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アリゾナ大学の「障害を持つ学生への合理的配慮」に関する考え方が勉強になりました(日米企業リーダー育成研修参加報告)

2021年05月14日 インクルーシブ教育国際協力/海外活動

キャンパスイメージ

本日ウェビナーにて「日米企業リーダー育成研修」が開催されました。
「今月はここに注目」でご案内しています)

日米の大学での合理的配慮に関する取り組みを中心に報告がされました。特に印象に残ったアリゾナ大学での障害者学生支援について、報告します。

プログラム

■本セミナーの目的

「教育現場から雇用へ:どのようにして障害のある学生達が高等教育におけるアクセシビリティを阻む障壁を克服しているか?」のパネルでは、障害のある若者の雇用を実現するための最初の取り組みとして、高等教育への進学を阻む体系的な障壁を除くことに焦点を当てます。

パネリストは、入学試験時や教室内における配慮不足だけでなく、自立生活や学業面で目標を達成する際に必要となる住居や交通、その他の地域サービスなどへのアクセスの制限によって障害学生がどのような影響を受けるのかについて意見を交わします。

本パネル・ディスカッションでは、日米の高等教育における配慮への取り組み方の相違点を浮き彫りにし、インクルージョン促進のために日米両国の「アクセス・メーカー」がどのようにお互いから学び合うことができるのかを明らかにします。
さらに、障害のある若者達の高等教育から雇用への移行を支援する政府の役割についても言及します。

■登壇者

1.Dean Adams, Ph.D. コーディネーター
Scholar and educator, University of Illinois Chicago and National Louis University
(イリノイ大学シカゴ校、ナショナル・ルイス大学の学者・教育者(DeepL自動翻訳))

2.Kraus Amanda パネリスト
アリゾナ大学障害文化センター
※予定されていた登壇者の方とは変わっていた為、正確な所属、肩書は不明

3.Jun Murata パネリスト
Associate Professor, General Student Support Center, Kyoto University Chief Coordinator, Disability Support Office, Kyoto University Director, Higher Education Accessibility Platform
(京都大学総合学生支援センター 准教授 京都大学障害者支援室 チーフコーディネーター 高等教育アクセシビリティ・プラットフォーム ディレクター(DeepL自動翻訳))

主催:マサチューセッツ大学地域インクルージョン研究所、後援:アメリカ大使館

アリゾナ大学での障害学生への支援

Kraus Amandaさんは、アリゾナ大学では障害文化センターという窓口を通じて、障害学生に合理的配慮を行っています。

障害学生への合理的配慮は大学の責任ということで、基本的に学生に何か負担を求めることはしていない。学生の負担をできるだけ軽くするため、合理的配慮が必要な学生は、必要なことをオンラインフォームへ書いてもらい、それを教師がいつでも見られるようにし、どの生徒がどのような合理的配慮が必要なのか、わかるようにしているそうです。

これにより学生は何度も同じ説明をする必要が無くなります。

専門家がよく間違うのは障害学生個人と大学の責任を混合すること。個人が交渉をして合理的配慮を獲得することが良い事だと言われているが、そうではない。合理的配慮は大学の責任で進めるべきと強くおっしゃっていました。

また、障害のある学生は合理的配慮を受けて活動に参加をする事はできたが、障害のない学生と全く同じように体験し、学び、一緒に楽しむことが出来てはいないことがわかった。この経験をもとにADA法(Americans with Disabilities Act、以下ADA法)では合理的配慮を提供することを求めているが、ADA法はあくまで入口、合理的配慮をすることがゴールではないということを感じたそうです。

合理的配慮をした上で「より同じように体験、経験をできるように何をするべきなのか」考えているという事でした。

加えて合理的配慮の取り組みを行う上での予算措置も大変重要。アリゾナ大学でのこの取り組みは3年目になるが、助成金が財源。財源を安定化し、恒久化していく必要がある。誰にとっても必要な事であり、当たり前のことという認識を持つことが大切である。

そして企業にも積極的に出向き、合理的配慮に関する誤解を解消する事にも努め、企業と障害学生の間でニーズのギャップが生じないようにも活動をされているということでした。

感想

Kraus Amandaさんの報告で「ADA法は健常者中心主義を壊していない。障害当事者は、合理的配慮が必要な時に合理的配慮を求めないといけない。いちいち交渉しなければいけない事を窮屈に感じている生徒もいる。ADA法はゴールではなく、あくまでその入口であるという認識になった」という言葉が非常に印象的でした。

また高校まではカリキュラムがある程度決められて受動的に進められるが、大学からは能動的にどのように勉強をしていくか自分で決めていかないとおいけない。大学からは環境が大きく変わる。

その為、障害学生はどのような合理的配慮が必要かということはある程度わかっていても、「どのように学びたい」のかがわからない、準備ができていない生徒も多い。障害文化センターでは、障害生徒が自分自身のアイデンティティーを理解することにおいても重要な役割を果たすと言われていました。

またユニバーサルデザインの重要性についても、何度も言われていました。最初から様々な人がいるという前提で環境を作る。その上で、カバーできていない人には個別支援も行う。「公平性」というのが大事。私たちは誰を阻害しているのか考えているのか大切。雇用主もリーダーとして事業主として大きな役割を果たす必要があると認識する事もまた重要であると言われていました。

合理的配慮を求めて獲得していく事が当たり前なのではなく、合理的配慮を求めなくても良いような環境をみんなで考え、作り上げていく事。それが本当に大切なことなんだとわかりました。

報告:笠柳(事務局長補佐)

▽Institute for Community Inclusionのホームぺージ

▽本セミナーのチラシはこちら(PDF)

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