ブラジル「保健セクターにおける障害インクルージョンの促進」JICAプロジェクト報告
2024年03月07日 国際協力/海外活動
皆さん、こんにちは!私は全国自立生活センター協議会(JIL)の森慎一郎と申します。昨年10月よりDPI日本会議事務所内でお仕事をしています。どうぞよろしくお願いいたします。
2024年1月6日(土)から22日(月)までの期間、JICAのプロジェクトの一環としてブラジルを訪問しました。この記事では、そのブラジル訪問の記録をお伝えします。
私の出張の目的は、大阪にあるDPI加盟団体「NPO法人ぱあとなぁ」所属の地村貴士氏の介助者2名の一人として、JICAのプロジェクト「北米・中南米地域におけるインクルーシブな保健・医療サービスの拡大に係る情報収集・確認調査」プロジェクトに参加することでした。
△レシフェのモニュメントをバックに左から森、地村さん、澤田さんとリードオンの旗を掲げている
JICAは「障害主流化の取り組み」と「障害に特化した取り組み」の二つのアプローチを採用しています。今回の調査は「障害主流化の取り組み」の一部であり、調査段階から当事者が参加するのは、JICAの初めての試みだそうです。
ブラジル滞在中は、まず最初に、私たちはペルナンブコ州保健局とユニセフを訪問し、今回の調査の目的と意義について説明し、ご挨拶をしました。
その後、地元の関係者団体・病院・リハビリテーションセンターを訪問し、現地の状況や課題、またその解決に向けての具体的な話を伺うことができました。
この調査で、いくつかの主要なテーマが浮かび上がっています。それらは、女性障害者の保健医療へのアクセスの現状と改善策、自閉症に対する理解と対策、介助制度を通じた保険へのアクセスの確保とその重要性、身体障害者の健康管理と予防における車椅子の役割とその重要性、そして医療従事者に対する障害理解の推進についてになります。
これらのテーマは、社会保険制度を通じた障害者の生活の向上と福祉の確保に直結しています。
訪問期間の後半には、知事公館を表敬訪問しました。
調査の結果を基にした報告会を行い、その上でペルナンブコ州保健局とJICAとの協力関係を再確認し、まずは正確な障害者のデータを収集することが必要であり、その取り組みを通じて障害者の実態を明らかにしていくという、今後の活動の方向性について話し合いました。
以上が私の報告になります。
全国自立生活センター協議会(JIL)が設立されてから30年以上が経過し、その間に当事者運動で多くの成果と経験を積み上げてきました。当初の設立の期待に応える形で発展してきたのかどうか、その明確な答えを出すことは難しいかもしれません。
しかし、その長い歴史の中で得たもの、培ってきたものは存在します。
同様に、かつてブラジルの北東部・ペルナンブコ州でDPIが草の根技術協力事業として実施した「たんぽぽプロジェクト」(こちらから関係記事の一覧に飛べます)は、地域コミュニティの絆と協力関係が今回の調査でも大きな役割を果たしておりました。
今回、当事者自身が行う現地調査から、当事者リーダー同士が地域の障害者が社会参加すべきとの価値観を共有し、そのためのバリアを取り除くという視点で問題に取り組んできたことを学びました。
どうもありがとうございました。
報告:森慎一郎(全国自立生活センター協議会(JIL)・DPI日本会議事務局)