トップページ > 活動報告 > 北海道の医療費助成制度を考える連絡会 > 質問と意見書に対する回答
1 (1)フォローアップ施策の現時点での具体的な検討内容について
(子ども未来づくり推進室)
○医療給付事業見直しに伴う「フォローアップ施策」は、保健福祉部内に関係課による検討委員会を設け4月から検討を進めてきた。この間、議会での議論も踏まえながら医療費問題に限定せずに保健福祉医療施策全般に渡って幅広く検討を進めてきた。具体的な検討状況については、資料の1枚目。フォローアップ施策の現段階での検討状況ということで、更生医療の環境づくりと障害者の地域生活支援の2本の柱立てで考えている。波線で囲った部分については、施策の必要性、方向性に対する道の考え方を示している。○印で記載しているのは、既に取り組んでいる事業を含めて、施策が具体化しているもの。その他についてはまだ検討中という状況。○印の事業については第3回定例会で必要な予算措置を行う事業がある。その事業の具体的な内容については、このあと担当課の方から説明する。
○施策の概要についてだが、更生医療の環境づくりについては、この間、患者団体や道議会などから強い要望があって取り組んでいる事業。腎臓機能障害により人工透析を受けている方々は、長期間にわたり高額の医療費負担を要することから、これを軽減するため更生医療の環境づくりを進めるほか、重度医療の受給者が適切な医療を受けられるよう対策を講ずる必要があるという認識のもとに4つの事業に取り組んでいる。更生医療の指定医療機関の拡大、情報提供の充実については担当課から内容について説明する。道単医療費の自動給付方式の適用については、月額上限(通院12,000円、入院40,200円)を超えて負担した人の還付手続きを簡素化するための方法で、国保連合会に依頼し必要なデータを市町村に提供してもらえるよう既に措置している。事業主体は市町村であることから、患者団体から要望の強い自動給付方式で給付するよう文書等で依頼している。公費負担医療制度の拡充要望については担当課から説明する。
○障害者の地域生活支援については3つの柱を設けている。相談支援体制の整備については、重度障害者を中心として、障害者の意思を確認し、これに基づき地域生活を支えていくためには、広範にわたるサービスを適切に組み合わせていくことが必要であり、身近な地域における相談支援体制の構築が求められる。重度の障害のある方々が活動していくためには障害に応じた配慮が必要。具体的な事業としては適切な保健・医療の提供、医療的ケアを要する重度障害者への支援の2つの事業を3定で要求することとしている。内容は担当課から説明する。地域生活移行のための基盤整備については 医療費助成の対象者は障害等級により定められているが、これに限定せず、真に社会的な支援の必要性が高い障害者について、家族等の介護だけに頼らずに、地域で生活できるよう、自立に向けた支援基盤の整備が求められる。具体的な事業内容については、本日皆様からのご意見も踏まえて今後検討することとしている。
○具体的事業の検討状況説明・・・別紙資料
*身体障害者手帳等システム化事業(障害者保健福祉課)
身体障害者手帳及び療育手帳(全道で20万件を超える交付)について、手帳形態の見直しによる携帯性の向上や情報提供機能を持たせるなど、障害のある方々の日常生活上の手帳利用の利便性を図りたい。16年度は手帳内容の検討(他県の状況も)。また、システム化により迅速化を図りたい。17年度は検討した内容で新しい形態の手帳を発行。
*在宅心身障害者歯科保健医療総合支援事業(地域保健課)
できるだけ住んでいる地域で、歯科保健医療サービスを受けることができるよう、体制を整備していくのがねらい。具体的には3本の事業を検討。障害者歯科協力医療機関整備で地元の市町村で診てもらえる歯科診療所を作っていく。地元の歯科医師に専門的な実地研修を受けてもらい一定程度のレベルに達した方について、道が協力医として指定。その情報を市町村、障害者へ情報提供。
摂食嚥下障害外来の設置については、嚥下障害治療ができるのは現在道内では北大と北海道医療大学。重度障害者の歯科診療は現在札幌市、旭川市、帯広市、釧路市、函館市の歯科保健センターで実施。その施設に北大と北海道医療大学から定期的に出向いてもらい少しでも摂食嚥下障害の方が治療を受けてもらえるようにする。
在宅心身障害児(者)巡回歯科保健指導は、在宅で歯科検診を受けられない障害の方に、保健所の歯科職員が訪問。(26保健所中10保健所に歯科医師)必要な予防措置等を行う。
16年度に3本の事業を円滑に実施するため連絡会議を開催する。
*在宅障害者医療サポートシステム推進事業(地域保健課)
障害者の医療に関する不安を保健所で対応するとともに、障害者・家族や市町村担当者からの専門性の高い相談にも保健所が対応し、市町村の障害者に対する医療ケアに係るケアマネジメント機能の強化を図る。具体的には16年度は専門性の高い相談に対応するため職員の研修会を開催する。
