「南アフリカ共和国での草の根協力プロジェクト」第2回現地訪問報告
2024年08月19日 国際協力/海外活動
2024年2月に開始した南アフリカ共和国ハウテン州でのJICA草の根協力事業のフェーズ3「南アフリカ国障害者自立生活センターの拡大と持続的発展」(草の根パートナー型)の2回目の訪問を7月上旬に行いました。
前回に引き続き今回の訪問もプロジェクトマネージャーの降幡と、ベースライン調査・運営能力強化担当の宮本専門家(ディーディーコンサルティング社代表)の二人で行っています。
今年度の事業計画では、本事業のフェーズ1、2をレビューするベースライン調査を実施するとともに、ハウテン州の新しい地域で自立生活の理念と支援手法を広める研修を開始する予定になっています。
そのため今回の訪問は、ベースライン調査とピア・カウンセリングのワークショップなどに関する協議と調整を中心に活動を行いました。
ベースライン調査については、調査報告書のアウトラインおよび調査ガイドラインを準備し、これらに基づいて自立生活センターのレメロスとソウェトILC、そしてハウテン州政府、JICA南アフリカ事務所といった関係機関・団体と協議を行いました。
アウトラインについてはいずれの関係者からも同意を得ることができています。調査ガイドラインについては、インタビューに際して調整に入ってもらう各自立生活センターと確認をして、理解を得ることができました。
またこれらの協議に基づいてアウトラインの修正、資料の追加、インタビューの方法の確認と調整を行っています。
△写真:ソウェトILCでの集合写真。南半球にある南アフリカは、いま冬を迎えている。
ピア・カウンセリングのワークショップについては、9月27日(金)、28日(土)にレメロスとソウェトILCのチームメンバーを中心にして実施することを協議しました。
この2日間のワークショップは、ハウテン州の新しい地域へのアプローチを行うのに先立ち、レメロスとソウェトILCのピア・カウンセリングに関する実施能力の確認と人材の補充を行うことを目的としています。
またピア・カウンセリングワークショップとともに、自立生活の理念、地域における生活および自立生活センターの活動を説明する半日の自立生活セミナーを行うことについても協議しています。
これら以外では、11月の障害者権利啓発月間にハウテン州で行われるイベントについて、州政府の行政官と話をしています。
新型コロナ前にはエキジビションホールを使ったイベントを行っていましたが、今年はその計画はないとのことです。しかしながら、この権利啓発月間中にハウテン州政府、DPI日本会議、JICA共催のワークショップを行いたいとの話が行政官からありました。
このワークショップを使って自立生活に関する広報とベースライン調査の報告を行うとともに、政府職員の障害に関する理解を高める機会にしたいとのことです。DPI日本会議側からは柔軟に対応すると答え、今後はワークショップ実施の有無、概要、日程などについて協議を続けていきます。
また5月29日(水)の南アフリカ総選挙以降の政治状況に関する情報収集も今回の訪問で行いました。
中央政府では与党のアフリカ民族会議(ANC)と野党第一党の民主同盟(DA)が連立しラマポーザ大統領が議会で再任されましたが、ハウテン州ではANCとDAの連立が機能せず、州知事はレスフィ知事が再任されたものの、それ以降州政府の閣議メンバーが決まりませんでした。
しかしながら我々の訪問中の7月3日(水)にDAが連立を離脱したことで、ANC単独での閣議メンバー選出が行われ、州社会開発大臣にフェイス・マジブコ氏が任命されました。
マジブコ氏は本事業フェーズ1実施中の2014年5月から2015年10月にかけて社会開発大臣を務めていることから、本事業について認識されていることが期待できます。
次回は9月下旬から上旬にかけての訪問を予定しています。この訪問ではベースライン調査のインタビューやピア・カウンセリングワークショップといった具体的な活動を行う予定です。
報告:降幡博亮(常任委員)