【バリアフリー】DPI日本会議 総括所見の分析と行動計画②
2023年04月05日 バリアフリー障害者権利条約の完全実施
DPIでは、昨年9月に国連障害者権利委員会から日本政府に出された総括所見を分析し、今後改正が必要な法制度についてまとめた「DPI日本会議総括所見の分析と行動計画」を策定しました。
今回は障害者のバリアフリーに関する「第9条 施設及びサービス等の利用の容易さ」「第21条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会」「第28条 相当な生活水準及び社会的な保障」「第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加」の①総括所見と②懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)、DPIとしての評価(コメント)、③DPIの行動計画になります。
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- 第9条 施設及びサービス等の利用の容易さ
- 第21条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会
- 第28条 相当な生活水準及び社会的な保障
- 第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
- 総括所見を受けてのDPIの行動計画
是非ご覧ください。
【第9条 第九条施設及びサービス等の利用の容易さ】
総括所見(外務省仮訳)
21.委員会は、以下について懸念をもって留意する。
- ユニバーサルデザインの基準を導入するとともに、あらゆる活動分野を網羅し、政府のあらゆる段階における施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)を確保する義務を調和させるための戦略が限定的であること。
- 特に大都市以外において、情報の利用の容易さ(アクセシビリティ)及び学校、公共交通機関、集合住宅及び小規模店舗の利用の容易さ(アクセシビリティ)を確保するための進捗が限定的であること。
- 本条約における施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)基準及びユニバーサルデザインに関し、建築家、設計者及び技術者に対する意識向上及び研修が不十分であること。
22.一般的意見第2号(2014年)施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)を想起しつつ、委員会は締約国に以下を勧告する。
- 障害者団体と緊密に協議しつつ、全ての政府の段階における施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)を調和させるとともに、ユニバーサルデザインの基準を導入し、特に、建物、交通機関、情報及び通信及びその他公衆に開放又は提供される施設・サービス(大都市以外のものを含む)の利用の容易さ(アクセシビリティ)を確保するために、行動計画及び戦略を実施すること。
- 建築家、設計者、技術者、プログラマーのためのユニバーサルデザイン及び施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)基準に関する継続的な能力構築計画を強化すること。
1.懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)、DPIとしての評価(コメント)
(1)懸念
- あらゆる分野を網羅したアクセシビリティの義務の戦略が不十分(21a)
- 大都市以外の情報アクセシビリティ、学校・公共交通機関・集合住宅及び小規模店舗のアクセシビリティが限定的。(地方のアクセシビリティの向上)(21b)
- 建築家、設計者及び技術者に対するアクセシビリティ基準とユニバーサルデザインの意識向上と研修が不十分(21c)
(2)勧告
- 障害者団体と密接に協議して行動計画を策定し、実施する。(22a)
- 建物、交通機関、情報及び通信、公衆に開かれた施設・サービスのアクセシビリティを確保する。(地方も含む)。(22a)
- 建築家、設計者、技術者、プログラマーのためのユニバーサルデザイン及びアクセシビリティ基準の継続的な能力構築計画を強化する。(22b)