17年度から4本の事業を実施する。障害者総合窓口事業は、医療に関する専門知識や技術に関する相談を保健所の総合相談窓口で対応する。
サポートチーム市町村支援は保健所の医師、歯科医師、保健師、薬剤師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士等の技術職を障害者の方のサポートチームとして編成し、市町村を支援していきたい。場合によっては、メンバーが市町村職員と一緒にお宅を訪問して相談指導。
ネットワークの構築は保健所が調整役となり、地域の医師会等とのネットワークを構築する。
講習会・研修会の開催は市町村職員をはじめ関係機関等を対象とした医療ケアに関する全国の先進事例を紹介するような講演会や研修会を開催したり、関係者向けのパンフレット等を作成し、各市町村の底上げを図っていく。
○それ以外に検討しているもの
(障害者保健福祉課)
私たちがどういうことに課題があると受け止め、それに対しこういう手だてができないかということで話をしたいと思う。
資料の2つめの大きな柱の障害者の地域生活支援は、3本の柱に分かれている。相談支援体制の整備ということで、障害のある方々は地域で暮らしていく中で色々な課題、悩みなど、相談したいことがあってもまだまだ相談できる場所が少ない。そうすると、地域の中に困ったことを相談できる場所があるということが暮らしていくための安心感になるだろう。しかし、まだまだ、体制が十分ではないのではないか。そういうことに対応するために、今ある資源をうまく活用し、どこに聞いても3障害に対応できるような、あるいは土日、夜であってもいつでも相談できる、そういったものが地域の中にあったらいいのではないかと考えている。そういった相談支援拠点を道内にいくつか作っていけたらどうだろうか。市町村単位にあるのが1番いいと思うが、今一生懸命相談支援に力を入れている市町村を支援できないだろうかということを考えている。
2つめの重度の障害のある方々の支援ということで、医療的ケアが必要な方々は在宅の方は必要に応じて在宅で訪問看護という制度を受けられるが、社会参加の場、作業所、通所施設には訪問看護は行けないことになっている。障害の重い方はずっと家にいるか、家族が付き添って作業所へ行くかで、そういう実態を聞いているので、何とか家にいるだけでない、家族がつきっきりでなくても地域社会でごく当たり前に通う場所にいけないものだろうか。こういうことを課題と考えているので、これを何とか手だてできる方法はないのかということを考えている。
それから重症心身障害児といわれている方々が通う場がまだまだ道内では少ない実態にある。なんとかそういう方々が通える場所をもう少し増やしていけないものかということを考えている。医療的ケアが必要とまではいかなくても知的障害が重い、そういった中でなかなか通う場所がない場合は、医療的ケアまでは必要なくてもそういった方たちが通えるような、たとえば通っている場所にもう少し人を配置できる。そういった手だてが考えられないかというようなことを考えている。
3つめの柱の地域生活移行のための基盤整備。これはいくつかいろいろな角度から考えられるのではないかということで進めている。
1つはグループホーム。これは身体障害のグループホームは制度にはないが、知的障害と精神障害の方々は北海道の場合、病院とか施設に入院、入所することが多い。今の障害者施策の間違いない方向性というのは地域でどんなに障害が重くても、様々な障害があっても地域で暮らしていくこと。これが私たちが進めていかなければならないことだろうと思う。ただ、残念ながら昨今財政が厳しい中でグループホームの要望がとても高いが、全部グループホームに移行させられないという現状があるので、何とかここのところを進めていきたいと考えている。
その他、身体障害にはグループホームはないが、施設生活が長い方は一機に地域には出ていけない実態がある。そこで、身体障害の方々には地域に出やすくするような、今までにない仕組みを考えられないか。あるいは、今までグループホームに入る方は施設から出る方だけだったが、今は、地域にいても、親と暮らしていても成人したら親と子が独立して暮らしていくということも必要だと思うので、そういった方たちへの手だてができないか、そういったことを考えている。
また、今課題になっている自閉症、こういった方々に対する支援センターは北海道には1カ所しかない。昨今自閉症だけではなく、学校の場で課題を抱えている子どもがたくさんいる。こういう方たちを支援するセンターをもう少し増やしていけないだろうか。
さらに、障害者の就労が今1番大きな課題となっている。働く場の確保だとか支援していくという体制をもう少し強化していくということが今後の大きな課題ではないだろうか。
以上こういったような観点で私たちは地域生活支援のために何かできる施策はないか。これらを皆様のご意見を聞きながら具体的なものにしていきたいと考えている。
(疾病対策課)
