今年3月初旬、英国チーム関係者宿泊予定ホテルのバリアフリーチェック取材に同行しました(オリパラ)
2020年04月07日 バリアフリー
今年3月初旬に、開催延期が発表された2020東京オリンピック・パラリンピックの関連宿泊施設について、英国メディアによるバリアフリーチェックの取材が行われ、DPI日本会議も協力しました。
2012年ロンドンのオリンピック前後にイギリスのTV局チャンネル4で放送されたドキュメンタリー番組 ”No Go Britain”(どこへも行けないイギリス)シリーズは、障害当事者のグループが公共交通機関でのアクセスの悪さに対する抗議行動を行っている様子(リンク:youtube(英語))や各交通手段のアクセシビリティをチェックしている様子(リンク:youtube(英語))を放送し、当時の現地では大いに話題になりました。
今回、夏のオリパラ開催を前提に3月初旬、イギリスTV局チャンネル4関連番組制作スタッフによるパラリンピックチーム関係者が宿泊予定のホテルのバリアフリーチェックの取材が行われ、山嵜涼子さん(自立生活センター小平)が介助者と共に協力・同行しました。
実際にホテルの中に車椅子で入ってみて、アクセシビリティーは十分か、何か不都合はないか、などを見てきた山嵜さんからの報告です。
東京パラリンピックには200名のスタッフが来日予定ということでした。ロンドンから来日したTV番組制作会社のKさんと通訳に同行しました。
200名の15%から20%は自らも何らかの障害のあるスタッフがいて、車いす使用者も存在するため、彼らが3週間宿泊するホテルの車いす使用者に対する適合性について調査を行うというものでした。
やったことは、主に部屋の大きさ、バスルームとトイレへのアクセシビリティの調査です。他には利便性、景観、価格も重要ということです。
調査したホテルは東京の中心地にある5カ所:
① Aホテル
② Bホテル
③ Cホテル
④ Dホテル
⑤ Eホテル
※①②③は長期滞在型ホテル
滞在型ホテルはミニキッチンが付き、簡単な調理ができるようにキッチン用品も揃う部屋。
しかし、部屋のドアを開けたらすぐ脇にキッチンがあり通路が狭くキッチンは車いす対応ではないので使用はできないですし、シンクや蛇口の位置は高い。
部屋は食事ができるテーブルセットと机またはソファがセットされています。その机は手動車いすでは使用できます。ベッドの高さはトランスが楽な高さではありますが、机やソファがあるために、ベッドに移乗するためには家具の配置換えが必要になります。
肝心のトイレはどれも問題がありました。手すりがない、洗面所が邪魔して便器に近づくには手動車いすでスポーツタイプでなければ無理なほど壁や間仕切りや洗面所の出っ張りが邪魔しているものがほとんどでした。
気がついたところでは、①は建物内がとても薄暗く通路の案内をみるのも視力0.6の私でも難しかったです。トイレもお風呂もマッチョな障害者でなければほとんどが使用できないほど狭く、実際に③④は使用できません。
④⑤は私も数度宿泊の経験はありますが、その際も入浴はできないことがわかっていましたし、トイレも介助するスペースはありません。
④を調査した際にKさんは「ここはおすすめだといわれていた、それなのに」と。その一言が重くのしかかりました。どのホテルも車いす使用者には快適ではありませんが、景観だけはよかったです。
障害当事者スタッフについては、介助を必要としない人たちであることから、使用できそうなホテルを割り当てるしかないということでした。
オリパラの延期がきまり、時間的余裕ができたので、是非ともホテルにおいてさらなるバリアフリー整備が進められることを願っております。
DPIバリアフリー部会 山嵜 涼子
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