(3)DPIとしての評価
以下の3点から、日本の現状を正確に把握し、適切な勧告だと評価する。
- 日本のバリアフリー整備で遅れている建物(建物、ホテル、小規模店舗)、情報通信のアクセシビリティの確保を求めている。
- 地方も含めたアクセシビリティの確保を求めている。
- これまでほとんど取り組まれてこなかった建築家等の専門家に対し、アクセシビリティの継続的な研修を求めている。
【第21条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会】
総括所見(外務省仮訳)
45.委員会は、以下を懸念する。
- 盲聾(ろう)者のように、より多くの支援を必要とする障害者を含む、全ての障害者に対する情報提供及び意思疎通の支援の不足。
- テレビジョン番組及びウェブサイトを含め、障害者が公共情報及び通信を利用する機会を得るために直面する障壁及び地方政府間の格差。
- 日本手話の公用語としての法律上の承認の欠如、手話使用の研修の欠如、及びあらゆる活動分野における手話通訳の欠如。
46.委員会は、締約国に以下を勧告する。
- ウェブサイト、テレビジョン番組、その他メディア様式で公衆に提供される情報の利用の容易さ(アクセシビリティ)確保のために、あらゆる段階における法的拘束力のある情報及び通信の基準を開発整備すること。
- 点字、盲聾(ろう)通訳、手話、「イージーリード」、平易な言葉、音声解説、動画の書き起こし、字幕、触覚、補助的及び代替的な意思疎通手段のような、利用しやすい意思疎通様式の開発、推進、利用のための予算を十分に割り当てること。
- 国として、日本手話が公用語であることを法律で認めること、あらゆる活動分野において手話を利用及び使用する機会を促進すること、有資格の手話通訳者の研修及び利用が可能であることを確保すること。
1.懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)
(1)懸念
- すべての障害者の情報提 及び意思疎通支援が不十分。(45a)
- テレビ番組とウェブサイトを含めた公共情報及び通信のアクセシビリティの障壁と地域間格差。(45b)
- 日本手話が公用語として法律で承認されていない。手話使用の研修がなく、あらゆる分野で手話通訳が欠如している(45c)
(2)勧告
- あらゆる段階で法的拘束力のある情報及び通信の基準を開発整備すること。(45a)
- 利用しやすい意思疎通様式の開発、推進、利用のための予算を十分に割り当てること。(45b)
- 国として、日本手話を公用語として法律で認めること。(45c)
- あらゆる分野で手話の利用機会を促進すること。(45c)
- 有資格の手話通訳者の研修、利用を確保すること。(45c)
(3)DPIとしての評価
コミュニケーション支援の不足、情報アクセシビリティの徹底不十分など、現状を的確に把握し、懸念事項として指摘したのは高く評価できる。今後は、勧告に提示された法的拘束力のある、より実効的な法律・基準の制定が望まれる。
【第28条 相当な生活水準及び社会的な保障】
総括所見(外務省仮訳)
59.委員会は、以下を懸念する。
C.民間及び公共住宅の利用の容易さ(アクセシビリティ)を確保する基準に関する限定的な進捗。
60.本条約第28条及び持続可能な開発目標のターゲット1.3の関連性を考慮し、委員会は以下を締約国に勧告する。
C.民間及び公共住宅に適用される法的拘束力のある利用の容易さ(アクセシビリティ)基準を定めること、及びその実施を確保すること。
1.懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)
(1)懸念
- 民間及び公共住宅のアクセシビリティを確保する基準が限定的(59c)
(2)勧告
- 民間及び公共住宅に適用される法的拘束力のあるアクセシビリティ基準を定め、実施すること。(60c)
(3)DPIとしての評価
以下の2点から日本の現状を正確に把握し、適切な勧告だと評価する。
- バリアフリー法では、共同住宅は出入り口や通路等の公共スペースしかバリアフリー整備義務がなく、居室内の整備基準がない。また戸建て住宅についてのバリアフリー整備義務はない。そのため、1994年のハートビル法制定以降、住宅のバリアフリー化はほとんど進展してない。
- 障害者が住める住宅を増やすためにも、法的拘束力のあるアクセシビリティ基準の策定は不可欠。
