「バリアフリーのさらなる推進を!」アクセス関西ネットワーク学習会報告(講師:佐藤聡)
2021年07月09日 バリアフリー
DPI事務局長の佐藤が講師を務めた学習会の報告を、妹尾さん・山田さん(アクセス関西ネットワーク賛同団体 NPO法人ぱあとなぁ)が書いてくれましたので、ご紹介します。
アクセス関西ネットワークは、2011年に行った「バリアフリーリーダー養成研修」の実行委員会立ち上げをきっかけに、2012年に設立しました。
関西地区で活動する障害者団体および個人が賛同団体・賛同人となり、各地域間の共通した課題に対する取り組みや意見交換を行うなど、緩やかなネットワークを構築しながら、公共交通機関やまちづくりのバリアフリー化を各地で広めることを目的としています。
学習会でD P I日本会議の佐藤聡さんをお招きし「東京オリパラのDPIの取り組み〜東京オリパラをネタにバリアフリー基準のバージョンアップ〜」という講題でお話いただきました。
日本のスタジアムでは、車椅子席の少なさや、サイトラインの確保、チケット購入の窓口、座席までのルートが分けられています。しかし、アメリカのスタジアムでは、健常者と場をわけない(インクルーシブ)な形で設計されています。
また車椅子席に関しても、日本ではサイトラインが確保されていない事がほとんどであるが、アメリカではサイトラインの確保はもちろんのこと、車椅子席の数も全体の0.5%以上必要である事が、法的整備されています。
佐藤氏は、この現実を知り「東京オリパラプロジェクト」を立ち上げ、日本のバリアフリー基準のバージョンアップに対して一緒に取り組む仲間を集め活動を始めました。
東京オリパラプロジェクトでは、3回の政策提言や会場の視察などを通して問題点をチェックし、マスコミを活用しPRしました。
そのような活動の中でI P CアクセシビリティガイドをベースにしたTokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインを作成するように働きかけたり、バリアフリー基準・ガイドラインの改正を行うように提言したりして、UD2020行動計画に結実しました。
新国立競技場のユニバーサルデザインワークショップでは、「世界最高のユニバーサルデザイン」という基本理念のもとで多様な障害者団体、高齢者、子育てグループを構成員として基本設計の段階から完成までの各段階で意見が反映された。また、モックアップ(実寸大の模型)を作ってテストすることも行われました。
このように、東京2020オリパラは日本のバリアフリーに世界基準の導入と多様な障害当事者の意見反映などの成果(車椅子用席500席など)がもたらされました。
2025年には大阪万博が開かます。佐藤氏は、大阪万博は関西のバリアフリーやまちづくりを推進するチャンスであると述べられました。そこでは、一緒にバリアフリーの課題に取り組む仲間を集め「こうしてほしい」という具体案を提示するという提案型の運動を推進していく必要であると述べられました。
また、同時にTokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインに基づいた施設整備、東京オリパラのようなユニバーサルデザインワークショップの実施、運用マニュアルの作成という3つの重要な視点があるとして、共に「インクルーシブな社会をつくろう!」とまとめられました。
佐藤氏の講演に引き続き、関西からは、関西空港第1ターミナルビルリノベーションバリアフリー検討会の報告とセレッソ大阪ヨドコウ桜スタジアムの改善要望活動の報告という2本の報告がなされました。
その中でも関空のバリアフリーでは、ボーディングブリッジ内のエレベーターの設置やバリアフリートイレの機能分散、点字ブロックの敷設方法、案内表示をはじめとする情報提供、カームダウンスベース等の課題が話し合われていると報告されました。
以上のように、本学習会は盛会のうちに幕を閉じました。
報告:妹尾・山田(アクセス関西ネットワーク賛同団体 NPO法人ぱあとなぁ)
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