11月13日(日)「東京オリパラ2020から、アジア競技大会・アジアパラ競技大会2026に向けて ~誰もが安心・安全のバリアフリー環境に いいねぇ!」開催報告(愛知県重度障害者団体連絡協議会主催)
2022年12月09日 バリアフリー
こんにちは。私は、愛知県重度障害者団体連絡協議会の事務局長をしています、入谷忠宏と申します。
2026年に「アジア競技大会・アジアパラ競技大会」が愛知県とその近隣県で開催されます。それに基づき、今年度も昨年度に続き、各競技施設や交通アクセスなどのアクセシビリティな環境作りをするために、愛重連主催のシンポジウムを開催しましたので、報告をさせていただきます。
アジア競技大会・アジアパラ競技大会へのアプローチについて
愛重連がなぜ、アジア競技大会についてアプローチをしているかお伝えします。2026年にリニア開通に基づき名古屋駅再開発が進んでいます。愛重連のバリアフリーに対する取り組みとして行政及び事業者にアクセシビリティについて様々な働きかけをしています。
なかでも2015・16年に、名古屋駅の乗り換えに対する調査をおこないました。名古屋駅が再開発されることにより、誰もが安心して利用しやすい環境をつくることを目指した取り組みをしており、で現在も他団体も含め、建物や交通に関する施設など、1度作ると改修が難しいこともあり、設計段階など当事者参画を働きかけています。
そんななか2026年にアジア競技大会が開催されると聞き、愛知県がこのイベントをきっかけに今回の競技大会の為だけでなく、生活に基づいた社会にしていくための新たな働きかけとして取り組みを決めました。
愛重連主催 シンポジウム開催について
2021年度から、アジア競技大会についてのアプローチを行い、現在まで行政及び事業者との懇談会、説明会、調査などを行い各障害者団体や子育て支援、地域住民が参加し一緒に作り上げてきました。
愛重連の取り組みとしては、昨年、連続シンポジウムを開催し、第1回目は「スポーツの楽しさ・誰もが参加出来るイベント」について、第2回目は「東京オリパラ2020のレガシーを継承するバリアフリー環境作り」というテーマで行いました。1回目はパラアスリート、ボランティアスタッフ(車いすユーザー)、が登壇し、スポーツは誰もが楽しむもの。
障害があっても、観覧するのみでなく、競技者やおもてなしをする側になり、様々な関わりができる環境作りが必要。2回目は、DPI日本会議の事務局長である佐藤氏を講師に迎え、「東京オリパラ2020の継承」と題して、新国立競技場の建設されるプロセスとアメリカのバリアフリー事情をはなしていただき、一番のポイントとして、当事者参画の必要性を伝えていただきました。
後半には、行政(名古屋市)から、アジア競技大会の担当者2名と地元障害者団体として愛重連が、登壇しました。このシンポジウムの中で、行政からは、競技場のバリアフリー化と当事者の声・参画をこれからも取り入れることと、まずは、瑞穂陸上競技場の周辺地域の交通アクセスとアクセシビリティの整備をしていくことも伝えていただきました。
2022年度 愛重連主催シンポジウム
今回の目的として、東京オリパラのコンセプトとレガシーを引き継ぎ、この地域においても、共生社会の実現に向けた、着実な一歩を築くことが必要です。そのため、開催前から開催後までのバリアフリーという視点から、パラアスリート、大会関係者、行政、専門家等を招き、シンポジウムを開催しました。
昨年度のシンポジウムから約半年の月日が流れる中、シンポジウムでの発言や当事者団体の関わりが、どれくらい取り入れられ、どのくらい進んでいるか、検証と実施の進捗状況を目的に、2022年度のシンポジウムを企画しました。
第1部について、パラリピアンの方からの基調講演でした。『挑戦って楽しい』という内容で、パラスポーツとの出会い・取り組んだきっかけ、パラスポーツの魅力・楽しさ、一番印象深いエピソードなどを語っていただきました。
第2部については、前半・後半にわけて行いました。前半は、昨年度同様、行政(名古屋市)からアジア競技大会・アジアパラ競技大会担当者が、ご登壇いただきました。
前回のシンポジウムから進んだこととして、瑞穂陸上競技場周辺地域が重点指定地域となり、交通アクセスや環境整備について、計画ができた。この計画が進んだのも、地元当事者団体と地域の当事者住民などの調査及び要望があり、行政と共に協力があり、短期間で計画が進んだことの報告がありました。
また、昨年度DPIの佐藤氏の発言にあったように、当事者参画が必須と行政の仕組み・体制作りが必要ともありました。
愛重連からは、この1年、愛知県体育館、瑞穂陸上競技場、東山テニス場、名古屋市レインボーホールなど、バリアフリーに関する説明会及び懇談会に参加、瑞穂陸上競技場周辺地域のアクセシビリティについての調査、要望を行い、WGや会議に参加をしました。
各競技施設から計画が伝えられる中、安全性、利便性など様々な問題及び課題が浮かび上がってきました。共生な社会を掲げている中、入退場が一緒ではないこと、階段がメイン入口となり合理的配慮がかけていることから、意見交換となりました。行政及び事業者との話し合いをしていくことにより、できる限りの配慮をしていただきました。
現在の段階では、まだまだ課題はありますが、まずは期待できるような環境になってきており、嬉しく思いましたと伝えました。前半のまとめとして、ファシリテーターから、第1部の講演の内容を踏まえ、施設づくりを含めた、ハードとソフトの調和が必要というコメントがありました。
