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「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」への抗議と改善の要望

2018年08月30日 要望・声明バリアフリー

警察庁がホームページで公開している「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」の安全通行基本編(PDF,該当箇所は24ページ)について、電動車いすに乗っている人は飲酒をしてはいけないという主旨の文言が掲載されており、この事により実際に電動車いすに乗った人が、飲酒が断られるという事例がありました。

道路交通法の歩行者の定義は「身体障害者用の車いす、歩行補助車等又は小児用の車を通行させている者」とされており、車いす利用者は歩行者です。歩行者は飲酒や服薬を禁止されておりません。しかし、警察庁のマニュアルでは車いすユーザーの飲酒を禁止しており、道路交通法に矛盾しています。このことに関して、DPI日本会議では抗議と改善の要望を出しました。


2018年8月20日

警察庁長官 栗木俊一殿

特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」への抗議と改善の要望

私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国98の障害当事者団体から構成され、障害の種別を越え障害のある人もない人と共に生きる社会の実現に向けて運動を行っている障害当事者団体です。

さて、警察庁では「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」を策定しHPで公開しておりますが、このなかで、安全通行基本編(P.24)で「飲酒等した上での利用は…」という項目で下記のように記載されています。

「少量のアルコールでも電動車いす利用時の判断や操作を誤らせるおそれがあります。お酒を飲んだら電動車いすは利用しないようにしましょう。眠気を催す薬を飲んだときなども、電動車いすの利用は控えましょう。飲酒等して電動車いすを利用することは絶対にやめましょう。」

これは重大な問題です。身体障害があり電動車いすを利用している者の多くは、電動車いすなしでは移動はできません。電動車いすを利用できなければ、移動が全くできなくなるのです。ですので、上記の記載は飲酒や服薬した時は電動車いす使用者は自宅から出るな、どこにも行くなということと全く同じ意味になります。

そもそも道路交通法第二条3では「この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。一 身体障害者用の車いす、歩行補助車等又は小児用の車を通行させている者」とされており、車いす利用者は歩行者です。歩行者は飲酒や服薬を禁止されておりません。であるのに、上記マニュアルでは禁止しており、道路交通法に矛盾しています。

おなじ歩行者なのに、電動車いす使用者にのみ飲酒や眠気を促す薬の服薬を禁止することは、障害に関連する電動車いすを理由に障害のないものと異なる取り扱いをしており、これは障害者差別解消法の不当な差別的取扱いに当たります。

そして、すでに複数の事業者がこのマニュアルの記載に基づいて、電動車いす使用者の酒類の試飲を拒否する事件が起きています。障害者への差別が広がっているのです。

このような差別的な取扱を警察庁が勧めていることにDPI日本会議は断固抗議します。即刻削除するとともに、障害に基づく差別をなくすために、下記を求めます。

要望項目

1. 電動車いすの安全利用に関するマニュアル」の「飲酒等した上での利用は…」のページを全面的に削除してください。

2. なぜこのような差別的なマニュアルが出来たのか、経過を説明してください

3. 都道府県警や事業者に対し、上記マニュアルを削除したことと、電動車いす使用を理由に飲酒や服薬を拒否しないように周知徹底してください。

4. 改善に向けて我々と話し合いの場を設けてください。


▽電動車いすの安全利用に関するマニュアルについて(警視庁HP)

▽要望書ダウンロードはこちら
(ワード)(PDF)

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