を集約するなどの必要がある。
これらの課題に対して、
- 文科省へ要望書の手交~大臣・政務官等および課題担当課との意見交換(ほぼ毎年)
- 長年の関係がある教育関係団体と連携した働きかけ
などを行った。
また 2022 年4月に文部科学省から出された通知(特別支援学級籍の児童生徒の学びに関するもの)についても、特化した要望書の提出と話し合いの場を持つなど、インクルーシブ教育が後退しないよう働きかけを続けたが、文科省の頑なな姿勢を崩すことはできていない。
権利条約の勧告も踏まえ継続して取り組みを進めていく。
目標3.改正バリアフリー法を活用し、通常学校のバリアフリー化を進める
- 学校バリアフリーに関して学習会等を開催し、研究者との関係を新規に構築
- 相談事案等についての協力 ~ いくつかの地域・学校で、Ev の設置等を実現
- 文科省への働きかけ(学校施設のBF化の推進に関する検討部会への委員参加等)~5年間の緊急整備が充分でないことを踏まえ、2030 年度まで5年の整備期間延長と、その推進のための制度(計画策定や、当事者参画)を策定させることができた。
目標4.学校教育法施行令 5 条を改正し、地域の通常学級への就学を原則とし、学籍一元化を実現する
目標5.学校教育法を改正し、特別支援教育の目的規定を社会モデル的な規定へ改正する
学校教育法・施行令の改正等には至っていない。
これらの大きな変革の課題に対して、
- 東京大学大学院教育研究科と「教育事業に関する協定書」を締結(2023 年)。「自治体への働きかけ」「地域自立・インクルーシブを踏まえた介護実習等による東大学生への単位取得講座」「各種学習会等」における協働
- 自治体教育委員会の公式研修にインクルーシブ教育を伝える研修の実施・講師派遣
- 「インクルーシブ教育推進フォーラム」において、インクルーシブ教育が進む、アメリカ、カナダ、イタリアの教育制度・実態の学習
- 海外事例を学ぶための「海外ゲスト」を呼んでのシンポジウム等(2026 年1月)
- 不登校や外国にルーツを持つ子どもを支援する団体と連携し、要望書提出・記者会見などの共同行動
- 障害者・児を支援する市民団体との協働の拡充
など、最終的に法改正を目標とした取り組みを全般的に進めてきた。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
目標1~5は、継続して実現をめざしていく。4・5をはじめ法令改正に関連する目標なので、2025 年 12 月に日弁連が出した「ともに学び・育つインクルーシブ教育及びともに生きるインクルーシブ社会の実現を求める決議」を踏まえ、ロードマップの作成などより関係団体との連携・共働を進化させていきたい。
追加:目標6.2026 年の「学習指導要領」改訂時に「社会モデル」「子どもの意見表明権」「優生保護法の猛省とインクルーシブ教育の必要性」を入れ、また「障害の克服・軽減」という考えの記述を削除する
5.雇用労働・所得保障部会
雇用労働

あらゆる差別とハラスメントを解消し、合理的配慮を得て、障害者も共にいきいきと働くことができる労働環境を実現する
1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標 1「インクルーシブ雇用政策への当事者参画の強化」では、インクルーシブ雇用議連に参画し、国会議員や関係省庁との意見交換を継続してきた。雇用労働部会では、差別禁止と合理的配慮の確保、労働と福祉の連携、持続可能な財源確保を柱に提起を重ね、政策議論に当事者の視点を反映させてきた点は成果である。一方、障害者雇用促進法附帯決議で示された合理的配慮の拡充や支援メニュー見直し等は、制度改正や運用改善として十分に実現したとは言い難い。通勤・就労時の介助保障については、重度障害者等就労支援特別事業が実施されることになったが、課題は残されており、その改善が必要である。
目標 2「社会的発信と政策提言の強化」では、DPI 全国集会等で雇用・労働分野を主要テーマとし、国連障害者権利委員会審査を見据えた制度分析と意見形成を行った。ただし、障害者雇用・労働フォーラムの継続開催が十分にできなかった。
