2002年10月18日 速報 (その1)
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第6回 DPI世界会議札幌大会速報 「ひとびと」

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Work shops−分科会
条約実現に向けて 
札幌大会が
世界を動かす


 大会3日目、議論は大きな山場に入りました。新しい時代に向けて、障害者運動の大きな発展を目指し、熱心な議論が展開されました。


条約 IDA等との連携
 最初にIDA(国際障害同盟)がDPIを中心に障害者5団体が99年緩やかなネットワークとして結成された経過が説明されました。そして、IDAが国連社会経済理事会、国連人権委員会において「障害者権利条約」を求める意見反映を世界の障害者団体を代表して行ってきたことが報告されました。日本の障害者運動の歴史と制度の問題では新たに制定された「障害者基本法」でさえ「自立社会参加の機会が『与えられる』」と「施しとしての福祉」を克服していないことが問題となりました。しかし、70年代障害者自身による差別告発の運動が始まり、「国連障害者の10年」を経て、地域で暮らす運動が定着しつつあることが報告されました。

アクセス:ITとデジタルデバイド
 田中さん(日立製作所)からは、「手話政策装置」MimehandU(マイムハンド2)について、聴覚障害者にとっては緊急時の対応が大変なため、MimehandUは日本語を入力するとコンピューターグラフイックで映像が映し出され、腕や手の細かい動きも表現され、手話とマルチメディアの結合が可能となった、という紹介がありました。

 次に福田さん(日本IBM)から「アクセシビリティー・テクノロジー」として視覚障害者への自動点訳装置、読み上げ機能、点字変換機能、そしてネットワークによる点字図書などのパソコンツール機能の紹介がありました。

 アイザック・ナーチさん(ジンバブエ)は「アフリカでは基本的技術しかなく、コンピューターの専門家もいない。障害者の入手できる情報が限られている」と発言しました。

 最後に提案として(1)視覚障害者のために著作権法の確立(2)税金の免除(3)手話を普遍的なものとして更なる開発とコミュニケーションとしてのメディア化(4)安価な装置の開発により貧富の差を解消する、という内容が参加者全体で承認されました。

障害児:生存と発達の権利
 スルティ・マハパトラさん(インド)は、障害種別を超え、障害児と非障害児の統合と、競争を組み込まないプロジェクトを実施し、美術、工芸、ダンス、音楽、演劇などについて報告しました。ヒルダ・エスカロン・デル・トロさんからは、キューバにおいてヘルスケア、教育、リハビリテーションがすべての人に対して提供されています。障害を持って生まれてくる子どもは、初期段階で介入するとの報告がありました。ミッシェル・メイさん(フランス)は、すべての人間が人道的に待遇されるべきであり、生命の尊重、経済秩序、寛容の文化、男女平等を指針とし、自由への掛け橋を創っていかなければならないと訴えました。

人権:国レベルでの行動
 ジャンピエロ・グリフォさん(イタリア)は、開発途上国における障害者差別の実態を報告し、「人権を守るためには障害者自身が発言し、影響力を持つ法制化が必要である」と発言しました。

 また、加藤真規子さん(日本)は「差別の撤廃に向け、情報公開や人権擁護システムの確立、当事者が望む精神医療の統制を充実させるべき」と発言しました。

 質疑応答では、活発な意見・質問・要望が出され、(1)国のレベルで権利を守り、法律を考慮した行動計画が必要、(2)リーダー養成、障害者の自主性が必要、(3)普通に生きる権利、自己決定できる権利、自分が望まないことを拒否する権利の保障、(4)自分の望む医療を受ける権利の保障が必要であるとまとめられました。

能力構築:リーダーシップトレーニング
 カンボジアのソン・ソンハックさんは、カンボジア障害者運動の経過と自ら障害・貧困政策専門家の立場から現状の課題や戦争・紛争後の「負の遺産」があることを紹介しました。ジンバブエのアイザック・ナーチさんは、「リーダー養成」について提起。リーダーの能力は、その団体が目的や期待に応える能力があるかどうかを判定する重要な要素であること、指導者が後任者の育成を常に考えていくことも重要であることを提言しました。オーストラリアのウェンディ・ポッターさん、デビット・アーカートさんは、「障害者権利運動」を中心に提起しました。福島智さんは「リーダーシップトレーニング」を提起し、障害者運動の二つの目的は、障害者が生きる上での勇気と力を相互に与え合うこと、社会の差別と効果的に闘うこと、この目的追求と困難の克服、粘り強いコミュニケーションの重要性を訴えました。

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見学ツアー  施設や学校をご案内

 札幌市内及び近郊の施設を訪問する見学ツアーを実施しました。全7コースのうち、札幌市手稲区にある施設アンビシャスを訪問された参加者にお話を聞きました。

 大会3日目午後、社会福祉法人「アンビシャス」の施設見学が行われました。札幌市内は秋晴れのさわやかな季節。紅葉に彩られた円山公園をくぐり、施設に到着しました。施設では小山内美智子施設長の歓迎あいさつ後、施設利用者・メンバー自らが1年かがりでマスターした英語で説明をしていただきました。

 コースに参加のデビット・E・オスンデさんご夫妻(ナイジェリア)に感想を語っていただきました。「自立のためのトレーニングを行い、4年間後に社会に出ていくことはすばらしく、障害者の未来に希望を与えるもの。施設スタッフの努力と運営、一部行政との連携は印象的で自国でも参考としたい。札幌大会は良い機会であった。帰国し具体化したい」と力強いメッセージをいただきました

お荷物預かります!
 本日は大会最終日です。海外など遠方からいらっしゃっている参加者のみなさんのなかにはホテルに宿泊されている方がほとんどでしょう。ホテルをチェックアウトして会場に来られる方のために、臨時の手荷物預かり所を設置いたしましたので、大きなお荷物のある方はお預けください。その際、お荷物引換券をお渡しいたしますので、お帰りの際にカウンターにお出しください。引換券を紛失するとお荷物をお返しできなくなりますので、お気をつけ下さい。

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ひとびとinfo 参加者の声

マディオウ・ディアーロさん、バルド・アイ サトウさん(ギニア)
 DPIに来られて幸せです。大会終了後は、札幌よりさらに大都市である東京に寄って、日本の文化に触れたいと考えています。私たちの政府では、DPIグループに対するサポートがありません。今後は、DPI−JAPANとの人的交流によって、自国の力をつけたいと思ってます。札幌大会は、お金が掛かっていると思います。しかし、西アフリカでDPIを開催することを考えた場合、財政面で大きな課題を抱えてます。

デュベ・ジャイロスさん(ジンバブエ)
 日本の印象は?との質問に「すばらしい」の一言。自国ではリフト付きバスは無く、車いすで行動できる施設も1、2箇所とのことで、今回、札幌を訪れ見て、ホテルや道路など車いすによる行動範囲が広く、バリアフリー対策は高レベルとのお言葉をいただきました。今回の大会に対しては「精神障害者の思いが、今後に強く反映されることを望んでいます」とのことです。

協力: 写真 北海道新聞社 写真 北海道リコー 写真 キャノンビーエム札幌

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