第2部・後半については、登壇者それぞれの、これからの取り組みというテーマで、最初にDPI日本会議バリアフリー部会から工藤登志子氏に話していただきました。
内容は、東京オリパラ後の環境整備で、国立競技場を作っていく際の、WGへの当事者参画の必要性。終了後1年、交通アクセスや建物のバリアフリー化などで変わったところの話、障害者差別解消法や8月に行われたジュネーブでの建設的対話を踏まえた、その後の取組みや市民の意識を変えていく必要性など、環境整備について、東京オリパラ2020が終わりではなく、継続が大切ということを伝えていただきました。
最後に、登壇者からのコメントをいただきました。行政のお二方からは、今後の大会を通した今後の取り組みとして、仕組み・体制作りにあたり、当事者参画の必要性を感じ、今後も一緒に進めていくこと。パラリピアンからは、東京オリパラ2020を経験して、海外との環境の違いなど、気づいたこととして、海外に遠征に行ったとき、選手たちが障害の有無なく、一緒に練習をしていたことが違和感なく、これが普通なんだと感じたこと。それが、インクルーシブではないかとありました。
工藤氏からは、東京オリパラで、成功したことを受け継ぎ、できなかったことを修正して実現してほしいこととして、各地での当事者参画と東京オリパラ2020が実施したことをスタンダードにしていくと発言がありました。
愛重連からは、これから名古屋市をはじめ、愛知県下で様々な環境整備をしていく際、すべてのところに当事者参画をしていくことの働きかけをしていく。障害の有無なく、競技者及び観覧者すべての人が安心して利用できる、ワクワク感が共有できるような環境作りをしていき、機能重視だけではなく、どう楽しめるかも焦点になるので、常に声を上げていくことをコメントしました。
後半のファシリテーターのコメントとして、「ハード」と「ソフト」、そして「ハート」について、多様性を重視した環境整備を進めるため、計画の段階からの参画をしていくこと、社会の意識改革も必要と話されていました。
シンポジウムを開催して
前年度、パラアスリート・ボランティア・観覧者など様々な視点からお話を頂き、バリアフリーな環境を目指し、全国の障害者団体・行政・地元の障害者団体などの東京オリパラ2020を始め、様々な活動からのお話やこれからのアジア競技大会について、話して頂くシンポジウムとなりました。
今年度は更なる飛躍を目指し、前回のシンポジウムからどのような進展があったか、どのような動きがあったか、各立場からのお話をして頂きました。バリアフリーの環境を整えるということは、競技者・大会ボランティア・観覧者など様々な立場の方々が関わってきます。その中でパラリピアンを迎え、選手としての体験や経験を語っていただきました。
今年度のシンポジウムを開催して実感したことは、様々な視点と当事者参画を重要視した上で、一緒に作り上げていくことです。会場周辺の交通アクセスなどの環境整備とパラリンピックなどのイベントが開催される必要性です。
地域の方や、行政の方が、一緒になり環境を作る大切さを伝えることができました。バリアフリー調査をすることで、様々な問題・課題がみつかり、一緒に計画を作り行動することにより、社会が変わっていくと感じました。
パラリピアンの講演では、メダルを振ると音が鳴るようになっていること、点字があることなど、細かな配慮がなされていることを初めて知りました。さらに、欧米では障害の有無で競技大会を分けるのではなく、同時に開催されることが多いと聞き、スポーツにおいてもインクルーシブな状況が当たり前となっていることが素晴らしいと思いました。
バリアフリー化に関しては、今回の愛知でのアジア競技大会・アジアパラ競技大会、東京オリパラ2020の新国立競技場建設に障害当事者が参画したように、まちづくりにおける好機を逃さないようにアンテナを張っておくことが重要だと感じました。
そして、誰にとっても利用しやすい環境へ変えるためには障害当事者の声だけでなく、議員の方や行政の方、事業者の方、様々な立場の方がお互いに補完しあい、協力し合うことで実現できることを改めて感じることができました。
障害有無なく、誰もが、好きな席でスポーツ観戦、コンサート、イベントに参加することができる日がくることを願い、声を出していきます。これから始まる計画ですが、計画を当事者参画の上で攻めていき、当事者の参加があることでより、バリアフリーな環境が出来ると感じました。東京オリパラ2020のレガシーを受け継ぎ、アジア競技大会・アジアパラ競技大会の開催が、みんなが楽しめる大会になれば良いと思います。
イベント詳細
■日程:2022年11月13日(日) 13時~16時
■会場:ZOOM、ウインクあいち 会議室1301
■開催方法:zoom(参加者:オンライン、登壇者:会場)
■参加費:無料
■登壇者
- 講師:太田渉子氏(パラリンピアン スキー/テコンドー)
- シンポジスト:ふじた和秀 氏(名古屋市会 第20回アジア競技大会推進議員連盟会長)
- 平松 修 氏(名古屋市健康福祉局局長)
- 工藤登志子 氏(DPI日本会議 バリアフリー部会)
- 入谷忠宏 氏(愛知県重度障害者団体連絡協議会 事務局長)
- コメンテーター:太田渉子 氏(パラリンピアン(スキー/テコンドー))
- ファシリテーター:磯部友彦 氏(中部大学 教授)
■参加者
参加者:75名(地元障害者団体、行政(愛知県、名古屋市、議員)、建設業者、一般)
報告:入谷忠宏(愛知県重度障害者団体連絡協議会 事務局長)
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