目標 3「SDGs・ビジネスと人権との接続」では、国際連合が主催する HLPF(ハイレベル政治フォーラム)関連イベントや国連本部で発言し、「誰一人取り残さない」という理念を障害者雇用の文脈で具体化した。また、BHRC(ビジネスと人権市民社会プラットフォーム)の唯一の障害当事者の幹事団体として活動し、国連ビジネスと人権作業部会の日本訪問ヒアリングに参加するなど、企業活動と人権の議論に障害当事者の意見を反映した。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
(1)一般就労分野
障害者雇用促進法に基づき、障害に基づく差別の禁止と必要な合理的配慮を保障する法制度と納付金ではなく持続可能な安定的財源を確保する。通勤・就労時の介助については、重度訪問介護等の障害福祉サービスと雇用施策を円滑に併用できる仕組みを実現する。支援メニューの年限撤廃と運用改善、雇用率算定対象の拡大、差別・ハラスメントに関する第三者相談・紛争解決機関の実効性向上、除外率制度の撤廃を目指す。また、障害者雇用に関する支援制度の対象外である公務部門においても、障害者が安定して働き続けられるよう法制度の改正を目指す。
(2)福祉的就労分野
就労継続支援 A 型における利用者負担の廃止を実現する。また、障害者優先調達推進法の実効性を高め、国・自治体による調達目標の確実な達成と拡充を図ることにより、就労系事業所の安定的な受注機会と工賃・賃金の向上を実現する。
(3)誰一人取り残さない雇用施策への転換
既存の雇用形態にとらわれず、多様な障害特性や属性及び働き方のニーズを前提とした包摂的な施策への転換を目指す。また、社会的雇用を含む新たな労働形態を制度上明確に位置づける。さらに、雇用代行ビジネスが生まれ利用される背景を是正する観点からも、国連障害者権利条約第 27 条および障害者権利委員会の総括所見を踏まえ、雇用率達成にとどまらず、障害者本人のディセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現、合理的配慮の提供及び能力発揮が確保されるインクルーシブな職場となるよう制度の見直しを目指す。
6.所得保障

1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標 1「無年金障害者の解消と公的年金制度の見直し」では、当事者の生活実態に基づく問題提起を行い、制度改善を求めてきた。1 型糖尿病障害基礎年金訴訟では、傍聴行動や支援活動を通じて当事者の裁判闘争を支え、最終的に勝訴に至ったことは大きな成果である。これにより無年金障害者問題を社会的に可視化できたが、制度改正には至っていない。
目標 2「生活保護基準の改善と最低生活保障の確立」では、生活保護基準引き下げ訴訟をめぐっては学習会を開催のみに留まり、関係団体と連携した支援行動は不十分であったが、最高裁では国の判断が違法とされた。しかし、現在、引き下げ分の遡及返還手続きなど制度運用上の課題が残されている。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
目標 1「無年金障害者の解消と公的年金制度の抜本的見直し」では、無年金障害者を解消するため、公的年金制度の受給要件を見直すとともに社会モデルの視点に基づく制度改正の実現を目指す。また、特別障害者給付金については所得制限の撤廃および支給水準の引き上げを行い、障害基礎年金との統合等により格差是正を求める。さらに、特別障害者手当の受給要件を見直すとともに、新たな「(仮称)地域生活手当」を創設し、地域生活を安定的に支える所得保障の確立を目指す。
目標 2「最低生活保障の確立と生活保護制度の改善」では、違憲とされた生活保護基準額の遡及返還を確実に実現するとともに、障害者の生活を踏まえた「健康で文化的な生活」を保障できる水準への改善を求める。また、制度運用については、当事者に分かりやすく確実に権利が保障される仕組みの構築を目指す。
7.障害女性部会

