公共職業安定所、A型事業所などの質問に対する厚労省からの回答‐第6回DPI政策討論集会の雇用・労働分科会-
2018年03月22日 雇用労働、所得保障
昨年12月3日(日)第6回DPI政策討論集会の雇用・労働分科会で、参加者から登壇者の寺岡潤さん(厚生労働省社会・援護局障害福祉課課長補佐)への質問について、公共職業安定所やA型事業所など、後日回答としていた質問に対する回答が届きましたので、下記に掲載いたします。
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■質問1 公共職業安定所が仲介した新規就職件数の内訳(従業員50名未満の事業所及びダブルカウント対象者数を含む)を、お示しください。
○回答
公共職業安定所における障害者の就職件数(平成28年度)93,229件のうち、従業員50名未満の企業への就職件数は38,970件です。いわゆるダブルカウントの対象者の就職件数は、身体障害者(重度)の就職件数が11,017件、知的障害者(重度)の就職件数が4,442件です。
■質問2 公共職業安定所に報告のあった以下の離職者数を、お示しください。
(1)就労継続支援A型事業所(以下、A型事業所)の状況について
(2)50名未満の事業所の状況について
(3)ダブルカウントの対象者の状況について
参考 2017年9月1日 沖縄タイムス 沖縄労働局が2016年度に受理した「障害者解雇届け出数」が88人となり、15年度の26人から約3.4倍に増加したことが31日分かった。労働局は、解雇した事業所・社の内訳は明らかにしていないが、そのうち98%は障害者就労継続支援A型事業所による解雇が占めたと説明している。
○回答
お尋ねの記事内容は離職者数ではなく、障害者解雇届の受理状況についてのものと思料しますが、お尋ねの分類にもとづく集計は行っていません。
■質問3 各地の公共職業安定所で、以下の新規就職者の公開状況を、お示しください。
(1)A型事業所の状況について
(2)50名未満の事業所の状況について
(3)ダブルカウントの対象者の状況について
○回答
いずれについても、システム上の制約により各公共職業安定所では集計することができません。全国で集計しているものについては、平成28年度の就職件数93,229件のうち、(1)A型事業所への就職件数は21,607件(構成比23.1%)、(2)従業員50名未満の企業への就職件数は38,970件(構成比41.8%)、(3)身体障害者(重度)の就職件数が11,017件、知的障害者(重度)の就職件数が4,442件です。
■質問4 利用者に支払う賃金及び工賃について定めた第192条第2項(生産活動に係る事業収入から必要経費を控除した額が利用者に支払う賃金の総額以上)の賃金の総額と経営改善計画については、以下の解釈が適切か、ご教示ください。
(1)生産活動に係る控除後の事業収入は、利用者に支払わなければならない最低賃金以上の額とする。
(2)最低賃金を確保できない事業所は、経営改善計画の作成が求められるが、確保済みの事業所には、策定は、求められない。
(3)最低賃金以上の賃金等の確保に加え、手当等については、事業所の裁量及び経営状況により支給できる。
○回答
貴見のとおりです。なお、指定基準に伴う各般の取扱いについては、今後も各事業所の状況を見ながら、適宜検討することはあり得ます。
■質問5 公共職業安定所の職業紹介は原則として、公平性の観点から特定の事業所を紹介しない対応はできないとの説明がありましたが、法令順守をしていない事業所を紹介しないことには、合理的理由があると思います。公共職業安定所が職業紹介の可否に関する基準があれば、お示しください。
○回答
公共職業安定所は、職業安定法第5条の5に基づき、求人の申込みは全て受理しなければならないとされていますが、その申込みの内容が法令に違反するときなどには、その申込みを受理しないことができることとされています。
また、一旦受理した求人であっても、その求人の内容に法令違反の疑いが生じた場合などには、労働者保護の観点などから紹介保留の措置を取ることとしています。
■質問6 福祉圏域の障害者就業・生活支援センターについて、就労支援の対象としない事業主の判断基準があれば、お示しください。
○回答
障害者就業・生活支援センターにおいては、障害者の職業生活における自立を図るため、事業主に対する障害者の就職後の雇用管理や職場定着に係る助言等の支援を関係機関と連携を図りながら実施しているところであり、全ての事業所が利用できます。
■質問7 A型事業所は、「一般就職が困難な」障害者と雇用契約を結び、最賃以上の賃金を支払い、かつ、雇用保険や社会保険に費用も支払うという役割を担っています。「悪しき」A型を規制し、排除する対策は必要ですが、それ以外のA型事業所が、利用者に対して「まともな仕事とまともな賃金」を確保できる政策的支援が必要と思われますが、国としては、障害者に対して量・質両面での就労機会の拡大をはかるうえで、A型にどのような役割を期待し、その役割が十分果たしうるような政策的支援を講じようとしているのか、お示しください。
○回答
就労継続支援A型は、利用者に対し雇用契約を結んだ上で就労機会を提供するためのサービスです。このため、事業を開始し、利用者を集める段階で、雇用契約に基づく労働を提供できることが当然の前提となります。
その一方で、就労継続支援A型事業所として、利用者に対し十分な労働機会と賃金を与えるべく努力を続けていただくことは大切と考えており、平成30年報酬改定において、平均賃金の向上に向けて取り組む職員を配置した場合の加算の新設を検討しているとともに、販路の拡大や品質向上等に取り組む事業所に対する個別の支援を行う補助金も来年度予算として要求しています。
■質問8 就職上の困難さを抱えているのは、障害者以外にも相当数存在し、生活困窮者自立支援制度では、中間的就労が示されています。また、国内外においても保護雇用的な取り組みが行われています。こうした現状から、A型の利用者の範囲の拡大等について、検討課題となっているのか、ご教示ください。
○回答
現時点では、生活困窮者等を就労継続支援A型事業の対象者とすることは考えておりません。
■質問9 A型事業所は、労働法令が適用されながら、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業に位置付けられるなど、きわめてあいまいな存在となっている。労働・福祉の両行政にまたがるA型事業者についての行政上の位置づけの見直しは、検討課題にはならないのか。もし検討課題にはならないとすると、その理由はどこにあるのか、お示しください。
○回答
就労継続支援A型を含めた障害福祉サービスの在り方については、必要に応じて、適宜検討を行ってまいります。
写真:登壇者の寺岡さん
写真:雇用労働分科会の様子
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