台湾の自立生活センター(CIL)に行ってきました!
2017年07月31日 国際協力/海外活動
DPI日本会議加盟団体メインストリーム協会の藤原勝也です。私は6月3日から8日にかけて台湾に行ってきました。台北のCIL「台北市新活力自立生活協会」の創立10周年記念イベントに参加するためです。イベントの内容は6月4日のシンポジウムにおいて、台湾各地のCILの活動報告、ネパール、韓国、日本の報告があり、6月5日に介助制度の充実を訴えるデモと行政院での健康福祉担当の大臣との交渉がありました。
メインからは20名が参加し、その中に僕を含め3人の人工呼吸器使用者が含まれていました。出発前から旅行社や航空会社とのやり取りがとても大変でした。まず3人同時に乗せることが初めてだったので、ビビったのだと思います。3人の呼吸器はトリロジー、LTV 1150、ニューポートでさらにカフアシスト2台、吸引器(パワースマイル、新鋭工業)があり、規格やバッテリーの種類、容量等を何回も聞かれ、書類を出すように言われました。一番の問題は外部バッテリーの個数でした。3人でリチウムイオンバッテリーが計13個だったので、容量をとても気にしていました。なんとか3人とも許可が下りて、飛行機を利用することが可能になりました。
日系ではなく台湾のエバー航空が対応したことに驚きました。通常アジア系の飛行機では難しい場合が多いのですが。僕らの介助者の中に中国出身者がいて、その人が言うにはこの集団は何だとほかの客が驚いて話していたそうです。
イベントの話に戻ります。日本の報告では夢宙センターの平下耕三さんが大橋グレースさんの動画を見せて、日本の人工呼吸器利用者の自立生活について報告しました。その時に僕ら3人も前に出て、少ししゃべりました。僕は介助制度が整えば、どこの国でも重度障害者が自立できるので、社会が変わることを信じ続け、当事者が繰り返し声をあげる重要さを伝えました。台湾では僕らのことを「筋ジス3兄弟」として定着しました。
翌日の行政院での交渉にも日本代表として平下さんと共に筋ジス3兄弟も参加しました。日本では人工呼吸器利用者が24時間介助を利用して自立生活をしていることを直接見てもらうというか、驚かすためです。台湾では政府から保障されている介助時間は80時間しかありません。他にホームヘルパー制度がありますが、重度障害者が自立するには不十分です。その背景には長らく台湾ではそこそこお金のある高齢者、障害者が東南アジアのメイドを介助者として雇うという事があり、政府が保障しなくてはならないという考えがなかったことが挙げられます。正直この交渉では何も進展がなかったです。しかし、1か月以内に再度話し合う約束が取れていました。何年もかけて繰り返し交渉することで台湾も変わっていくのだろうと考えながら交渉に参加していました。
台湾10周年イベントとは別に僕にはもう一つ目的がありました。台湾で呼吸療法士をされている楊先生と会う事です。当日楊先生の他2名の先生と台北のCILのリンちゃん通訳の下、話をしました。3人の先生は台湾で在宅医療を進めるため在宅医療の学会を作りました。先生たちは自分たちが関わっている台湾の人工呼吸器利用者が地域で自立生活を送れるように社会を変えていきたいという思いを強く持っておられました。僕は自立生活を進めるには医療だけではなく、介助制度が充実することが必要不可欠と伝え、在宅医療の学会が障害当事者運動と連動して政府等に対して働きかけてほしいと頼みました。
日本だけでなく全世界で人工呼吸器等が必要な障害者が地域で尊厳をもって堂々と生きられる未来を目指して活動を続けていきたいです。