「駅の無人化」中間とりまとめ発表!~第5回駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会~
2021年09月28日 バリアフリー
すでに報道されていますが、9月24日に第5回「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会」が開かれ、中間とりまとめがまとまりました。構成は以下の通りです。
▽駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会(外部リンク:国交省)
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.意見交換会においてあげられた課題、要望及び改善の方向性等
1.障害当事者への適切な案内・情報提供の実施
①視覚障害者に対する駅務機器等への適切な誘導の必要性
②聴覚障害者に対する文字情報の提供の必要性
③障害当事者の問い合わせを受ける窓口等の整備
2.介助の申し込みにかかる事前連絡に関する認識の共有
3.乗務員による携帯スロープを活用した乗降介助の実施
Ⅲ.新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会との連携
Ⅳ.その他の検討事項
(1)障害当事者の利用状況の現状把握等に関すること
(2)安全対策に関すること
(3)円滑な利用に関すること
(4)その他
3つの重要ポイント
①Ⅱ.2.介助の申し込みにかかる事前連絡に関する認識の共有
意見交換会に参加している全ての鉄道事業者は、障害当事者が鉄道を利用する際、「事前連絡がなくても介助等の対応を行う」、「当該駅が無人駅であることのみをもって、駅の利用を断るような運用は行っていない」ということでした。しかし、DPIが実施したアンケートでは、「事前連絡がないと乗車できない」、「無人駅なので利用できない」といった対応が行われており、これを指摘した結果、改めてそのような対応がないように明記されました。これは非常に重要なポイントです。今後策定するガイドラインの方向性にも、以下の2点が明記されています。
- 介助等にかかる事前連絡は、各社とも事前連絡がない場合においても、可能な限り待ち時間が短くなるよう努めつつ対応を行うこと
- また無人駅であることのみをもって駅の利用を断るような対応を行わないというスタンスが必要である
②Ⅱ.3.乗務員による携帯スロープを活用した乗降介助の実施
これはDPIとJILが実施を強く求めたものです。乗務員が携帯スロープを使って乗降介助を行えば、事前連絡も必要なく、待ち時間もなく、利用時間帯の制限もなくなります。すでに一部の鉄道事業者は、乗務員による乗降介助を実施しています。ガイドラインの方向性としては、「車椅子使用者が介助等にかかる事前連絡がなくとも鉄道を利用できる環境を整備するために、乗務員による乗降介助を実施することは有効であり、早急に導入に向けた検討を進めることが求められる。」と記載されました。
この取組は、まずは以下の条件を満たす路線・線区から施行的に実施されますが、限定的な路線で終わるのではなく、ノウハウを蓄積して随時拡大していくようにということも盛り込まれました。
◆具体的な対応例
以下の条件を満たす路線・線区から試行的に実施
- ホームから駅出入口間の段差が解消されている駅
- 短編成でかつ比較的ダイヤ設定に余裕のある路線、線区の条件を満たす路線、線区
- 乗務員以外の者が乗務員室に侵入することの防止策
- 乗務員不在時に車両が動いてしまうことの防止策
- 試行に当たっては国や障害当事者団体とも連携し、安全確保や安定輸送の確保のために利用者の理解や社会全体の理解を得るとともに、障害当事者に必要な協力をいただきながら実施。
- 乗務員による乗降介助を実施する路線・線区を計画的に順次拡大するため、試行的実施の課題などを踏まえながら検討。
③Ⅳ.(4)その他 施設整備の実施
無人駅であっても計画的にバリアフリー整備を進めるように「無人駅であっても、利用状況等を踏まえつつ、バリアフリー法に基づいて、計画的に施設整備を進めることが求められる。」と明記されました。
今後
今後は、この中間とりまとめを踏まえて、バリアフリー法に基づくガイドラインの策定に取り掛かります。年度内にガイドラインを策定する予定です。
報告:佐藤 聡(事務局長)
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