パブリックコメント (自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令案について) |
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パブリックコメント (自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令案について) テキスト ( 5 KB ) |
2014年3月27日 |
法務省刑事局刑事法制管理官室 御中 |
パブリックコメント(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令案について) |
障害者欠格条項をなくす会 |
住所 東京都千代田区神田錦町3-11-8 武蔵野ビル5階 |
■病のある人の運転や社会生活を支える法制度こそが必要です。 次の更新ではどう扱われるか、免許をもてないのか、心配、不安の声が届いています。誰でも安全な運転をこころがけることは当然のことであり、病を抱えながら日々のコンディションと安全に留意して運転してきている人が多数います。 国会参考人質疑で精神科医が、通院患者が事故を起こした例はあまり経験がなく、疾患にある人が交通事故を起こす率が高いというデータも存在しないこと、急性精神病状態の人もインフルエンザで高熱を出している人も一時的に運転に危険を伴う状態にあるということは同じという趣旨の意見を述べました(2013年11月1日衆議院法務委員会)。 そして「病気で運転できなくなった職業運転手の疾患」に関する警察庁調査(2014年2月報道)においても、身体病(脳血管疾患・心疾患・消化器疾患)が過半数(59%)を占めていて、他方、精神神経疾患と失神を併せても1割強(12.1%)ということです。 法律で重い刑事罰の対象範囲に定めて、病のある人々を強く脅かしてきていますが、客観的な根拠の説明はされたことがありません。根拠もなく脅かす法律はそれ自体が誤っており、当然、政省令を含めて、不安や不利益を与える取扱いがあってはなりません。 安心して安全に運転できるように、人を脅かす制度から人の安心を支える制度に転じること、運転できない時にも困らない社会にすることが、最も望まれていることです。 |
■施行令案第3条は削除すべきです。 法を審議した国会で、法務大臣は繰り返し「特定の病名に着目しているのではなく症状に着目」と答弁していました。 それにもかかわらず、示されている施行令案は、まず特定の病名を列記して項目を立てています。しかも、それらの病名について幅広い人を対象に括りうる表現をとっており、明らかに国会答弁と矛盾しています。「病気を理由とする差別を助長することがないよう務める」という附帯決議とも、もとより、相いれません。 この施行令案における病名列記は、直接的に差別偏見を助長する行為であり、「病がある人は危険運転をするに違いない」と国が宣伝するようなものです。 飲酒運転などと違って、病は故意ではなく、病の事故に対する影響の有無や内容も、極めて注意深く取り扱わなければならないことです。それにもかかわらず、病の影響を前提にした法制度は、病者をあらかじめ犯罪者のように見て処罰することに結びつきやすいものです。 障害者欠格条項見直しの趣旨にも反しており、日本が今年1月に批准した障害者の権利条約に照らしても、恥ずかしい内容です。 上記と同じ理由で、施行令を参照する法第3条第2項も、改正作業を進め、削除すべきです。 |
■病のある当事者側の参画を確保して、施行令案の出直し検討をおこなうべきです。 法の附帯決議として、「第3条第2項の危険運転致死傷罪の対象となる『自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として施行令で定めるもの』を定めるにあたっては、民間団体や関係学会、医療関係団体から意見を聴くなどして、病気による症状と、運転技能及び交通事故との関係について吟味・検討した上で定める」が採択されました(2013年11月19日 参議院)。 しかし施行令案には、病のある当事者側の意見が反映された跡が見えません。実際に、病名を挙げられている病者団体に対する公式のヒアリングもなく、政省令の案の作成過程に病のある人の側から委員を迎えるといったことも行われていません。附帯決議に沿った取組を欠いたまま施行令案を出していることは重大な欠陥です。 具体的な症状および法がどのような場合に対象とするのかについて、病のある当事者側の参画を確保して改めて検討し直し、病がある人の側も納得できる施行令案等をつくらなければなりません。 |
当会は、長年にわたり、病のある人々から、経験、意見のご連絡をいただいてきました。ひとことで言えば、大丈夫、運転できるというコンディションのときには正々堂々と免許をもち、安心して運転できる制度にすることが、切実に望まれていることです。 そして、何かの理由や事情で自動車等を運転できない/運転しない状況にある人も安心して生活できる社会にしていくことも大変重要で、公共交通網の充実、低料金の移送サービスなどは欠かせないことです。 そうしたことを含めて、本人も、免許行政にたずさわる人も、医療従事者も、心身の余裕をもって、人智を尽くして運転の課題に対応し、安心して安全に運転にのぞめるようにすることこそが、継続して取り組んでいかなければならない大きな課題です。 |
以上 |
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