障害者保健福祉課の相談支援体制の整備に関連して、実際には複雑・困難な専門性を要求される相談事例もあるだろうと思うが、特に精神医療保健分野では、そういう複雑・困難な相談に対して、道立の場合は札幌に精神保健福祉センターがあるが1カ所だけ。各地に造るわけにはなかなかいかない。札幌圏以外でも複雑・困難な相談に対応するシステムを作るため、考えているのがテレビ電話を活用した相談ができないかということで、保健所と精神保健センターを結ぶことを考えている。
あと、危機管理というか危機介入というか、周りの方や本人が非常に困っている事例の相談に保健所が訪問に行くわけだが、そこのところに保健所の職員に加えて精神保健福祉士の助言やサポートを得てできないか考えている。
(2)このフォローアップ施策について当事者及び関係者の意見をどのように反映していこうとしているのか、その反映方法について具体的に教えてください。
(子ども未来づくり推進室)
○3定で要求するものと、当初で要求するものとがあるが、いずれにしても本日の意見交換の内容、皆様の意見を踏まえながらできる限り施策に反映させたいと考えている。予算の制約があるので全て対応するのは難しいと思うが、できる限り反映するよう努めてまいりたいのでご理解をお願いしたい。
(3)障害を持っているために必要とされる医療行為(人工呼吸器、CPの二次障害、脊髄損傷者の褥痩や腎機能検査など障害程度悪化防止や障害特有のニーズ)で更生医療の対象となっていない疾患等を国に更生医療等による障害者の支援施策としての制度化を求めるとともに、こうした医療行為に対して道として独自の対応を進めること及びそのためにどのような医療行為が必要なのかを掌握することが必要です。
(障害者保健福祉課)
○更生医療は、身体障害者の方々について、その障害を除去し、又は、軽減するための医療給付。必ずしも全医療、疾病が対象になっているわけではない。
○更生医療の対象については、個々の病状とか、具体的なニーズ、医療内容等を総合的に勘案して検討される必要がある。今後、それらについて、皆様方のご意見も伺いながら必要に応じ、国に対し更生医療の給付の拡大などについて要望してまいりたい。
○ちなみに、今年度においては、呼吸器機能障害に係る在宅酸素療法を更生医療の給付の対象にしてほしいという要望をしたところ。
(4)事業見直し後の影響調査(特に住民税が課税されているが低所得世帯及び更生医療非該当者で継続的な医療行為を要する当事者)を実施し、制度見直しによる障害者や患者の実態を把握しそこで生じた課題への対応が必要です。
(子ども未来づくり推進室)
○制度見直しによる影響などの実態調査は当然必要なことと考えている。ただ、事業実施主体は市町村で、市町村の協力が不可欠なので、その時期や方法などについて今後市町村とも相談し対応してまいりたい。
(5)見直し後におけるこうしたフォローアップ事業及び必要な事業の検討に当たっては、私たち連絡会もメンバーとした検討会等を設置し行政と当事者の協働作業で検討を進めることが必要です。
(子ども未来づくり推進室)
○重度障害者に対する道の施策は、医療費助成に限らず保健福祉医療全てに関わってくる問題。それらの施策の優先度とか緊急度を考慮しながら当事者の立場に立って施策を進めていかなければならないと考えている。
○今回の見直し後の影響の把握やその対応についても医療費の問題に限らず障害者の生活全体をトータルに捉えてどういった支援が必要か、具体的な対策について考えていかなければならないと思っている。
○このため目的やメンバーを限定した「検討会」という形ではなく、今回のような形で必要に応じて皆様障害のある方々の意見を聞く機会を設けて対応してまいりたい。
2 更生医療について
知事は「更生医療を活用できる環境づくりを進めていく。」と発言されましたが、更生医療は、人工透析治療だけではなく、広く障害者に関わる医療制度です。しかし、制度自体が十分に知られておらず、その内容も不十分なものとなっています。
そこで以下のとおり質問と意見を申し上げますので、所見を伺います。
(1)更生医療を活用できる環境づくりの進行状況と今後の取り組みを具体的に教えてください。
(障害者保健福祉課)
(2)更生医療の指定医療機関の拡大についてご説明がありました。確かに指定医療機関の拡大は重要ですが、私たちの実施した調査では、ほとんどの方が更生医療の制度自体を知りません。10月から見直しを控えて、更生医療機関の拡大に併せて重度医療を利用している障害者に対して今回の制度見直しについての情報提供及び更生医療の制度利用の周知と促進を緊急に実施する必要があります。
(子ども未来づくり推進室、障害者保健福祉課)
(子ども未来づくり推進室)
○今回の医療給付事業見直しに関する周知ですが、今回の見直しについては、道としては、障害者団体を通じて説明しましたし、また新聞や道のホームページに見直し内容について掲載して関係者への周知に努めている。また実施主体である市町村においては、受給者へ葉書きやポスターを掲示したり広報誌などにより関係者への周知に努めているものと承知している。
