【報告・要注目!】駅の無人化の検討会が開催されました!
(駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会)
2020年12月23日 バリアフリー
12月21日に国土交通省で「第2回駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会」が開催され、DPIの佐藤事務局長が出席しました。
現在、全国的に鉄道駅の無人化が進んでおり(全国の駅の約48%)、車いす使用者や視覚障害者、聴覚障害者、高齢者等をはじめとするあらゆる移動困難者が駅を利用できない、長時間待たされる、乗車を断られる等の問題に直面しています。これらの問題を解消するため、この意見交換会では様々な障害種別の当事者団体と各鉄道事業者22社が参加して意見交換会を行っています。
今回は、各鉄道事業者の無人駅に対する取り組み報告や乗務員による介助事例紹介、当事者団体との意見交換等が行われました。
今回特に気になった点は、鉄道利用時の事前連絡についてです。鉄道事業者への聞き取りでは22社が「各社、事前連絡の期限は設けていない」、事前連絡がなくても対応するとのことでした。ただし、「介助要因の手配などでお待たせせず、スムーズにご利用いただくために、事前連絡へのご協力をお願いしている」とのことです。
しかしながら、DPIが10月に行ったアンケート調査では「前日までに事前連絡をするように言われた」という報告が複数あり、本当に事前連絡の期限を設けていないのか、疑問に思いました。
佐藤事務局長は障害者権利条約の理念に触れ、「私たちは障害者だけに特別な権利を求めているのではない。障害のない人と同じ機会を提供してほしい。障害者だけが事前連絡を求められ、待たされ、利用できる時間が限定されている。これをなくしてほしい。
それは仕方がないと思っているならば、その考え方は捨ててほしい。社会的障壁を除去することを条約は求めている。ホームと車両の間の段差と隙間を解消して単独で乗降できるようにするのがベストだと思うが、整備に多額の費用がかかるだろうから、低コストで直ぐにできる方策として、車両にスロープを積んで乗務員が乗降介助するという提案をしている。待たせるのはやむを得ないという考えは捨てて、どうしたら待たせず、事前連絡なしに始発から終電まで自由に利用できるかという方策を考えて頂きたい。」と要望していました。
また、いくつかの鉄道事業者は障害当事者を交えた社員研修を行い障害種別に応じた理解や対応の教育訓練を行っているとのことでした。これに対して聴覚障害の当事者からは「電話リレーサービスについての研修も行って欲しい」といった意見、視覚障害の当事者からは「当事者が研修に参加していない事業者は当事者も入れるよう検討して欲しい」等の意見が出ていました。
乗務員による乗降介助を実施している事例として、水間鉄道、伊予鉄道、熊本電気鉄道の3社の取り組みが報告されました。車両や駅ホームにスロープを用意し、無人駅でも乗務員が乗降介助を行っており、事前連絡は必要なく、乗降介助の所要時間はいずれも1分程度ということでした。当事者団体から各社でこの方策を取り入れて欲しいと意見がでましたが、事業者からは、保安面(運転手が運転席を離れる危険性)や定時運行から難しい、他のお客様への影響(乗り換え列車への接続)、後続の列車にも影響があるので難しいという回答でした。
その他、駅とのスムーズなやり取りを行うために専用の電話番号を開設して欲しい、見えない障害への配慮を学習して欲しい、音が聞こえない人がやり取りを行えるようモニターを設置して欲しい、各事業者の良い対応事例を共有して欲しい等の意見が出ていました。これらの意見をもとに各社で改善策を検討して頂く予定です。
今回の意見交換会では駅員の体制やその土地の状況等で検討すべき課題が様々あると感じました。また、会社としての方針と現場で対応する駅員との間で認識が異なっている部分も浮き彫りになったため、今後は当事者団体と連携しながら改善していければと感じました。
▽改善に向けて、ぜひともアンケートへのご協力をお願いします!
【緊急募集】鉄道利用で期限を定めて事前連絡を求められた、無人駅の利用を拒否された事例を教えてください!(1月15日(金)まで))
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