アメリカ報告第八弾☆Lead On!!
2017年07月31日 国際協力/海外活動
アメリカツアー報告8日目。いよいよ本日が、ワシントンDCでのプログラムの最終日となります。
本日は、午後から、シニア・ユースメンバーを対象に、ヨシコダートさんと佐藤事務局長との対談を行いました。
ヨシコさんは、ADAの父と言われているジャスティンダートさんの奥様で、今でも障害者団体、特にユースの取り組みの応援をしてくださっており、NCILにも毎年寄付をしてくださっている方で、全米の障害者リーダーから大変慕われている女性です。
今回の座談会では、ジャスティンダートさんの生涯を振り返りながら、ジャスティンダートさんがなぜ障害者運動に関わり、ADAを作ることになったのか、そしてその信念についてお話いただきました。
ADAを作ろうと提案した際、最初は多くのリーダーたちが、リハビリテーション法504条の実施も不十分で、しかも現在は共和党政権なのに、もっと厳しい法律など作れるわけがないと、反対されたこと。そのリーダーを説得するため、人間関係を作りながら話し合いを重ねていったこと。ADAを作るために、全米を何度も回り、事例収集を行いながら、ADAを作るための機運を盛り上げていったこと等をお話しいただきました。3か月でアメリカの全ての州を回るというかなりハードなスケジュールで、ダートさんが自ら現地に出向いて行ったということが、その地域の人たちにも大きな感銘を与えたのだと思います。
また、障害種別を超えて、いろいろな意見を取り入れるため、電話や手紙を駆使して、より多くの障害者の声を集めること、連帯することにつとめられたそうです。
その結果、1990年7月26日ADAの大統領署名式には、ホワイトハウスに3000名もの障害者が集まり、今でもデモを行う際、「We love ADA」とみなが叫ぶような法律になったのだと思います。
ADAの署名式の際には、壇上のブッシュ大統領の横に並んでいたジャスティンダートさんは、世界初の障害者差別を禁止する法律が成立したことで晴れやかな気分になるのではなく、むしろ、まるで地球の重さが自分の肩にかかっているような、世界の障害者の未来がのしかかってくるような、責任の重さを感じられていたそうです。
そこで、ADA成立後も数度にわたり全米を回り、ADAができたからと言って簡単に訴訟を起こさず、できるだけ話し合い、地域の人たちにADAを理解してもらえるように努めるよう訴えていかれました。そして、各州では、地域の経済関係者と障害者団体の代表を招き、緊密な関係づくりができるよう、また、お金をかけなくても効果があがる事例を紹介するなど、地域の人たちが受け入れられる形でADAを広めていく方法(調和した実施)を模索されていたそうです。
最後に、ジャスティンダートさんが良く使っていた言葉を紹介してくださいました。
一つ目は「empowerment」。この言葉は、日本でもよく使われますが、ジャスティンダートさんは、黒人の公民権運動の中で、市民権があっても自分たちが変わっていかなければ意味がないという意味で使われていたこの言葉を、障害者にとっても同じだと考え、よく使われていたそうです。法律ができたからといって止まっていてはいけない。一人一人の人間が、自分の中にある能力を100パーセント引き出して使いこなして、他の人の力も引き出していけるようになることがエンパワメントだとおっしゃっていたそうです。
そして、もう一つが、このツアーに参加した人たちもよくつかっている「lead on」。この言葉は、一人一人、自分で気づいていない力を発見し、他の人のそれを発見するお手伝いをしていく。そして、自分たち以上の後継者を育てていこう。そして、みんなで世の中を世界をよくしていこう。みんなで導きあいながら、進んでいこうという意味が含まれているそうです。
だからこそ、ダート夫妻は日本にいるころからジャスティンダートさんが亡くなるまで、多くの日本人を受け入れ、育て、導く活動を行っておられたのだと感じました。ダートガールズと呼ばれる方たちは、100人近くおられ、今回のツアーの事務局を担ってくれた盛上さんやあゆみさん、NCILのスタッフであるりえさんもダートファミリーの一員です。また、ダートガールズの方たちからは、今回のツアーへの寄付などもいただく等、いろいろな形でご支援いただきました。
ヨシコさんも、ダートガールズの皆さんも、この「lead on」の精神を受け継いで、次世代のリーダーたちへの支援を続けてくださっているのだと感じました。
お話を伺う間でも、よしこさんの優しさ、他者への思いやりが伝わってきて、愛溢れる座談会となりました。
今後は各自立生活センター訪問の報告を不定期でお送りしていきます。
参加者の皆様、ご支援いただいた皆様、ありがとうございました。今後も、面白い活動をどんどん行っていければと思います。
Lead on!!