障害者欠格条項調査2016年版
(2016年11月24日付)


■ダウンロード

 RSR2016(ZIP形式)

■障害者欠格条項調査2016年版について
(1)調査の目的と時期
 残されている障害者欠格条項の現状を明らかにして、削除・廃止等の 検討に役立てる目的で、2016年3月から6月にかけて、法律・政令・ 省令を対象に、欠格条項を洗い出す調査を実施した。同時に、前回 2009年調査のデータもチェックし、2009年調査時に存在していて 採録できていなかった法令については採録した上で、比較した。
 更に2016年10月から11月に2002年当時の状況について調査を追加した。 障害者欠格条項見直しの大半は、2001年から2002年半ばに断続的に 進められた。おおかたの法改正が終了していた時期と比較できるよう、 「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に 関する法律」公布日の2002年5月15日に存在していた法令について 調査し比較できるようにしたものである。
 障害者権利条約の締約国として日本政府は、「障害者に対する差 別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止する ためのすべての適当な措置をとること(権利条約第4条)」の履行 が求められている。
 障害者差別解消法は「各種の国家資格の取得等において障害者に不 利が生じないよう、いわゆる欠格条項について、各制度の趣旨や、 技術の進展、社会情勢の変化等を踏まえ、適宜、必要な見直しを検 討するものとする」ことを基本方針としている。見直すには現状の調査が 必要なことから行なった調査である。

(2)対象と方法
 法律・政令・省令の範囲で、2種類の法令データベースを使用し、 検索語句で挙がる全ての法令の条文を確認、障害者にかかわる欠格 条項に該当するものを抽出。
調査に使用した法令データベース
 ・「法令データ提供システム」(総務省)
 ・「法庫」有料版 法改定履歴有(民間)*2016年10月停止
 検索語句には、成年被後見人、心身の障害(他に、心身の故障、身 体又は精神の障害)、精神障害(他に、精神、精神の機能の障害、 精神病、精神疾患)、視覚障害(他に、視力、視覚の機能の障害、 視野、目の見えない者、盲者、色覚、弁色力、色彩識別能力)、聴 覚障害(他に、聴覚、聴力、言語機能、話声語、聾者、唖者)を使 用した。
 検索語句であがった内、一般名詞や固有名詞として記載されたもの (例:「精神病院」、「精神保健福祉士法」)、欠格条項としてで はなくその法令における障害の定義として記述されたもの、関係法 令一括改正法などは、除外した。

(3)変遷及び課題について
 2016年は506法令、2002年は427法令、(追加167法令、減少88法令、差し引きで)79法令の増加である。減少88法令の内、69法令は廃止され、残る19法令は存続しているが、障害者欠格条項に該当する条文が削除された。
 2001年前後の見直しで相対的欠格条項となった機能障害はほぼ「据え置き」状態となっていること、成年後見制度と連動する欠格条項は歯止めなく増加していることが明らかになった。
 機能障害にかかわる欠格条項のうち、視覚・聴言障害については、「武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律(2004年公布)」と省令に欠格条項が追加されたことによる増加である。精神障害の増加分20法令のうち9法令は、地域限定免許に分割された「通訳案内士」関係で、その他は「危険運転処罰法」「特定秘密保護法」等の法律とその政省令である。機能障害については、政府として1999年に障害者に係る欠格条項の見直し方針を策定し法改正してきたため、多くの反対意見にもかかわらず追加された法律や欠格条項はあるが、抑制的に扱われてきたと言える。
 しかし、成年後見制度と連動する欠格条項については歯止めになる方針等がなく、新しく法律ができるたびにコピーされて、(追加81法令、減少15法令、差し引きで)66法令増加している。この14年間に新規公布や条文の追加によって増加した79法令の大半にあたる。今年公布された「成年後見利用促進法」の第9条には「成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律の改正その他の基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置を施行後3年以内に講ずる(要約)」とある。この遂行及び成年後見制度の今後のありかたについても、障害者権利条約に照らした更なる議論が求められている。
 障害者権利条約の採択(2006年)、日本政府の条約批准(2014年)、差別解消法の施行(2016年)と、国際法も国内法も大きく変わってきた。権利条約は「障害者に差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するための全ての適切な措置をとること(第4条)」を締約国に求めている。ところが、2001年前後の障害者欠格条項の一括的な見直し以降、政府は全面的な見直し作業を行なっていない。欠格条項に典型的な法制度の障壁を総点検して根本的に見直し改廃することが、権利条約第4条の履行のためにもとりかからなければならない課題である。

(4)データファイルについて
基礎データ5件、付録2件、
access2007@Microsoftによるデータベース1件
案内1件
計8件の文書をzip圧縮で格納している。

圧縮ファイル名
RSR2016.zip

00_案内(テキスト)
01_法令一覧(CSVテキスト)
02_T_条文データ2002(CSVテキスト)
03_T_条文データ2009(CSVテキスト)
04_職業一覧(CSVテキスト)
05_9908欠格制度一覧(CSVテキスト)
06_障害者欠格条項の現状と推移(テキスト)
07_障害者欠格条項の現状と推移(PDF文書)
08_障害者欠格条項調査2016年版(accessデータベース)

(5)Accessでこのデータを利用する方へ
 Microsoft社の「Access」プログラムが必要です。
 このデータはAccess2007バージョンを使用しています。

初期画面の左端バーの説明
・「基礎データと表示」
・「基礎データ」
 全てテーブルであり下記を格納している。
 なお、過去の調査に2009年版があるが、「T_条文データ2009」は2009年版を元に遡って調査を加えたもので、2009年版と同一ではない。

法令一覧
T_条文データ2002
T_条文データ2009
職業一覧
9908欠格制度一覧

・「表示」
 Q_とついているのはクエリーで、それ以外はフォーム。
 「F_2016_2009_2002」が、初期画面で開いているフォーム「障害者にかかわる欠格条項がある法令と条文(廃止法及び該当しなくなった法令を含む)」である。

左端バーのトップ「基礎データと表示」をクリックするとほかの分類に移行できる。分類のうち「比較」を選択すると、2016年と2009年、2009年と2002年、2016年と2002年を詳細に比較できるクエリーのショートカットを格納した見出しが表示される。


戻る