<衆議院>


障害者に係る欠格事由の適正化を図るための医師法等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議
平成十三年六月二〇日
衆議院厚生労働委員会
政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、障害者の社会参加と平等、人権の尊重という今次制度改正の根本理念の具現化に向け、政府は終期の迫った「障害者対策に関する新長期計画」及び「障害者プラン〜ノーマライゼーション七か年計画」を完全達成するとともに、引き続き次期計画及び整備目標を策定し遅滞なき総合的な障害者施策の推進に最大限の努力を講ずること。
二、我が国の本格的なIT社会への展開に際し、新たな技術革新が障害者の資格取得や就業における格差を生起することのないよう、デジタル・ディバイドの解消とユーザビリティに基づいた開発、ユニバーサルデザインの普及・普遍化に努めること。また、政府調達等により、その推進に努めること。
三、各種資格試験においては、これが障害者にとって欠格条項に代る事実上の資格制限や障壁とならないよう、点字受験や拡大文字、口述による試験の実施等、受験する障害者の障害に応じた格別の配慮を講ずること。
四、大学・専門学校等の教育・養成機関が、受験と教育の両面において必ずしも障害者に開かれてはいない現状にかんがみ、これら教育・養成機関での障害者に配慮した受験制度及び就学環境の改善を進め、障害者の資格取得支援のための条件整備について所要の措置を講ずること。またこの趣旨を各教育機関に周知徹底するよう、関係機関と連携すること。
五、本法改正を実効あるものとする観点から、障害及び障害者の機能を補完する機器の開発、職場介助者等の職場における補助的手段の導入に対する事業主への助成など、関係行政機関が一体となって総合的な障害者の就業環境の整備に努めること。
六、現在の厳しい雇用環境にかんがみ、障害者に対する差別・偏見を除去するための啓蒙・啓発を更に進め障害者雇用の促進を図るとともに、障害を理由とする解雇を無くすよう厳しく指導すること。さらに、とりわけ立ち遅れている精神障害者雇用の進展のため、障害者雇用促進法における雇用率の制度の在り方も含め、雇用支援策の充実について早急に検討を進めること。
七、本法改正に伴う省令等の策定に当たっては、障害者団体、関係団体など幅広い分野からの意見聴取等を行い、これを反映するよう努力し、障害者欠格条項の見直しの本来の趣旨に照らし、相対的欠格条項の的確な運用に齟齬の生じないよう努めること。
八、免許を与えないこととするときの不服申し立てについては、まず本人の意見を十分に聴くとともに、専門家の意見を聞くことを含め、適切な措置を講じ、障害者団体、関係団体の意見を聴取しつつ、事例の積み重ねを通じて、判断の在り方を明らかにするよう努めること。
九、障害者に係る欠格条項の見直しの趣旨にかんがみ、その実効性が確保されるよう、個人支援技術の開発普及を急ぎ、できうる限りの補助手段を用い環境を調整してその人の望む姿での社会参加を実現することを、一層推進すること。
十、障害者の自立を促進するため、所得保障及び雇用確保の在り方について速やかに検討を進めること。
右決議する。


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