(障害者保健福祉課)
○3月以降、各支庁の会議で各市町村へ情報提供してほしいということを依頼してきたが、さらに徹底を図るために、この8月に支庁を通じて更生医療の制度概要や、負担がどのようになるのか図で表したものを直接市町村で広報に載せることができるよう、資料を送付し、さらに直接住民の方、障害者の方にいき渡るようにお願いしたところ。
(3)本来受けられるべき更生医療が身体障害者手帳の記載内容等によって受給できないような本人の責任に属さない理由で不利益がもたらされることがないように実施する必要があります。
(障害者保健福祉課)
○身体障害者手帳の記載内容によって受給できないことがあるのではないかということだが、更生医療は、日常生活を容易にするというような目的があるわけで、総合相談所の方に確認してみたところ、手帳の記載の仕方で多少読み取りづらいものがあったにしてもその内容を斟酌してそれ自体で給付が必要ないということはできるだけしないようにしている。ただ、手帳の中にはかなり早い時期に判断を受けて、その後症状が変わってきているのにそのままにしておいて、実際給付を受ける時に現状と合わない形で給付をしてほしいという事例もあって、その場合には再度更生医療の必要性を判断するために身体障害者手帳の再発行が必要な場合もあるということだった。
3 精神障害者の医療について
保健福祉部長から精神障害者に対する医療費助成については、「実施主体である市町村との合意に至らなかったことや国の保健福祉施策との整合性という観点から、今回の見直しでは対応できなかった。」と発言がありました。
そこで、以下のとおり質問と意見を申し上げますので、所見を伺います。
(1)市町村との合意に至らなかった主な理由と同じく国の保健福祉施策との整合性で対応できなかった理由を教えてください。
(子ども未来づくり推進室)
○今回の見直しにおいて精神障害者を対象に加えなかった理由ですが、日本は諸外国と比較して精神病床数が非常に多い。この場合受け皿が整えば退院可能な方々も入院生活を続けている現状があり、通院への移行が大きな課題となっていることから、国が施策的に通院費用の負担を5%に軽くし地域生活への移行を促進しているという背景がある。
○こうした中で、道の重度医療の対象に精神障害者を加えることについては、国の施策との整合性の面から慎重な対応が必要である。
○市町村との検討会においてもこうした背景に加え、他県や道内の市町村における実施率が低いこともあって、合意に至らなかったという経過がある。
(2)「将来的な課題」として発言のあった精神障害者の保健福祉施策の充実については、現在、精神保健福祉法32条の適用により精神障害関係の疾患で通院治療については医療費負担の軽減はされていますが、入院には適応されていません。そのため精神障害者にとって入院時の負担は大きく、極めて深刻なものとなっています。こうした精神障害者の医療費負担の実態を把握し支援が早急に必要です。
(疾病対策課)
○重度心身障害者医療給付事業について精神疾患を適用してほしいという趣旨の要望についてですが、重度心身障害者医療給付事業を精神障害者の方々に対して拡充することは、市町村との共通理解を得るに至らなかったことや 国の精神保健福祉施策との整合性などから今回の見直しでは対応できなかったところ。
○入院医療、さらには通院医療あるいは精神保健、居宅サービス、地域における福祉サービス、こういったもの諸々含めた精神障害者の方々の保健福祉施策は非常に重要なことと考えており、入院についても将来的な検討課題として対応していきたいと考えている。
4 特定疾患対策単独事業について
特定疾患対策単独事業について、当事者及び関係者の意見をどのように反映していこうとしているのか、その反映方法について具体的に教えてください。
(疾病対策課)
○いわゆる原因が不明で治療方法が確立していないという特定疾患治療研究事業についてだが、6月2日に大学の先生などで構成する道の特定疾患対策協議会からの「北海道における今後の難病対策のあり方」の検討報告書が出されたわけだが、この報告書の内容について北海道難病連や患者団体である肝炎友の会、橋本病友の会、医療提供側である道医師会、道薬剤師会、道看護協会などの団体について検討内容を説明し、意見を伺っているところ。
○団体からは、いわゆる公費負担がなくなれば患者が受診を回避することが考えられるということで1.基本的に現行制度を継続すること2.見直しをする場合であっても、診療抑制につながらないような措置を講じることなどが必要との意見が寄せられている。
○現在、道としての見直し案を検討しているところであるが、検討に当たっては、報告書を踏まえ、関係団体の意見の中で、対応可能な点については、できる限り反映するよう努めたいと考えている。なお、見直し案、原案のようなものを作成した際には、再度、関係団体にご説明し、ご意見を伺いたいと考えている。
※訂正線部分は、記録から削除。