地方議会における対応要領策定および標準規則改正等に関する要望書 |
地方議会における対応要領策定および標準規則改正等に関する要望書 PDF ( 169 KB ) |
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2015年12月9日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(名宛人)様 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
※前文は3通とも共通で、項目の部分はそれぞれの名宛人に合わせて記載し、個別に提出しました。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
全国都道府県議会議長会 会長 本木茂 様 |
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全国市議会議長会 会長 岡下勝彦 様 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
全国町村議会議長会 会長 飯田コ昭 様 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議 |
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議長 平野みどり | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
障害者欠格条項をなくす会 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
共同代表 福島智 大熊由紀子 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地方議会における対応要領策定および標準規則改正等に関する要望書 |
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障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(略: 障害者差別解消法)の施行を来春に控えて、今年11月から国会(衆参両院)でも、障害者差別解消法に基づく対応要領の策定が始まりました。 地方自治体においても、障害者の権利に関する条約(略: 障害者権利条約)、共生社会を掲げている障害者基本法、障害者差別解消法にふさわしい対応要領が策定されるように、是非、各議長会から呼びかけと情報提供をお願いいたします。 また、対応要領作成とあわせて、既存の規則や条例に、障害者権利条約第29条、障害者差別解消法第5条および第7条の趣旨に背反するものがないか、自らの点検と是正が求められていることです。とりわけ、各議長会で定められて地方議会のモデルとなっている標準規則【表1】も、差別解消法の趣旨に沿うものにすることを要望するものです。 規則や条例による障害者に対する直接間接の制限は古くからあり、各地で除去が取り組まれてきましたが、今なお精神障害者の傍聴を認めない規則が各地に残されており、「狂人」「精神異常」など差別的な記述も含まれています【表2参照】。 最近の発端は、昨年(2014年)12月に鹿児島県議会と愛知県議会で、視覚障害のある傍聴者が白杖をとりあげられようとしたことです。 愛知県はその後、運用上は白杖を認めるとしましたが、規則にはまだ記載しています。鹿児島県も同様です。規則に「杖の携帯禁止」が書かれていることを根拠として、あるいは「危険物」に該当するとして、傍聴者から白杖を取り上げようとしたのですから、またいつでもどこでも起き得ることで、運用上の対応では済まない問題です。 そもそも、杖の携帯を禁止する規則は、障害のある人が傍聴することも、ましてや議員や公務員として議場に入って活動することも、想像もしていなかった時代の産物ではないでしょうか。 全国町村議会議長会は、今年(2015年)5月28日の都道府県会長会の決定で、標準規則から「杖」を削除しました。同時に「議員が出産のため出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる」条文を新設しました。その際、報道によれば「多くの人に参画してもらうのが時代の流れ」と述べられ、これを受けて各町村の規則改正が進められています。 この間、各議会で、障害者基本法に基づく基本計画の策定、差別解消法に基づく対応要領等の策定、差別解消条例や手話条例の制定など、障害者にかかわる議案が増加、幅広い障害者関係者が審議を傍聴するようになってきています。 また、4月の地方選挙の結果、前例がほぼなかった聴覚障害のある議員も新たに活動を始めました。兵庫県明石市と東京都北区では、手話通訳者や音声文字変換システムを活用しながら取り組んでいます。 このような政治参加は、障害者の地域社会への参画、共生社会づくりの土台であり、国および地方公共団体の積極的な取組を望むものです。 上述の認識に立ち、次の取組を要望します。 |
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記 1.地方公共団体の議会の対応要領の策定 対応要領を策定し、議員および職務で議場に入る職員等、そして傍聴者が障害によって必要としている杖や補助具や機器の利用を妨げないこと、情報アクセス・コミュニケーションにおける合理的配慮を提供することを記載する。 ・差別的取り扱いの事例について、次のことを含める 議員等および傍聴者に対して杖や補助具の使用制限をすること・合理的配慮について、次のことを含める。 議員等および傍聴者が文字通訳、ノートテイクやメモに使用するツール(ノートPC、タブレットPC等)を利用できるようにする。 議員等および傍聴者への手話や文字による通訳を提供する。会議の進行運営を、文字や手話による通訳可能な、わかりやすいものにする。 |
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2.障害者差別解消法にそぐわない標準規則の改正 都道府県議長会の「標準議会傍聴規則」から、「杖」を削除する。 各議長会の「標準議会会議規則」から、「杖」を削除する。 |