【第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加】総括所見(外務省仮訳)
63.委員会は、以下を懸念する。
- 観光地及び娯楽施設の利用の容易さ(アクセシビリティ)の限定的な確保。
- テレビジョン番組、文化的活動及び電子出版物を利用する機会における障壁。
64.委員会は、以下を締約国に勧告する。
- 小規模なものも含め、観光地及び娯楽施設の利用の容易さ(アクセシビリティ)を確保するための努力を強化すること。
- 利用しやすい様式を通じて、テレビジョン番組及び文化的活動を利用する機会を提供するとともに、利用しやすさが確保された出版物の利用可能性を高めるために、「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」を実施するための措置を強化すること。
1.懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)
(1)懸念
- 観光地、娯楽施設のアクセシビリティが不十分。(63a)
- テレビ番組、文化的活動、電子出版物の利用に障壁がある(63b)
(2)勧告
- 観光地と娯楽施設でのアクセシビリティ確保の努力を強化すること。(64a)
- マラケシュ条約の実施を強化すること。(64b)
(3)DPIとしての評価
以下の4点から、日本の現状を正確に把握し、適切な勧告だと評価する。
- 観光地のバリアフリー整備は非常に悪い。とりわけ、国立公園は一部しかバリアフリー化されていないなど、車椅子利用者はほとんど利用できない状況。
- 娯楽施設もバリアフリー整備基準が不十分。映画館、スタジアム、劇場等、公園等。
- バリアフリー法に人権や「他の者との平等」という発想がなく、もっぱらガイドラインで求めている。
- 21条と重なるが、テレビ、web、出版物の情報保障も不十分。
2.法律・制度・施策の改善ポイント
(1)障害者基本法の改正
- 住宅の確保(20条) (総括所見60c)
・ 障害者が住める住宅の確保をするために必要な施策を講じなければならないとしているが、実際にはほとんど取り組みがない。住宅セーフティネットは登録物件が非常に少なく利用広がっていない、障害者が住める共同住宅等の居室内のバリアフリー整備の義務基準がない。戸建て住宅のアクセシビリティは全く考えられていない。
・ より強制力のある仕組み、書きぶりの検討が必要。 - 公共的施設のバリアフリー化(21条) (総括所見22a)
・ 官公庁施設、交通施設(駅、バスターミナル、船舶のターミナル、空港等)のバリアフリーの整備は一定進んでいる。
・ しかし、バリアフリールートの複数化、エレベーターの大型化、バリアフリートイレの複数化など「他の者との平等」という視点での基準の引き上げが課題。
・ 義務基準の改正につながるような取り組みが必要。 - 情報の利用におけるバリアフリー化等(22条) (総括所見46a、46b)
・ 機器の普及、役務の利便の増進、施設整備、意思疎通仲介者の養成と派遣が図られるように必要な施策を講じなければならないとしているが、いずれも現状は不十分。具体策につながる記述に出来ないか。
・ 機器の普及のためには、アクセシビリティを要件とした公共調達の仕組みが必要(米国のリハビリテーション法508条等)。 - 手話は、障害者基本法において、「意思疎通のための手段」の例示として「言語(手話を含む。)」と規定されているにとどまっている。「障害者の権利に関する条約」第二条において、手話が音声言語と同様に言語であることが宣言されており、これに基づいて、障害者基本法においても、手話が言語であることを宣言し、言語権を確立していくことが求められる。(46b)
(2)バリアフリー法の改正
- 障害のある人のアクセシビリティを人権の観点で考える
・政府は「移動権については、社会的コンセンサスが得られているとはいえない状況」と述べて、バリアフリー法の中に「アクセスは人権である」という考え方を導入していない。政府は何をもって「社会的コンセンサス」を測るかを明らかにしていない。
・また、「他の者との平等」という考えからも大きく立ち遅れている。その結果として、例えば車いす使用者が使えるトイレは2000㎡未満の建物には求められておらず、2000㎡以上の場合でも1か所整備しておけば合法となっている。 - ユニバーサルデザインという視点が不十分。
・バリアフリーとユニバーサルデザインの違いをどうするか検討必要。 - 対象範囲が狭い
