重度障害者の通勤・職場等における市町村の新支援施策 実施状況調査の報告
2021年10月26日 雇用労働、所得保障
『重度障害者の通勤・職場支援の施策』として新たに市町村事業に加わった「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」の実施状況に関し、DPI日本会議が2021年8-9月にかけてオンライン及び電話等を通じて行った調査の報告です。調査にご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。
2020年10月から開始している厚生労働省の施策「雇用政策と連携した重度障害者雇用支援特別事業」(市町村事業)は、厚労省の資料によれば2020年8月の時点で13市町村(11市1町1村)が10月開始に向けて準備中とのことでした。
その後、新たに検討する市町村や、またコロナ感染症拡大の影響による雇用状況の変化により事業未が実施となった市町村が出ている等の情報があったことから、現時点での実施状況を把握するため、DPI日本会議雇用労働部会が2021年8・9月オンライン・電話等による調査を実施しました。
調査結果(2021年9月)
2021年9月末日現在で、少なくとも以下の11都道府県の12市町村(11市1町)で実施していることがわかっています。
- 栃木県 宇都宮市
- 埼玉県 さいたま市
- 長野県 長野市
- 三重県 四日市市
- 京都府 京都市
- 兵庫県 伊丹市
- 島根県 松江市
- 香川県 三木町、観音寺市
- 福岡県 福岡市
- 熊本県 熊本市
- 宮崎県 新富町
市町村の実施のきっかけ(抜粋)
- 地元の自立生活センターの長年の働きかけ、市町村議員の尽力
- 市町村の予算作成時点で市町村内の障害関係団体複数と合同協議
- 市町村に福祉部局に新制度要項が届いた時に職員が利用者を想定できたため、その人を対象として実施する運びとなった
- 視覚障害者の同行援護を利用している人が通勤支援のために利用したいとの相談から始まった
- 市内で働く重度の障害者が制度創設を市町村に求めた
- 都道県から本事業をやらないかと市町村に声がかかり、対象となる人を市町村内で探したところ今後必要な方がいるということで準備することになった
- 市町村議会の承認に時間がかかってしまい。制度利用が間に合わず退職になった人もいる
- 厚労省から市町村に情報が来た時点で、予算の関係上、利用者数を把握したかったためアンケートを実施した。当初の見込みより多くの希望者が出た
- 市町村部局の管理職が意欲的なため実施することになった
- 国から実施するという意向があり1名対象になりそうということで要綱を作成した。本人から申請はない
未実施の市町村の理由(抜粋)
- 近隣の市町村でまだ実施していない。情報を集めているところ
- 市町村の視覚障害者団体からの要望があり検討中
- 市町村に利用希望者から1件問い合わせがあったが、要綱で認められる対象ではなかった
- 市区町村議会で議論しているが、現時点では見通し立たず、他地域の状況をみているところ
- 今の状況、予算編成の時期で来年度やりたいと障害福祉課では考えているが、これから役所の中で予算要求し検討していく。ニーズや個別の事案など折衝していくので、まだ実施の見込みは立っていない
- 事業実施に向けて、国の方針を基に、対象サービス、対象者の範囲、支給の要件等の課題整理を進めているところ
- 検討されていない
- 県内で実施しているところはない
- まだ検討していない。近隣でもやっているところの情報を知らない
- 今のところやっていない
- 実施を予定していたが、予定していた人がいなくなったため実施していない
調査の報告は以上です。
情報提供のお願い
DPI雇用労働・所得保障部会では、引き続き、今後新たに実施する市町村の情報を求めています。
特に、①新たに実施の目処がたった市町村の実施開始時期や実施のきっかけ、②本制度を利用して働いている人の体験、また、③厚生労働省の要項と異なる市町村独自の施策内容があればその特徴などについて、情報を求めています。
下記アドレスまでぜひお寄せください。
- 情報集約先 jcsa.kikusui#gmail.com(→#を@に替えてください)
- 情報募集期限:2021年12月末日まで
以上
DPI雇用労働・所得保障部会