【目標1万筆】名古屋城木造復元、エレベーター不設置の撤回を求めるネット署名、ご協力のお願い
2018年12月06日 バリアフリー
現在、名古屋城天守閣木造復元事業では、史実に忠実な復元を基本方針とすることからバリアフリーについて「エレベーターを設置しない方針」で計画が進められています。
市はエレベーターに代わる案として、階段を登れる「二足歩行ロボット」、人力で運ぶ「かご」、介助する人をアシストする「パワードスーツ」等新技術の開発を検討していますが、年間入場者数360万人を見込んでいる観光施設の昇降技術としてはどれも現実的ではありません。
公共事業である以上すべての人が安心して利用できることは最低条件であり、排除される人が出てはいけません。
しかし、民間事業者のお手本になるべき行政機関が、障害者権利条約や障害者差別解消法、バリアフリー関連法を守らずに計画を進めているのです。
市は名古屋城木造天守閣復元に向け、2018年10月に文化庁の工事許可取得を計画していたが断念しています。名古屋城木造天守閣復元事業には、エレベーター不設置以外の課題も多く、2022年末の完成は絶望的との報道がされる中、市長は工期を死守する姿勢を崩していません。
私たちはエレベーター設置を求めて「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」を作り、たくさんの方々に支援をいただきながら活動を続けています。定期的に実行委員会を開催し、懇談やデモ行進などの抗議行動を繰り返してきましたが、現在もエレベーター設置を再検討する動きは見られません。
現在、2019年1月末まで1万筆を目標に署名活動を行っています。文化財におけるバリアフリーは全国的な課題であり、エレベーターが必要なのは障害者だけではありません。
皆様一人ひとりの小さなご協力が、集まることで大きな力になります。一人でも多く署名活動へのご協力をよろしくお願いいたします。
辻 直哉(DPI日本会議事務局次長、愛知障害フォーラム事務局長)
近藤 佑次(愛知県重度障害者団体連絡協議会 事務局次長)
下記、抗議内容。
1. EV 設置を求めるのは障害者団体のわがままでは無い
バリアフリー社会は市民みんなが共有するもの。EV は広く様々な市民、高齢者、障害者、妊婦、小さい子連れの方、体の弱い方、病気の方など、階段昇降が大変な方には必要です。1980 年代以降、多くの障害者団体が身を呈して声をあげ運動し、街や交通機関に EV 設置が進み、”誰にでも等しい利便性”は多くの市民へもたらされてきました。
2. 史実に忠実な復元って本当?
河村たかし名古屋市長は「原図通りに木造復元する」「だからEVは付けない」と言います。史実に忠実な城を望む方がいるのもよく分かります。しかし、もし「史実に忠実」で無かった場合どうなるのでしょうか?これは税金を投入して建設し、人が利用する新しい現代の建物です。建築法により、防火・耐震・避難などの設備が必要となります。「史実に忠実」と言いながら現在進められている工事内容は、基礎のコンクリー ト には鉄が使われ、耐震ダンパーも鉄製です。その他照明などの電気設備やその配線も付きます。スプリンクラー設置に至っては、外にタンクが設置され、配管は壁の外から穴を通して水を送り込みます。避難用には、原図にない階段も作られます。何故EVだけ頑なに排除しようとするのでしょうか?
3. バリアフリーは世界共通!
ローマのコロッセオ、ウィーンのベルヴェデーレ宮殿、中国の万里の長城など今や世界の歴史的建造物にはEVが付けられています。世界では歴史的建造物の保存とバリアフリー設備の設置は共に大切な価値と考えられ共存しています。
国連の障害者権利条約をはじめ、国内の法律もバリアフリーを義務付けています。
日本は障害者権利条約に批准し、障害のある人の権利の保障を世界に宣言しています。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催で海外から多くの観光客を迎えるに当たって、バリアフリーをさらに推進する必要があり、又、名古屋城は特別史跡として、それを率先して進める立場にあります。先進国である日本の三大都市名古屋がこのような事態をこのまま受け入れてしまうことは世界各国の方々からはどのように映るのでしょうか?
4. 新技術は EV より優れている?
市長は、新技術が完成すれば、この技術でどこでも登れると言います。
私たちも技術の進化は大いに歓迎ですが、河村たかし名古屋市長のこれまでの説明では、二足歩行のロボット、パワーアップした人がカゴにおぶって登るなど全く未熟な技術。EVは新しい動力の誕生から 180 年かけて進歩しました。これほど多数の人間を同時に確実に、安全かつ迅速に移動させる技術はありません。曖昧な思考で人の未来や尊厳を奪うことがあって良いのでしょうか?
5. バリアフリーの考え方って何?
河村たかし名古屋市長は障害者を個々に登れるようにするのがバリアフリーだと思っているようです。通常は、みんなが通る通路の障壁を取り除くのがバリアフリーの考え方です。特別な方法、 特別な通路はむしろバリアフリーに反します。「復元」であっても新しく建てる公共施設。それがまったくバリアフリーに対応していない。2019年に河村たかし名古屋市長が施行する「障害者差別解消条例」は一体どうなるのでしょう?
- 愛知県の大村秀章知事
愛知県の大村秀章知事は、名古屋市が木造復元する名古屋城天守閣にエレベーターを設置しない方針を示していることについて、記者会見で「障害者の基本的人権に関わる問題で、極めて重大な事案だ」と指摘、県としての対応を検討する方針を示した。(2018年5月14日:朝日新聞) - 城郭考古学者・千田嘉博教授
私たちが今つくるべきなのは、今の時代にそくした誰もが豊かな文化とわが国固有の歴史を体感できる史跡です。障害などによってそれを享受できない人がいてはいけないのです。(2108年8月17日Yahoo!ニュース)
私たちは、「エレベーター設置」が実現するまで、障害者団体はもとより、高齢者や子育て世代の方々、市民団体とも連携し、今後も様々な行動を継続して参ります。そのことがこれまで築いてきたバリアフリー化による、街や交通機関の”誰にでも等しい利便性”をさらに広げるものだと思い活動を継続し引き続き、河村たかし市長、名古屋市へ「復元する名古屋城木造天守閣エレベータ不設置」撤回を求めます。
以上
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