・例えば、建物は床面積2000㎡以上の特別特定建築物のみというように、総括所見が指摘する「すべての領域」になっていない。
・上記のように面積で定めているため、一定の規模のある建物が少ない地方でのアクセシビリティ整備が進まない。 - 義務基準が不十分
・国際パラリンピック委員会が策定したバリアフリー整備基準「IPCアクセシビリティガイド」に比べて、特に建物関係はバリアフリー法の義務基準が低く、移動等円滑化基準(義務基準)だけでは円滑な利用ができない。
・バリアフリートイレは建物に1つあれば良い、車いす用駐車スペースも1つ以上というように基準が低く、引き上げが必要。
(3)バリアフリー法基本方針の拡充(22a)
政府の戦略としては、バリアフリー法の基本方針(2021~2025)はあるが、以下の課題がある。次期基本方針(2026~)の策定に、以下の課題の改定・拡充が必要。
- 目標が低い
・鉄道ではホームドアの設置目標は3000番線等、掲げられている目標を100%達成しても、不十分であり、バリアフリーな社会になったとは言えない。
(4)バリアフリー法移動等円滑化基準(義務基準)の拡充(22a)
- 建物
a.ビル
・面積に関係なく整備する。
・特別特定建築物の対象拡大。
b.ホテル
・ 全室UD化の促進
➡東京都建築物バリアフリー条例2022改正で義務基準引き上げ。これを全国の条例にも広げる。
・バリアフリールーム1%の引き上げ(国際的には3-5%)。
c.小規模店舗
・現在は建築設計標準(ガイドライン)のみ。義務基準への引き上げ。敷地条件などを勘案し、やむを得ない場合はハードのみではなく合理的配慮も含めてアクセシビリティを確保する。
d.共同住宅(総括所見60c)
・居室内のバリアフリー整備基準の策定が必要
・対象とする共同住宅の拡大
・戸建て住宅の基本的なアクセシビリティの確保。(出入りできる、室内で移動できる、トイレ・が使える)
e.劇場・スタジアム等 (総括所見64a)
・現在は建築設計標準(ガイドライン)のみ。義務基準への引き上げが必要。
➡東京都建築物バリアフリー条例の次回以降の改正に盛り込ませる(2024?) - 交通
a.鉄道
・ホームと車両の段差と隙間の解消
・ホームドア設置推進
・バリアフリートイレの複数化
・Web予約
b.バス
・乗車方法の見直し(固定に頼らない)。ヨーロッパのように後ろ向き乗車等
・空港アクセスバス:の導入促進(現在は乗降客2千人以上の国内27空港の路線のみ)
・長距離バス:現在、適用除外でバリアフリー基準なし。
・ホテル等の巡回バス:現在基準なし。
c.UDタクシー
・UD基準の見直し(大きな車いすも乗れるように、簡略化も)
・運転手による乗車拒否の禁止。
・運転手の接遇研修の強化。
d.航空機
・バッテリーチェック問題。事業者の情報共有システムの見直し。
・呼吸器ユーザー等の搭乗の基準見直し
・1機あたりに乗れる障害者の数の見直し
e.船舶
・観光船等のバリアフリー基準(一部しかいけない、デッキに上がれない等) - 情報コミュニケーション (総括所見46a、46b)
・テレビ、webサイト等の情報アクセシビリティを義務付ける法の策定(障害者情報アクセシビリティコミュニケーション法の改正)
・すべての公共の情報提供での情報保障を義務付ける法制度の策定。
・公共調達の法策定。 - 観光地のバリアフリー整備(64a)
・国立公園のバリアフリー整備の推進。(環境省への働きかけ) - その他 施設やサービス
(5)地方のバリアフリー整備の推進(22a)
- 新たな地方のバリアフリー整備計画を策定する
- 2023年から鉄道駅バリアフリー料金制度がスタートし、地方には国からの補助金が増えるので、これを契機に働きかける。
- 無人化対策。地域の移動手段をどのように確保するかを、私企業の経営問題に委ねるのではなく、国家としての明確な方針の策定を求める。
(6)アクセシビリティを要件とした公共調達の創設(22a)
- アクセシビリティを確保した商品を普及させるためには、アメリカのリハビリテーション法508条のようなアクセシビリティを要件とした公共調達の仕組みが不可欠。アメリカ、カナダ、メキシコ、EU、オーストラリア等で実施されている。
(7)障害者情報コミュニケーション施策推進法の実施(22a)
- 2022年度に成立した障害者情報コミュニケーション施策推進法を適切に実施する。
