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【JICAアフリカ障害者研修】 研修が終了しました

2017年07月20日 国際協力/海外活動

6月8日より1ヶ月にわたり行われたJICA課題別研修「アフリカ地域 障害者のエンパワメントを通じた自立生活促進」も7月7日にタイのバンコクにて修了式を迎えました。

タイでの研修と修了式の様子をご報告します。


日本の障害当事者(団体)の支援等により始まったタイの自立生活運動は、社会・経済基盤が脆弱な中、運営に課題を抱えながらも、障害者の自立生活推進のため活動を続け、現在タイ国内に自立生活センターが10ヵ所以上設立されました。在外補完研修では、タイの社会や文化に合わせて、タイ流に発展し続けている自立生活センターや国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、アジア太平洋障害者センター(APCD)を訪問し、障害者権利条約19条にかかるタイ障害者政策の発展と事例の共有、国際的な連携等について学び、研修員がそれぞれの国の現状を踏まえて、随時討議が行われました。また、最終日に研修の締めくくりとして研修員によるバンコク宣言が発表されました。


〇障害者権利条約第19条におけるタイでの取り組みについて

タイ社会開発・人間安全省 障害者エンパワメント局より、同局の取組みについての紹介がありました。障害者エンパワメント局は2007年に設立され、障害者団体・NGOとの連携・調整を行っています。また、同時期に成立した障害者エンパワメント法によって、介助者派遣制度が開始されました。

タイ社会開発・人間安全省 障害者エンパワメント局職員のスピーチ

タイ社会開発・人間安全省 障害者エンパワメント局の方との集合写真
〇交通バリアフリーチェック
高架鉄道BTS(スカイトレイン)に乗車し、バリアフリー状況についてチェックを行いました。タイでは障害種別を超えた団体によりT for A(Transportation for all)というプロジェクトが作られ、BTSのアクセス向上のため活動を行っているそうです。現在、タイはいくつもの公共交通の建設計画があるため、地下鉄・電車・高速鉄道の建設計画に当事者が参画していけるよう、関係機関に働きかけを行っています。
研修員がタイの鉄道に乗ろうとしている

日本でのバリアフリーチェックの経験を元に、研修員から提案がでる場面もありました。

〇自立生活センターと地域で自立生活を始めた当事者宅訪問

ノンタブリ県のCILノンタブリとナコンパトム県のCILサラヤを訪問しました。CILサラヤでは、センター運営資金の不足を抱えながらも、施設入所していた脳性まひの女性を地域で暮らせるよう支援してきた過程の紹介、事故により自宅で20年以上寝たきり生活を余儀なくされていた男性が、現在はセンターの支援により宝くじを販売しながら地域で暮らしている様子をうかがいました。

CILサラヤ職員たちと研修員のグループワークの様子

CILサラヤ職員たちと研修員のグループワークの様子

 

施設から地域で生活しているタイ人障害者の方を訪問。皆で記念写真。

施設から地域で生活しているタイ人障害者の方を訪問。皆で記念写真。

CILスタッフが自宅訪問を続けることで、家に引きこもっていた障害者の心を開き、家族との関係を改善した事例や自立生活プログラムを通して自信を取り戻し、外出に繋がり今ではCILの活動に参加している事例もありました。自宅訪問しても、なかなか信頼関係を築けなかった時などは病院スタッフに同行してもらうなどセンターの地道な活動が紹介されました。日本の研修で学んだ自立生活の理念が、ここタイでも生きていることが分かりました。

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CILノンタブリでは介助者制度構築に向けた政府との関係構築や災害(洪水)時における自治体との協働等について話を伺いました。

CILノンタブリのメンバーの皆さん

CILノンタブリのメンバーの皆さん

障害者団体を訪問

障害者団体を訪問

 

〇アジア太平洋障害開発センター(APCD)訪問

特に自閉症の当事者への働きかけや雇用促進の活動が紹介されました。山崎製パンの支援を受けベーカリーをオープンし、自閉症・精神障害・知的障害の当事者が働いています。

APCDでの講義

〇国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)訪問

インチョン戦略とその中間年評価について、ESCAPが各国政府や市民社会に対して行った調査結果の経過報告がありました。

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)訪問

〇ディスアビリティータイ(DTH)訪問

「障害者権利条約推進のためのDTHの役割~権利委員会の総括所見(9&19条)」と題して、障害者権利委員会へのパラレルレポート作成や同委員会からの総括所見を受けての取組みについての話がありました。DTHは障害種別を超えた6つの障害者団体から構成され、76県に支部があります。パラレルレポート作成の際は、CILとも協力しました。

 

〇タイ自立生活センター協議会・DPIアジア太平洋ブロック等の講義

DPIアジア太平洋ブロックやタイ自立生活センター協議会等からの活動紹介がありました。

 

タイ自立センター協議会からは、CIL設立の心構えとして、以下のようなお話がありました。

・ 数人からでも、信念や理念を共有することから始められる。

・ 個々のニーズを理解し、社会参加を妨げるバリアを明らかにし、それを変えていくことがILの運動。

・ もちろん、アクセスの向上、個人のエンパワメントも重要。

・ これらの活動の結果、障害者の生活の質が向上し、地域も変わっていく。

・ 地域に根差した活動が、資源や人材不足を解消していく。

・ お金を待っていても始められない。できること、地域の資源等をどう活用するのかが重要。


修了式では、研修員全員で作成したバンコク宣言を、ウミ研修員(タンザニア)が代表してJICAタイ事務所次長の鯉沼氏に手渡しました。その後、研修員ひとり一人に修了証が授与されました。

ナミビアの研修員が修了証をもらっている

レソトの研修員が修了証をもらっている


JICA研修員によって自立生活の種が、今年もアフリカに持ち帰えられました。芽がでるにはまだ時間がかかるかもしれませんが、理念を共有する仲間は確実に増えています。ここで作られたネットワークをもとに、障害者の運動をもっともっと広げていけるよう努めていきたいと思います。

本研修では沢山の方々にご協力いただきました。ありがとうございました。

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