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3.各地方公共団体の議会規則、傍聴規則など既存の規則や条例の点検と改正 「杖」を削除し、そのほか精神障害者の傍聴を認めない趣旨の条文など差別にあたると考えられる記述を削除する。「狂人」「精神異常」など古くからの差別的な記述が残されているものを含めて、この機会に点検と是正をおこなう。 |
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以上 |
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*別紙に、本文と関連する条文、資料を掲載しています。 ・障害者の権利に関する条約(日本政府公定訳 2014年1月20日公布)第29条 ・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (平成25年法律第65号) 第5条、第7条 ・表1 「杖」について、国会および各議長会標準規則における会議規則・傍聴規則の一覧 ・表2 精神障害を理由に傍聴を認めない条文を含む規則 |
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*条文 障害者の権利に関する条約(日本政府公定訳 2014年1月20日公布) 第29条 政治的及び公的活動への参加 締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障するものとし、次のことを約束する。 (a) 特に次のことを行うことにより、障害者が、直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。 (@) 投票の手続、設備及び資料が適当な及び利用しやすいものであり、並びにその理解及び使用が容易であることを確保すること。 (A) 障害者が、選挙及び国民投票において脅迫を受けることなく秘密投票によって投票し、選挙に立候補し、並びに政府のあらゆる段階において実質的に在職し、及びあらゆる公務を遂行する権利を保護すること。この場合において、適当なときは支援機器及び新たな機器の使用を容易にするものとする。 (B) 選挙人としての障害者の意思の自由な表明を保障すること。このため、必要な場合には、障害者の要請に応じて、当該障害者により選択される者が投票の際に援助することを認めること。 (b) 障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、政治に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進し、及び政治への障害者の参加を奨励すること。政治への参加には、次のことを含む。 (@) 国の公的及び政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加し、並びに政党の活動及び運営に参加すること。 (A) 国際、国内、地域及び地方の各段階において障害者を代表するための障害者の組織を結成し、並びにこれに参加すること。 |
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障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (平成25年法律第65号) 第5条(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 |
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第7条(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 |
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*資料 表1 「杖」について、国会および各議長会標準規則における会議規則・傍聴規則の一覧 |
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注1(現)第13条(傍聴人の守るべき事項) 四 帽子、外とう、えり巻の類を着用しないこと。ただし、病気その他の理由により議長の許可を得たときはこの限りでない 注2(旧)第7条 (傍聴席に入ることができない者)次に該当する者は、傍聴席に入ることができない。 一 銃器、棒、つえその他人に危害を加え、又は迷惑を及ぼすおそれのある物を携帯している者 (現)第7条 (傍聴席に入ることができない者)次に該当する者は、傍聴席に入ることができない。 一 銃器、棒その他人に危害を加え、又は迷惑を及ぼすおそれのある物を携帯している者 |
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各公式ウェブサイトの記述による | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2015年11月26日調べ 障害者欠格条項をなくす会事務局 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表2 精神障害を理由に傍聴を認めない条文を含む規則 |
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「精神」+「傍聴」の語句でインターネット検索し、各公式ウェブサイトで確認 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2015年12月3日調べ 障害者欠格条項をなくす会事務局 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
*報道履歴から(2015年度下半期) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・11月23日<日本経済新聞電子版> 衆参両院、障害者差別解消法で対応要領策定へ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・9月30日<毎日新聞> 県内全議会:消える傍聴「杖禁止」年内に規則見直し/三重 |
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