1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標1.障害者差別解消法の改正及び障害者基本法の改正に向けて
障害者政策委員会が開催される毎に、DPI 女性障害者ネットワークのメンバーと協力して、障害者政策委員への個別の情報提供や働きかけを行った。その結果、障害者政策委員の障害女性の課題や複合差別についての意識向上を図ることができ、多くの委員が委員会で発言し、指摘するに至った。
目標2.複合差別、実態調査、差別解消窓口の当事者参画、職員研修を明記
改正障害者差別解消法には盛り込まれなかったが、基本方針に盛り込むことができた。さらに同法の次期改正や障害者基本法改正に向けて、引き続き、条文に複合差別が明記され、より具体的な実態調査、差別解消窓口への当事者参画、職員への研修が明記されるように引き続き働きかける必要がある。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
目標3.障害者基本法を改正し、障害女性の複合差別解消について明記させる
- 障害者基本法改正の実現を尚一層働きかけ、複合差別の明文化を実現させる。
- 複合差別院内集会を 2026 年もしくは 2027 年の適切な時期に開催する。初回は複合差別の実態や現状の課題など、総論的な集会にし、複合差別の問題の主流化の土壌を創る。その後、統計、性的被害、介助など、テーマ別に開催していく。その活動を通して、複合差別の問題を正しく理解する人(とりわけ障害女性自身)が増えていくように働きかける。
目標4.障害女性のエンパワメントとネットワーク化を図る
女性ネットとの連携により研修等へ協力し、障害女性の交流を深めてメインストリーム化を促進する。
複合差別を理解する障害女性を増やすため、系統的な研修を行い、エンパワメントを促進する。全国から研修生を募り、研修を実施し、参加した女性たちはそれぞれの場でさらに多くの障害女性を力づける。
目標5.保健福祉、防災、ジェンダー等の審議会への障害女性の委員としての参画推進を働きかける
- 改正障害者差別解消法の次期改正や障害者基本法改正に向けて、引き続き、条文に複合差別が明記され、より具体的な実態調査や差別解消窓口への当事者参画、職員への研修が明記されるように戦略的に働きかける。
- 国、都道府県および市町村の医療・保健・福祉従事者に対しての啓発、研修の講師として障害女性を推挙していく。また、国・都道府県および市町村に設置された保健福祉、防災およびジェンダー等に関する審議会の委員に多くの障害女性が参画できるよう障害女性、行政に働きかける。とくに内閣府障害者政策委員会の中の障害者委員の半数が女性となるよう働きかける。(現状は 33%)
- 具体的な取り組みとして、目標3の学習会や研修に参加し、エンパワーされた全国各地の障害女性たちに研修講師となってもらう他、自治体の保健福祉、防災、ジェンダー(男女共同参画)等の審議会に委員として参画するよう働きかけ、継続的に支援していく。
目標6.障害女性と運動史に関する聞き取りプロジェクト
障害女性(特に高齢の方々)の体験や運動との係りを継承し、後世に伝えていくために、聞き取りプロジェクトを開始する。2026 年 1 月に助成金を申請。聞き取りにあたっては、できる限り若手の障害女性も聞き取り手として参画し、先輩障害女性の経験を実際に聞くことで若手のエンパワメントを実現する。聞き取り後は報告書や書籍などにして、広く障害者運動の中で共有していく。(2026 年から約2年間)
目標7.障害女性の複合差別に関する国際シンポジウムを開催、国際的なネットワーク強化
障害女性の国際的なネットワーク強化のために、アジアや欧米の障害女性や学識経験者と議論・交流する。オンラインでの開催も検討する。
8.国際部会

1.2025 年までの目標行動計画に対する評価と達成に向けて行った主な活動
目標1 政府のアクションプラン2021の内容が、障害者の権利を尊重したものとする
- 政府のアクションプラン2023までは、『SDGs実施指針』の8分野の一つ①あらゆる人々の活躍の推進に、障害が含まれた。実施指針の改定や VNR に向けても市民社会ネットワークの一ユニットとして提言活動を行い、障害への取り組みを明記させた。
