羽田イノベーションシティで運行中の「自動運転バス」に乗ってきました!
2023年01月25日 バリアフリー
みなさん、「自動運転バス」をご存じですか?自動運転バスとはその名の通り、停車から発車、走行まで全てが自動化されているバスのことで、運転手がいないのが特徴です。
コロナ禍で様々なサービスがセルフ化、自動化していますが、公共交通においても自動化の流れが全国的にじわじわと進んでいます。公共交通機関の自動化はコロナ対策以外でも人口減少している過疎地に導入することで交通崩壊を防ごうと期待されています。
▽参考:
・国土交通省「アフターコロナに向けた地域交通の「リ・デザイン」有識者検討会」
・国土交通省「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」
様々なサービスの自動化が進む一方で、バリアフリー対応が不十分なために障害者や高齢者、妊婦、小さなお子様連れの方、外国人等、様々なマイノリティの当事者が取り残されている現状もあります。
そこで今回、車いすユーザーの工藤と土屋が自動運転バスに乗車できるのか、「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)」へ行ってきました!
羽田イノベーションシティ内で運行中の自動運転バスはフランスのNavya社製「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」という車体を使っています。コロンとした可愛らしいフォルムで定員6名の小さなバスでした。
【写真説明】屋根付きの駐車場にピンク色の自動運転バスが停車している。バスの側面中央付近に両開きのドアがあり、緑色のボタンが光っている。前方には車いすマークのボダンがある。「自動運転 行動実証実験 実施中」と書かれた黄色のシールが貼られている。
停車位置にバスが近づくとバスからアナウンスが流れていました。バスが停車した後、ドアのボタンを押すとドアが開きます。車いすで乗る場合は、車いすマークのボタンを押すと自動的にスロープが出てきます。
一般的な路線バスの場合、乗り降りの際に乗り口側の車体を低く(ニーダウン)して乗るのですが、このバスはニーダウンしなかったため、スロープの勾配がきつく感じました。今回は実証中のスタッフがいたので乗降をサポートしてもらえましたが、今後完全に無人化した時を考えると不安が残りました。
降車時は車内にある車いすマークのボタンを押すと、乗車時と同様に自動でスロープが出て降りることができます。
【写真説明】バスのドアが開き、簡易電動車いすに乗った土屋が乗り込もうとしている。黒のズボン、紺色のジャケットを着たスタッフが土屋の後ろから車いすを押している。
車内には前後と窓側に椅子があり、窓側の椅子は跳ね上げ式でした。電動車いすの私と簡易電動車いすの土屋で2台同時に乗車できましたが、車いす2台と介助者2名、スタッフ1名では狭く感じました。
旅行用のスーツケース等があると身動きが取れないかもしれません。車内の壁には位置情報を写したモニターがあり、スタッフの方によるとこのモニター画面はスタッフが遠隔で確認しており、万一の時は遠隔操縦もできるとのことでした。
窓はとても広く、車いすに乗った高さからでも外の景色がよく見えました。また、走行中に障害物を感知すると自動ブレーキがかかるのですが、ちょっとした時にも急ブレーキがかかっていて、安全面の高さを感じる一方で体幹が弱いとブレーキの度に身体のバランスが崩れてしまいました。
【写真説明】電動車いすの工藤と簡易電動車いすの土屋が車内に乗り込み、横向きで隣り合わせに並んでいる。
【写真説明】車内から窓全体を写した様子。バスの全面に大きな窓があり、電気が付いていなくても車内が明るい。土屋、工藤、介助者の三人が座りながら景色を眺めている。
全体的な感想
今回、自動運転バスというものに初めて乗ってみましたが、運転手がいなくてもスロープを使って乗り降りすることができました。行ってみるまで車いすで乗れるかどうかわからなかったので、まずは乗れたことに安心しました。
ただ、スロープの勾配や車内の広さ、ボタンの位置、停車する時のスムーズさ等、細かな点で「もっとこうだったら良いのにな」と思う部分もいくつかありました。
今後、このような自動運転バスはさらに増えていくと思われますが、どんな人でも障害を感じずに利用できるよう、開発段階から障害当事者の意見を積極的に取り入れていって欲しいと思っています。
(バリアフリー部会長補佐 工藤登志子)