突然の逝去-インドDPIのJaved Abidi氏の死を悼んで
2018年03月09日 国際協力/海外活動
写真:Javed Abidi氏
3月4日午後6時頃、DPI世界議長のJaved Abidi(ジャビット アビディ)氏が出身地であるインドのニューデリーにある病院で息を引き取られました。ここに謹んでご冥福をお祈りいたします。
Javedは雄弁な障害者権利擁護の推進者である。初めて会ったのは、多分1995年に幡ヶ谷のJICA東京研修センターであったと思う。彼は研修生の一人として、10人ほどのアジア太平洋の仲間とともに障害者リーダー研修に参加していた。彼らがセンター設備改善要望書を作成した際に講師として居合わせて、ジャーナリストとして培った鋭く問題点をつくと視点で、意見を話し始めると止まることなく、仲間から一目置かれていた。
Javedは恐れを知らいない障害者運動の闘士でもあった。戦いを挑む相手はエスタブリッシュメントである。だから反体制の姿勢を示すため、どんなに正式な場でも国際的な場でも、セーターにシャツ姿で通した。2011年のインド・ニューデリーでのDPIアジア太平洋ブロック総会では、彼は主催者として、来印していたWHO専門家を招いていいかと聞く私に、「今だけは国連も政府もみんな友達とする」と許可した。2011年にDPI世界議長に選出された際には、誰にも諮らずIDA(国際障害同盟)からの脱退を決めてしまったり、南の障害者を大切にし規約に反してまで彼らをメンバーに迎え入れたりしたのも、同じ理由からと推察する。
故ラジブ・ガンジー・インド首相夫人が設立したラジブ・ガンジー財団の誘いで障害分野に専念しようと決めた動機は、「今まで感じていた怒り、つまり障害者を見る社会の目に対する怒りだった」と言っている。[i]ことあるごとに怒りを行動に移し国内では成果を上げていたJavedは、国際面では志半ばで逝ってしまった。53歳という若さで。
[i] ASHOKA(2010) Creating Change: Innovations in the world of disability(邦訳はhttp://p.booklog.jp/book/73411)
写真:タイにて撮影したJaved Abidi氏(一番左)との記念写真
中西 由起子(DPI日本会議副議長)