成年後見制度に係る欠格条項見直し法案について国会審議並びに
今後の取り組みを求める声明


2018年5月23日
特定非営利活動法人DPI日本会議
障害者欠格条項をなくす会

 今次第196回国会に提出されている「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案」の審議並びに今後の課題への取り組みを求めます。

記1 成年後見制度にかかわる欠格条項の早急な全廃を
成年後見制度にかかわる欠格条項は、遡れば禁治産制度から成年後見制度に移行した時点で見直し が求められていたことでした。しかし大部分の欠格条項がそのまま存続され、この間に欠格条項に 阻まれたり失職等をやむなくされた人々がいます。今国会でようやくこのことを改める法案が出さ れたことを評価し、成年後見制度にかかわる欠格条項の早急な全廃を求めます。かつ、審議・質疑 において、欠格条項の影響をこうむった障害当事者を参考人として招致し、当事者の声をよく聞い て審議されることを望みます。

記2 今後の欠格条項見直し規定の策定を
現行法下で、試験や選考等の個別審査がなされているものについては、単に成年後見制度にかかわ る欠格条項を削除すればよいはずです。ところが、試験や選考等の個別審査がなされており、かつ、 現行法には「心身の故障」欠格条項がないものについてまで、「心身の故障」欠格条項を新設・追 加する法案となっているという、大きな矛盾があります。法案にかかわる184 本の法律のうち、成 年後見制度にかかわる欠格条項を削除したまでで「心身の故障」欠格条項を設けないものは、19 本(10%)にすぎません。成年後見制度にかかわる欠格条項を削除する一方で、「心身の故障」欠 格条項を拡大していくことがないように、今後の欠格条項見直しについての規定が策定されるべき です。

記3 残されている機能障害の欠格条項や心身の故障欠格条項の調査と法制度障壁の除去を
障害者権利条約4 条、第四次障害者基本計画に基づいて、残されている欠格条項全般の調査と除去 を、目標計画をもって進めることが求められています。

記4 政省令の制定過程と内容については障害者権利条約や障害者差別解消法に反しないものに
本法案において「心身の故障」欠格条項は政省令で規定するとされています。政省令で規定する際 には、障害者権利条約や障害者差別解消法に反しない内容にしなければなりません。そのためにも、 政省令の制定にあたっては当事者を交えた検討をおこなうこと、及び、国会への報告を求めます。

記5 あらゆる社会的障壁(障害ゆえの雇用差別など)の撤廃に取り組み合理的配慮の提供を 欠格条項で認めてこなかった権利を回復し、社会のあらゆる分野で実際に働いたり参画することが できるようにするには、欠格条項の削除にとどまらず、必要としている人に合理的配慮を提供する ことを、切り離せない課題として取り組むことが求められています。
例えば、公職選挙法改正によって参政権は回復しましたが、ひとりひとりが参政権を行使できるよ うな選挙のありかた、合理的配慮の提供ということから見ると、まだ大きな課題が残されています。 先例としてマルペケ式投票を導入している自治体(熊本県、大分県)もあります。

記6 代理決定から自己決定支援への転換ということから、後見制度自体の見直しを
障害者権利条約12 条とその一般的意見(1 号意見)で求められている、「代理決定から自己決定支 援への転換」ということから、後見制度自体の見直しに着手し、自己決定支援のありかた検討を開 始することが課題です。

 上述の通り、成年後見制度に係る欠格条項見直し法案について国会審議並びに今後の取り組みを 求めます。

以上


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