自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟が開催され、障害者差別解消法におけるワンストップ相談窓口創設などを要望しました
2022年06月13日 バリアフリー権利擁護インクルーシブ教育
6月10日(金)に自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟が開催されました。この議連は、年に1-2回開催されているもので、石破茂会長、盛山正仁事務局長を中心に、国会議員のみなさんとともに、障害者団体も出席させていただき、各省庁に要望が出来る会議です。
当日は14の府省庁、9の障害者団体の総勢100名を超える人達が集まりました。
2022年度事業
最初に12の府省庁から2022年度予算事業の説明がありました。主な内容は以下のとおりです。
- 内閣府:バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進についての表彰、障害者施策の推進(差別解消法理解促進ポータルサイトの拡充、合理的配慮の事例のデータベース整理)
- 国交省:鉄道駅バリアフリー料金制度の創設、基本構想位置づけた駅のバリアフリー補助1/2へ拡充、住宅のバリアフリー改修促進税制等。
- 警察庁:歩行空間のバリアフリー化(音響信号機器、エスコートゾーン等の整備等。
- 復興庁:仮設住宅や災害公営住宅等で暮らす障害者・高齢者等の被災者に、見守りや心身のケアなどの支援を行う自治体・NPOへの支援。事例の収集・公表。
- 総務省:字幕番組制作助成、機器開発の支援、デジタル活用支援の推進、テレワークの推進、選挙におけるバリアフリー、政見放送の手話通訳士の養成等。
- 法務省:人権侵害による被害者救済活動、人権擁護委員活動の実施、人権啓発活動等。
- 外務省:政府開発援助を通じて開発途上国のニーズを踏まえた障害者支援(バリアフリーのインフラ建設支援)、スポーツ外交推進、文化芸術活動。
- 文科省:学校施設整備(公立学校大規模改修1/2支援へ引き上げ、国立大学・私立学校への補助)、社会体育施設整備、ICTを活用した指導、教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材棟の普及促進プロジェクト、大学における障害学生支援等。
- 厚労省:意思疎通支援の充実、ICTの利活用の促進による情報提供等の充実、支援機器等の活用による社会参加の促進、身体障害者補助犬による社会参加の支援、心のバリアフリーを広める取り組み等。
- 農水省:農福連携の推進、農林水産業・農山漁村におけるバリアフリー。
- 経産省:福祉用具や介護ロボット機器の開発支援、ピクトグラムに関する標準化の推進・普及等。
- 環境省:国立公園満喫プロジェクト等推進事業(ビジターセンター、園路、公衆トイレ等のUD化等)
障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法
続いて5月に成立した障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法について法制局から説明がありました。この法律については、多くの障害者団体から感謝とともに、適切に推進してほしいという要望が出ました。
▽障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)概要(PDF)
障害者団体からの要望
主な要望は以下の通り。
- 選挙公報のバリアフリー化(音声化、点字化、拡大文字化)を進めてほしい。
- 緊急放送の情報保障を。ジングルは聞こえるが、内容は文字しかないので、何が起きているのかわからない。
- 鉄道駅のホームドアの設置推進。視覚障害者は踏切を渡るのは命がけ。
- 信号機の音響化促進。全国の信号機21万機あるうち、音響信号は10%だけ。さらに、夜間早朝は音声が停止している。24時間へ。
- UDタクシーの見直し。大きな車いすは乗れない、乗務員が乗降方法を知らずに乗車拒否が起きている。
- 保健教育で精神疾患のことを触れられるようになったが、先生の理解が進んでいるか。本人、家族の声が反映されるようにヒアリング等の取り組みを。
- 医療保護入院は家族同意が求められる。家族は専門家ではなく、客観的に判断できない。負担も大きい。家族同意を廃止して。
- 精神障害者の交通運賃割引を進めてほしい。
- 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の成立に感謝。アクセシビリティという言葉を入れていただいた。権利条約9条にも入っている概念。広めてほしい。
- 障害者虐待防止法の見直しを。
- 社会生活基本調査、国民生活基礎調査に障害に関する設問を入れてもらった。その他の基幹統計にも障害に関する設問を盛り込んで。調査結果は、クロス集計活用できるように。
- 法務省の人権啓発基本計画はH23年改定されているが、障害者権利条約批准H26年。条約の反映が不十分なので、改正してほしい。
- 新型コロナ 知的障害重症化。3-4回目接種、知的障害の人も理解できるように。
- 障害者差別解消法は、企業側からも相談がある。ワンストップ相談窓口の設置が重要。
- 支援学級在籍の生徒は半分以上支援学級でという通知が文科省から出された。これは懸念している。
DPIからの要望
DPIからは、以下の3点をお願いしました。
■障害者差別解消法 ワンストップ相談窓口をぜひ創設して欲しい。
現在、基本方針の改定を内閣府障害者政策委員会で議論している。現在も各省庁に相談窓口があり、問題を改善していただいている。しかし、課題によってはどの省庁が担当かわからずに、たどり着けず、結局解決しないことがある。
たとえば、映画は、日本映画は文化庁、洋画は経産省、映画館は厚労省。一般の人はこれわからない。飲食店も業務形態によって担当省庁違う。
こういった迷子問題を解消するために、ワンストップ相談窓口を創設し、そこに連絡したら担当省庁に繋いでいただける仕組みを作って欲しい。
■鉄道駅バリアフリー料金制度に関連し、ホーム全体の段差と隙間の解消の推進。
関東の事業者は2箇所程度の段差と隙間の解消が多い。都市部では新型車両はすべての車両に車椅子スペースが設けられている。すべての乗降口から単独で乗降できるようにホーム全体を整備し、すべての乗降口から単独で乗降できるように整備してほしい。
■TOKYO2020アクセシビリティ・ガイドラインの義務基準への反映。
東京オリパラ後に各地で建設されたスタジアムは、残念な整備が多い。東京オリパラで実現したことが引き継がれずに、以前の古い基準で整備されてしまっている。原因は、国基準ではガイドラインしかないため。国基準で義務化に反映することが必要。
むすびに
参加された議員からは、「わかりやすい窓口が必要。全部つながるワンストップ窓口を作る必要あり」「参議院選挙、選挙公報のバリアフリー化の推進」「先日起きた奈良の視覚障害者の踏切事故への対策が必要」といった意見が出されました。
障害者団体からは当日の口頭だけでなく、事前に要望書が出され、省庁からの回答も頂いております。今回も多くの要望が出されましたが、ぜひとも各省庁におかれましては、真摯に受け止めていただき、さらなる取り組みをお願い致します。
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