- 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法を具体的に推進するための基本方針の制定がまだなされていない。各府省庁の役割は何か、目標は何か、今後の推進計画は何かを、当事者団体を含めた協議を進めて、早期に基本方針を制定する必要がある。
(8)建築士等の定期講習(22b)
- 建築士法の規定により、建築士事務所に属する建築士は、3年ごとの建築士定期講習が義務付けられている。ここにUDの研修を組み込む。
(9)障害者差別解消法関連
- 内閣府が実施している合理的配慮の提供等事例集には、現状、コミュニケーションや情報アクセシビリティへの配慮について、数箇所に記載があるが、もっと拡充していく必要がある。例えば、セミナーへの手話通訳設置、映画への字幕付与、TV番組やCMへの字幕付与など。
- 基本方針には、啓発活動として、(1)行政機関等における職員に対する研修 (2)事業者における研修 (3) 地域住民等に対する啓発活動とあるが、実際に行っているのは、周知リーフレット・ポスターを作成し、各府省庁や各自治体への送付や、地域フォーラムを行なっているのみで、啓発が不十分である。特に事業者への周知・啓発が不十分なので、今後は、事業者向けにもフォーラムを開催するなど、取り組みを強化していく必要がある。
(10)障害者総合支援法関連
- 「意思疎通支援」は地域生活支援事業のひとつで、意思疎通が困難な方のために、手話通訳者や要約筆記者などを派遣し、コミュニケーションの円滑化を図っているが、地域格差が大きい。これを解決するためには、全国一律の仕組みとして、地域格差を解消するなどの検討が必要である。
(11)情報アクセシビリティ自己評価様式(通称:日本版VPAT)
- 2021年3月にICT機器・サービスの情報アクセシビリティ確保を促進することを目的とした情報アクセシビリティ自己評価様式(通称:日本版VPAT)が制定された。本様式は、各企業・公的機関等が自社のICT機器・サービスについてアクセシビティ確保の状況を自己評価した結果を公表し、企業・公的機関や当事者が選択する際に参考としていただく仕組みであり、ICT機器・サービスの情報アクセシビリティ確保の促進には重要な施策である。本様式の認知度が低いため、今後さらに啓発し、普及していく必要がある。
- 2022年4月にデジタル庁より政府情報システムに関する共通ルールとして、『デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン』が公表され、整備する情報システムの内容に応じ、総務省が公開している情報アクセシビリティ自己評価様式(通称:日本版VPAT)の書式に基づき、アクセシビリティへの対応状況(あるいは対応予定)を記載するように応札者に求めることで、可能な限り、障害の種類・程度を踏まえた対応状況を確認することが推奨されているが、今後は、日本版VPAT対応を公共調達要件にしていく必要がある。
- 将来的には、本様式を公共機関だけでなく、民間企業においても調達要件に含めていく必要がある。
(12)情報バリアフリー事業助成金(国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)実施)
- 本助成金は、「誰もが等しく通信や放送のサービスを利用できる環境を整備」するための機器の開発やサービスの提供を行う事業を公募の対象としているが、現状では数件の助成しかなされていない。助成金の拡充および啓発を行い、情報アクセシビリティ対応する民間事業者に積極的な助成が必要である。また、情報アクセシビリティ対応機器・サービスの開発・改良だけでなく、運用や人材育成などにおいても助成していく必要がある。
総括所見を受けての短期、中期行動計画
(1)短期2022-24年
- 地方のバリアフリー推進計画(22a、2(3))
- 環境省へ働きかけ国立公園のバリアフリー化を推進する。(64a)
- 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の推進(22a)
- 障害者基本法の改正
(2)中期 2025-27年
- 条例での義務基準の策定(22a、2(2))
- バリアフリー法基本方針の改定(2025年)(22a、2(1))
- バリアフリー法移動等円滑化基準(義務基準)の拡充(22a、2(2))
- アクセシビリティを要件とした公共調達仕組みづくり(22a)
- 建築士等の定期講習(22b)
- バリアフリー法の改正(22a)
以上