群馬県の玉村町立上陽小学校(インクルーシブな学校運営モデル事業校)へ見学に行ってきました!
2024年12月18日 インクルーシブ教育
11月21日(木)に群馬県のインクルーシブな学校運営モデル校となっている玉村町立上陽小学校へ見学に行ってきました。
毎年、私たちDPI日本会議とタウンミーティングinぐんまを共催しているインクルーシブぐんまのメンバーである、群馬県議会議員の松本基志さん、鈴木敦子さん、伊勢崎市議会議員の高橋宜隆さんと一緒に、DPI日本会議からは、教育部会の崔と岡部が参加しました。
2023年12月9日(土)に開催した「障害者権利条約の審査・総括所見を活用した国内法制度整備事業 2023タウンミーティングinぐんま(キリン福祉財団助成事業)」では、群馬県の山本一太知事から「群馬県はインクルーシブ教育に力を入れている」「モデル校を創ることも検討しており、保護者や地域の方など様々な関係者の理解や協力が必要だ」と力強いご挨拶をいただいていました。
この間、群馬県では、「群馬県インクルーシブ教育推進有識者会議」が設置され、2024年6月5日に第1回目の会議がおこなわれました。
▽群馬県インクルーシブ教育推進有識者会議(第1回)(外部リンク)
また、文部科学省の「インクルーシブな学校運営モデル事業」として、「玉村町立上陽小学校」と「群馬県立伊勢崎特別支援学校」が2024年度の委託先となりました。
▽インクルーシブな学校運営モデル事業 令和6年度委託先一覧(PDF)
このモデル事業は、3年計画で実施されます。2024年度はその1年目で、上陽小学校ではインクルーシブ教育の必要性を国連障害者権利委員から出された勧告に触れながら、インクルーシブ教育の理念と周知のため、カナダのブリティッシュコロンビア州の取り組みなどを参考にしつつ取り組みを始めたところでした。
上陽小学校は、1学年1~2クラス規模の小学校です。特別支援学級(肢体、知的、情緒)はありますが、児童の状況に応じてできるだけ多くの時間を通常学級(上陽小学校では「協力学級」と呼称)で過ごしている子もいる状況でした。ブロックチーム担任制が導入され、「低学年ブロック」「中学年ブロック」「高学年ブロック」「特別支援ブロック」という形で各ブロックに教員が3~4名配置されていました。
6年生の授業では、班に分かれて修学旅行のまとめ資料づくりや、発表練習がおこなわれていました。車椅子を使用している児童の周りに自然と他の生徒が集まり、肩を寄せ合って意見を出し合い、各自の席に戻って製作に取り組む、ということを何度も繰り返している姿を見ることが出来ました。
3年生の音楽の授業は、先生の質問に積極的に手を挙げる、とても活発なものでした。先生に指名された児童は前に出て行き、列になって順番に先生に耳打ちで回答します。音楽担当の教員に加えて、もう1人介助員が配置されていました。介助員がいたので、障害のある児童がこの中にいるのだなと気づきました。
各学年の教室から少し離れた場所に「YUMEルーム(Yourあなた、Uniqueらしい、Mind心を、Expands広げよう)」という部屋がありました。「心を整える居場所」として、落ち着いた空間で、各自の状況に応じて居場所を組み替える柔軟な対応ができるよう、学校職員全体で創る学校の居場所になるよう、取り組まれていました。
校舎内には、段差のある教室もいくつもありましたが、スロープを設置したり、改修をしたりすることでどの教室にもアクセスできるようになっていました。体育館もスロープがあり、校内からも外からもアクセスすることができました。
上陽小学校と同じく、群馬県のモデル校となっている群馬県立伊勢崎特別支援学校との連携として、1年目である今年度は上陽小学校特別支援学級の知的障害のクラスの子と伊勢崎特別支援学校の1つのクラスが、図工の授業を通して交流・共同学習をしているそうです。
2年目は上陽小学校の抽出学級・抽出学年と伊勢崎特別支援学校の抽出学級の交流・共同学習が予定されており、3年目は国語や算数の授業での交流・共同学習を目指しているとのことでした。
校長先生はじめ、教員の皆さんは、「まだ始まったばかりの事業であるため、模索しながら進めています。」「(大切なのは)障害のある子が当たり前に教室にいることなんですよ。」と仰っていました。
今後、群馬県がインクルーシブ教育の指針をどう定め、県内に広めていくのか、有識者会議の動向も追っていきたいと思います。
貴重な機会を提供してくださった、増田校長先生をはじめ上陽小学校の皆さまありがとうございました。心から御礼申し上げます。
報告:岡部(事務局長補佐)
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