2月5日(日)法制度のさらなる改善に向けて!タウンミーティングinぐんまを開催しました(キリン福祉財団助成事業)
2023年02月17日 インクルーシブ教育障害者権利条約の完全実施
2023年2月5日(日)、「障害者権利条約の審査・総括所見を活用した国内法制度整備事業 タウンミーティングinぐんま」を開催しました。
今回のタウンミーティングは、Gメッセ群馬にて完全対面イベントとして実施いたしました。参加者は群馬県内にとどまらず、東京をはじめとする関東近郊の皆さま、遠くは沖縄からもお越しいただき、約150名の皆さまにご参加いただきました。
この事業は、国連障害者権利委員会から出された総括所見を実際の法制度の立案、改善に活用していけるよう、総括所見の指摘内容について整理、分析し、取り組み課題の明確化を図るために立ち上げました。総括所見の意義やその内容について、障害者団体をはじめとする市民社会に広く共有するための普及啓発を行っています。
この取り組みを通じ、国や自治体レベルにおける法制度の改善に結び付けていくべく、これまで全国4か所でタウンミーティングを実施しており、群馬県が5か所目の開催となりました。
開催団体挨拶として、DPI日本会議事務局長の佐藤、群馬県知事の山本一太さん、群馬県議会議員でインクルーシブぐんま準備会の松本基志さんにご挨拶いただきました。続いて、助成団体のキリン福祉財団の大島宏之さんのご挨拶を司会が代読し、来賓としてお越しいただいた衆議院議員で障害者権利条約推進議員連盟事務局長の笹川博義さんからご挨拶をいただきました。
特別報告「第1回対日審査(建設的対話)参加報告」
まず、特別報告として、ジュネーブにて開催された「第1回対日審査(建設的対話)」に参加された参議院議員の舩後靖彦さんにお話しをいただきました。
舩後さんは、障害のある国会議員として政策提言につなげるため、人工呼吸器をつけた重度障害者として海外出張を行うことで、重度障害のある方の旅行や出張に活かしてもらえるよう社会に還元するために審査に参加されたと仰っていました。
日本からジュネーブへ訪れた100名以上のNGOと交流をもったこと、権利委員へのロビー活動の傍聴の様子など写真をたくさん使い報告いただき、建設的対話ではNGOから情報提供を受けた権利委員が的確で厳しい質問を投げかけていたこと、それに対する日本政府回答について例を挙げて説明いただきました。
建設的対話を経て、2022年9月に出された総括所見にも触れていただき、舩後さんが最も重要と考える勧告として「教育」「脱施設・脱施設」「精神医療」の3点について今後国会でどのように取り組んでいくかお話しいただき、「ジュネーブでの経験、皆様と共有した情報をもとに、障害者団体や関係団体との連携を強化し、アプローチ方法を相談しながら、委員会、障害関係議連等を通じての取り組みを続けていきたいと思います」という力強いお言葉をいただきました。
基調報告「国連障害者権利委員会 日本政府に対する総括所見の内容」
次に、基調報告として「国連障害者権利条約 日本に対する総括所見」について、DPI日本会議の崔よりお話ししました。
総括所見は法的な拘束力はありませんが、国際人権法上、尊重すべき権威のある文章です。勧告は全部で93あり、その内訳は「urge(強い要請)」が12、「recommend(勧告)」が81で、その内容は詳細で分量が多いものでした。
第19条(自立した生活および地域社会へのインクルージョン)と第24条(教育)に関してのみ「urge(強い要請)」という強い言葉があり、さらにフォローアップとしてこの2つの項目について特に言及されたことに触れたうえで、総括所見について抜粋した項目を報告しました。
会場の参加者からは、「こういう事が聞きたかった」「まさに今知りたい情報が詰まっていてとても良かった」という感想をいただきました。総括所見を活かすために、国、自治体、私たちが連携しながら進めていくことが必要だと改めて考えました。
シンポジウム「総括所見を群馬で生かすためにー地域移行とインクルーシブ教育を考える」
最後のシンポジウムには、群馬県健康福祉部障害政策課課長の高橋淳さん、全国手をつなぐ育成会連合会常務理事の田中正博さん、群馬県議会議員でインクルーシブぐんま準備会の小川晶さん、東京大学大学院教育学研究科教授の小国喜弘さん、伊勢崎市議会議員でインクルーシブぐんま準備会の高橋宜隆さんにご登壇いただき、脱施設・地域移行とインクルーシブ教育について取り上げました。
まず、高橋淳さんから群馬県の障害政策についてご紹介いただきました。群馬県は「バリアフリーぐんま障害者プラン8」として令和8年度までに達成すべき具体的な7つの数値目標を定めていました。
田中正博さんからは、総括所見から見た改正障害者総合支援法についてお話しをいただきました。障害者が地域で暮らすために、地域生活拠点整備など具体的な取り組みを進め、親亡き後の問題ではなく、本人自身の生き方をどのように支えるのかと仰っていた事が印象的でした。
小川晶さんからは、寄せられた相談事例をご紹介いただき、地域で安心して生活するための地域資源を増やすことが必要だとお話しいただきました。小国喜弘さんからは、インクルーシブ教育について、障害のみだけでなく、民族、経済格差、言語、宗教、性差など多様な差異の包摂を課題としている、というお話しいただきました。
群馬県には2022年6月末時点で64,869名(出入国在留管理庁2022年10月14日発表資料より)の在留外国人が暮らしているので、そういった観点からもとても興味深いお話しでした。高橋宜隆さんからは、インクルーシブ教育の重要性について、在留外国人の件にも触れ実際に寄せられた相談も含めてお話しいただきました。
シンポジウムはとても内容が濃く、もう少し時間があればと思うほどでした。総括所見を活かした制度政策をつくるためにも、それを実際に運用していくためにも、自治体、民間、本人など様々な立場が共に連携しながら進めていかなければと思いました。
終わりに
閉会の挨拶として、群馬県議会議員でインクルーシブぐんま準備会の鈴木敦子さん、DPI日本会議常任委員の白井より地域で共に暮らすこと、学ぶことについて、総括所見を指針としながら皆共に進めていこうとお話しいただき、会場が大きな拍手に包まれ無事に終了することができました。
コロナ禍のため、近年はオンラインでのイベントを中心に行ってきたため、ここまで沢山の方と直接お会いしてイベントが開催できたことはとても嬉しく思います。
群馬県議会議員の金沢充隆さんをはじめ多くの議員の方々、群馬県健康福祉部部長歌代昌文さん、障害当事者や重度障害児の保護者など、たくさんの方にご参加いただきました。感染対策をはじめタウンミーティングの開催運営にご協力いただき誠にありがとうございました。
また、共催いただきました群馬県の皆さま、ご後援いただきました全国手をつなぐ育成会連合会の皆さま、ご協力いただきましたインクルーシブぐんま準備会の皆さま、助成いただきました公益財団法人キリン福祉財団の皆さまありがとうございました。心より御礼申し上げます。
報告:岡部夏実(事務局長補佐)
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