２）見直しの背景と基本的考え方

１　見直しの背景

　近年の様々な環境の変化が、道立施設のあり方に大きな影響を与えており、本方針策定に当たって、これらを的確におさえておくことが必要である。

(1)社会環境の変化とその影響

• 少子化により、施設入所児が減少傾向(民間における児者転換の増加)。
• 家庭養育機能の低下等により、被虐待児の入所など施設利用要因が多様化。
• 高等部設置をはじめ特別支援教育の充実により、施設利用動向が変化。
• 入所者の高齢化により、医療、看護、介護ケアの必要性が増大。
• 民間施設の整備や支援技術向上により、民間法人が施設サービスの提供主体として定着(道立施設と民間施設の役割分担が変化)。
• 障害のある方の意思に基づき、地域生活を支援していくという基本的な考え方が確立し、施設にはその中での機能が求められている。
• 地域生活を支えるための社会資源は、未だ十分ではなく、また、地域的な格差が大きい。

(2)制度改革による変化とその影響

• 地方分権の推進により、都道府県は広域調整が主な役割。
• 規制緩和の推進により、民間の柔軟性や機動性を発揮できる環境整備が促進。
• 障害者の自己決定や選択を尊重した支援費制度がスタート。
• 北海道障害者基本計画では、ノーマライゼーション社会の実現をめざし、地域生活の支援体制充実を目標として設定。

(3)道政改革の推進とその影響

• 平成10年の「出先機関の見直しに関する方針」(簡素で効率的かつ機能的な執行体制の確立)
• 平成14年の「新たな職員数適正化計画」(職員定数の見直し、業務委託の推進)
• 平成14年の「新関与団体の見直し方針」(財政支出の見直し、職員定数の見直し、業務の外部委託、自己財源の確保等)

２　見直しに当たっての基本的考え方

　本方針においては、道立施設としてのあるべき姿について、次の考え方に立って見直すものとする。

○道立施設を取り巻く環境や情勢の変化を踏まえ、市町村や民間施設等との役割分担、連携を図り、今後、道立施設として担うべき役割、機能等を明確化する。

○利用者に提供されるサービス面で支障を来すことがないよう配慮しながら、簡素で効率的かつ機能的な施設運営を確立する。

○地域生活支援の観点から、必要な機能を検討するとともに、運営主体の検討や現行の道立施設体系の再編も含め、社会環境の変化の中で道立施設として担う べき合理性が低下した機能については、縮小、統廃合を進めるなど、対象６施設のあり方を見直す。

３　見直しの期間

　道立施設を取り巻く環境は大きく変化しつつあることから、本方針は、当面の見直しの方向性を定めるものであり、平成１６年度から平成２０年度までの５年間とする。