「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見


2016年6月11日
「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見
障害者欠格条項をなくす会

一種免許の車種に準中型免許が新設されたことを受けた施行規則改定案は、補聴器をつけても10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえない(以下、警音が聞こえない/聞こえると記述)聴覚障害者も運送の仕事につく幅を広げることになり、積極的なことと受けとめる。
補聴器をつけて警音が聞こえる人は、中型・大型特殊・牽引に加えて、今年度から第二種免許を取得できるようになった。後述するように第二種免許試験に合格した聴覚障害者もいる。
一種免許に中型カテゴリーが追加された2007年までは、8tまでの車を一種普通免許で運転することができた。準中型の7.5tまでという案は、かつて一種普通免許で運転できた範囲に近い。補聴器をつけても警音が聞こえない人は、この改定案によっても、一種中型以上の車種と二種を運転できない。視認が第一の運転において、補聴器をつけて警音が聞こえるか否かによる違いはあまりなく、実際の運転において機器の活用や合理的配慮提供の必要性の検討をすることになる。二種免許に続き、一種免許においても、中型以上の免許を交付する検討を開始すべきである。
バックミラーのない自動車はなく、バックモニターカメラなどの技術開発と普及によって、従来のバックミラーでは見えにくいところの視認もしやすくなっている。バックモニターカメラなども特定後写鏡に含むようにすることは必要である。しかし、本来、特定後写鏡条件を、補聴器をつけて警音が聞こえない人だけに付す合理性がなく、聴覚障害者マークも任意であれば理解できるが、義務とするほどの理由は認められない。
京都で大型二種免許試験に合格した聴覚障害男性は、他の職業につきながらバス運転手になる夢を諦めずにここまできた。本人に変化があったのではなく、制度が変わったことで、免許を交付された。制度で定めていることの根拠を再考するとともに、何十年も人の人生を左右していることの重さを、考えてほしい。
一種普通自動車免許が警音が聞こえない人に交付されるようになってから、今年で9年になる。補聴器条件を含めて現行の条件全般の見直しに着手すべきである。
準中型は狭い道にも入っていける車種だけに特に注意深い運転が求められる。案においては普通免許保有経験不問となっている。初めて取得する免許が準中型というケースも増えていくと思われる。普通免許保有経験を不問とするのならばなおのこと、障害の有無にかかわらず全てのドライバーが、安全な運転のための教育・研修をきちんと受けられるように、カリキュラムを組むことを求める。


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