障害者雇用資格要件見直しと職場環境整備に関する要望 |
2018年10月29日 |
全国知事会 会長 上田清司 様 |
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議 議長 平野みどり |
障害者欠格条項をなくす会 共同代表 福島智 大熊由紀子 |
障害者雇用資格要件見直しと職場環境整備に関する要望 |
DPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国97の障害当事者団体から構成され、雇用・労働分野も含めて、社会のあらゆる場面で障害の種別や程度に関わりなく障害のある人もない人も共に生きることができるインクルーシブな社会(共生社会)の実現に向けて活動しています。 障害者欠格条項をなくす会は、障害を理由とした欠格条項の撤廃をめざして、障害種別や立場をこえて活動しています。その一環として、自治体の障害者対象職員採用試験を調査して報告書を公開し(添付資料参照)、採用前後のありかたについて提言しています。 |
さて、8月に中央省庁や地方公共団体による障害者雇用水増し問題が発覚しました。この反省を踏まえ、障害者の雇用を推し進めるためには、資格要件の再点検と職場環境の整備が不可欠です。さて、8月に中央省庁や地方公共団体による障害者雇用水増し問題が発覚しました。この反省を踏まえ、障害者の雇用を推し進めるためには、資格要件の再点検と職場環境の整備が不可欠です。 財務省は10月15日付で告知した「事務補助員の募集(障害者雇用・財務総合政策研究所)」等において、応募資格に「自力により通勤ができ、かつ、介護者なしで業務の遂行が可能であること」としておりましたが、DPI日本会議の抗議と要望を受けて10月24日に削除しました。応募資格へのこのような制限は、ヘルパー等を利用すれば通勤ができ、職場介助者の活用等で業務が遂行できる障害者を一律に排除する欠格条項です。10月26日の東京新聞によりますと、厚生労働省と人事院は上記の求人について「不適切」との見解を示し、人事院は新たに策定するガイドラインに配慮項目を盛り込む方針を示しました。財務大臣も10月26日閣議後記者会見で「障害者雇用に関する意識が低い、対応がずさんと言わざるを得ない」として再発防止と雇用に取り組む旨を示しました。 このように国では特定の障害者を排除する欠格条項の見直しが進んでおりますが、一方で、多くの地方公共団体では同じような応募資格の制限がいまなお残っており、見直しが必要です。同時に、障害者が働き続けられるように合理的配慮の提供を確実に実施するなど職場環境整備も不可欠です。 我が国が批准している障害者権利条約では、27条であらゆる形態の雇用に関わる障害に基づく差別を禁止しております。また、障害者差別解消法では第4条で国及び地方公共団体の責務として「障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない」としています。さらに、障害者雇用促進法では、雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止しており、第3条で「障害者であることを理由として、障害者を募集又は採用の対象から排除すること」を、障害者であることを理由とする差別に該当すると明記しています。その運用のために厚生労働省が定めた差別禁止指針と合理的配慮指針があります。国や地方公共団体は民間に対して、率先垂範して障害者雇用を進める立場であることも踏まえ、差別的な資格要件の見直しと職場環境整備が必要です。 障害者の雇用と障害者が安心して働き続けることができる職場環境と労働条件の整備を促進するために、全国の都道府県に対し、以下の対応を要望いたします。 |
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添付資料 |
「地方公共団体の障害者職員採用試験 受験資格と合理的配慮の想定について−全都道府県・指定都市・中核市 2013年度夏秋期試験の調査報告書」ダイジェスト版 2014年6月 |
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