【報告】日本武道館がバリアフリー化されました!
2020年08月25日 バリアフリー
東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本武道館が大規模改修され、バリアフリー整備されました。DPIでは2016年からバリアフリー化の働きかけを行ってきました。改修目標の3本柱の1つに「共生社会に相応しいバリアフリー化」を掲げていただき、定期的な会議である八者協議にDPIも加えていただき、11回に渡って意見提案をさせていただきました。
このたび改修工事が完了しましたので、8月24日に日本武道館のご協力を得て、バリアフリー整備の視察をさせていただきました。
車椅子席 常設30席!
従来は、車椅子用席はなく、コンサートなど車椅子ユーザーが来ることがわかっている時は一般客席を取り外して車椅子スペースを確保していました。このたびの改修で、1階南・南東・南西ブロックに常設で30席設けられました。
同伴者も隣に座れますので、車椅子30席+同伴者30席です。一般客席を240席減らしてこの60席をつくってくださいました。
さらに、一般座席を外すことによってもう60席増やすことができ、最大で90席となります。車椅子用席の後ろの通路も幅が十分確保されており、車椅子の出入りはスムーズに行えます。車椅子エリアの端にはコンセントも完備されています。
写真:ここが車椅子席です。1階の南(赤色の席)・南東(青色の席)・南西ブロック(青色の席)に車椅子用席30席と同伴者席30席あります。向こう側まで銀色の柵があるところが全部車椅子席です。
写真:車椅子席の後ろの通路も広く、車椅子での出入りがスムーズに出来ます
写真:ちょっとわかりにくいのですが、車椅子エリアの横の前面下(階段付近)にコンセントもあります
写真:これが1階の席図です。写真上の南東(SE)、南、南西(SW)に車椅子マークがあり、そこが全部車椅子用席です。コンサートの場合は、ステージは写真下の北という文字のあたりになりますので、車椅子用席は正面で非常に見やすいです
サイトライン
前の人が立ち上がっても視界が遮られないようにサイトラインの確保にも取り組んでくださいました。ただ、今回は改修のため制約が多く、100点満点とはいきませんが、車椅子席の前2列を潰して車椅子席をギリギリまで前に出したレイアウトになっており、かなり視界は良かったです。
コンサートの場合は北側正面にステージが設けられるのですが、車椅子席は南側にありますので、距離が長く取れて、これなら前の人が立ち上がってもある程度見えそうでした。このサイトラインがとても心配だったので、実際に確認してホッとしました。
写真:前席との高低差があり、サイトラインもある程度確保されています。手すりも低めにセットされて視界を邪魔しません
トイレ
車椅子で使えるトイレは、武道館本体には1つしかありませんが、隣に新設された中道場には4つあります。4つとも大きさと備品が違います。
トイレ1はベッドもあり最大、トイレ2は標準的な大きさ、トイレ3は簡易多機能、トイレ4は車椅子ではちょっと入れないかなと思いました。トイレごとに壁紙の色が違っておしゃれです。
写真:中道場の1階にあるトイレです。多目的トイレは4つあります
写真:多目的トイレ4。ここはちょっと車椅子で入るには狭かったです。一般のトイレよりは広いので、歩行できる人が使うのかな
まとめ
改修前に図面では見せていただいていたのですが、実際に見てみると予想以上にサイトラインが確保されていたり、車椅子席のエリアの通路が広く取られていたり、とても良く出来ておりました。様々な制約がある改修工事において、最大限配慮してくださったと思いました。
車椅子ユーザーも楽しめる日本武道館に生まれ変わりました。これは絶対に楽しいですよ。10月から運用開始だそうですので、ぜひ、みなさんコンサートに、武道観戦にどんどん行ってください。
最後になりますが、2016年に初めてお願いに行ったときに快く話を聞いてくださり、「やりますよ!」と言ってくださった三藤芳生前事務局長をはじめ、吉川英夫事務局長、日本武道館の皆様のご尽力に心から感謝申し上げます。そして、私たちと一緒に日本武道館に働きかけを行ってくださった早坂よしひろ東京都議会議員に御礼申し上げます。
日本武道館のみなさんと記念撮影。素晴らしい改修をありがとうございます!
事務局長 佐藤 聡
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