私は片目の見えないコマーシャルパイロットです。(2016年9月)


 吉田大作氏のグライダー免許取得の奮闘記を拝読させていただき、日本の航空行政は1998年の私の交通事故以来、何、一つ変わっていないということを再認識させられた次第です。
 日本のみなさんからは『ジャンボジェットを操縦するのですか?』と問い合わせがありますが、パイロットにはジャンボジェット機の様な旅客機から貨物機、ビジネスジェットまた小型の機体を操縦する様々なパイロットが存在します。米国にはSODA(Statement of Demonstrated Ability) という特別控除があり、私は米国航空局の審査を経て2004年にパイロットになりました。このSODAは両腕のない人、下半身がない人などにも適用され多くの人に空への道が保証されています。無論、彼らのような重度の身体障碍者の場合、コマーシャルパイロット、つまりプロとしては飛べません。しかし吉田氏の身体条件の場合、私と大きく変わらないため自家用パイロットからプロのパイロットになるチャンスがあるわけです。
 ではなぜ私が事業用パイロットになったかといいますと『あれもだめ、これもだめ』ということへの挑戦と、『できない』と他人に定義させないという強い覚悟の表れからです。
 『たかが片目、されど片目』なわけですが、日本にいた時は本当に嫌な思いをたくさんしました。私のようにある日突然、他人の不注意によって事故にあい、障害者になったとしても、世界のどこかで乗り越えられる、あなたを受け止めてくれる環境があるというメッセージを送りたいわけです。
 現在、私は事業用パイロットからパイロットを育成する教官の免許を取得することに鋭意務めています。高度な技術をさらに磨き、多くの飛行機屋を育成することを目標としています。
 日本ではまだ飛ぶことはできませんが、近い将来、祖国の日本の空を満喫できるように、関係省庁に働きかけていきたいと思っております。なお私の活動内容はWebでも確認頂けます。
 http://www.aerozypangu.com/
 Web(動画)  http://www.aerozypangu.com/movies
 SODAの詳しい内容(英文)http://bit.ly/2g6lrfm
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初出 「障害者欠格条項をなくす会ニュースレター」68号 2016年11月下旬発行


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