- 国連本部で開催された、「国連ハイレベル政治フォーラム(High-Level Political Forum on Sustainable Development:HLPF)」に DPI 日本会議から参加し、国際的な場で当事者の声を発信することができた。
目標2 DPI アジア太平洋ブロック事務所として、ブロック団体や活動の強化に寄与する
- DPI アジア太平洋ブロック評議会副議長として平野議長を送った。
- Dee Dee Consulting を通して DPI アジア太平洋ブロック、世界 DPI の活動へのコンサルテーションを行った。
- 平野議長は韓国の李議長に政策提言を行うなど活動に協力した。
目標3 アフリカの障害者をエンパワーし、開発から取り残されないようにする
- アフリカや中南米のみならずアジアの障害者をエンパワーできるようにプロジェクトの実施や準備を行った。
- 南アフリカでのプロジェクトの第 3 フェーズ「障害者自立生活センターの拡大と持続的発展」を開始した。その一環として南アフリカ・ハウテン州からの視察を受け入れた。
- TICAD への参加を通し、アフリカの障害者問題を訴え、2025 年のTICAD9横浜宣言には「障害者のエンパワメント」が明記された。
- ブラジルのろう者と共に、インクルーシブ保健事業の準備に関わった。
- ブラジルでのろう者の HIV/AIDS プロジェクトは本にまとめられ、出版された。
- ドミニカ共和国の障害者団体や政府と政策討論を行った。
- JICA の課題別研修「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」及び「障害者就労促進」を実施した。
- JICA 障害主流化ガイドライン作成で、障害者側からのインプットを行った。
- DPI が要請し、2021 年 8 月から JICA 草の根協力事業で合理的配慮費用が計上できるようになり、2025 年からは JICA として合理的配慮の予算が建てられ、すべての事業に障害者が参加する場合に合理的配慮予算が使えるようになった。
目標4 .世界 DPI の取り組み課題の一つに SDGs の達成をとりあげる
- 世界 DPI の議題の一つに SDGs の達成をとりあげるまでには至らなかった。
- 世界 DPI 世界評議員を日本での G7 開催にあたり C7メンバーとした。
2.2030 年までに達成したい目標、行動計画
目標5 SDGs での障害の重要性に対する認識を広げる
- ポスト 2030 のフォーマル/インフォーマルの議論に参画し、障害課題を明確に位置付ける。
- SDGs と CRPD の関連に対するDPI日本会議内での認識を広げる。
- SDGs のレビューにおいて、CRPD 履行の観点から障害課題の進捗を明らかにし、未解決の課題への取組み強化を訴える。
- 2030 年まで継続的に SDGs 市民社会ネットワークとともに、障害問題を啓発する。
目標6 SDGs 後に取り組むべき、国際開発目標に関する提案を行う
- 誰一人取り残さないとの観点から、アフリカ、アジアや中南米の途上国の障害者、特に重度障害者に地域で暮らせるように今まで日本で培っていた自立生活運動を通して、脱施設やインクルーシブ教育に特に焦点をあてて提言する。
目標7 国際協力活動の強化につとめる
- DPI アジア太平洋ブロックの強化への寄与を継続し、世界DPIの強化に協力する。
- JICA 草の根技術協力事業である南アフリカの第 3 フェーズ「障害者自立生活センターの拡大と持続的発展」を完了させ、次期活動の起案を行う。
- TICAD10 のオンラインサイドイベントを実施する。
- アジア・アフリカ・中南米への障害者専門家の派遣の機会を増やす。
- JICA課題別研修を継続させる。
こんな記事も読まれています
現在位置:ホーム > 新着情報 > DPIビジョン2030 中間振り返り―これまでの成果と2030年に向けた今後の行動計画 - DPI 日本会議












