第4回「インクルーシブ教育を担う若手障害者の育成研修」参加のみなさんから感想をいただきました!(その1)
2021年03月04日 インクルーシブ教育
2月11日(木)、ZOOMにて若手の障害者を対象とした第4回インクルーシブ教育を担う若手障害者の育成研修を行いました。
この研修の目的は、参加者のみなさんひとりひとりが、自らの学校生活を振り返りながら、インクルーシブ教育の理解を深め、それぞれの地域で、インクルーシブ教育をすすめるための活動を担っていく障害当事者の育成を図ることです。
本研修に参加くださった皆さんから感想をいただきましたので、3回に分けてご紹介します!
岩下唯愛/一ッ葉高等学校3年生
私は、日本のインクルーシブ教育が世界の流れと反し、特別支援学級・特別支援学校が増え続けているということにずっと疑問を感じていました。
今回の研修で、その基盤となっているはずの「障害者の権利に関する条約」のインクルーシブ教育システムについての記述でさえ、すべての子どもを対象とする「世界のインクルーシブ教育」とはかけ離れていることに気づきました。
障害者の能力を最大限度まで発達させることを目的とするなら、特別支援学級・特別支援学校が増えているのは当然の流れだと思います。つまり、問題は、学力至上主義なのです。
研修の中でお話があったイタリアのフルインクルージョンの実例を初めて知り、個別で学習が進められるというのは、障害の有無に関わらずすべての子どもたちの学習到達度を保障する上でとても重要なことだと考えました。画一的な教育を今のまま続けると、ゆっくり学ぶことが必要な子どもたちは取り残され、親子で疎外感を感じ、特別支援学級・特別支援学校を選ぶことが増えていくのは当たり前のことだと思うからです。
他の障害当事者のみなさんとのディスカッションを通して、よりよい学校生活とはどういうものかという本質的な問題を考え直すきっかけをいただきました。
「教育は、誰のためにあるのか。」
障害のある子どもたちが過ごしやすい学校は、結果的にすべての子どもたちが過ごしやすい学校になるはずです。誰も排除しない学校は、誰も排除しない社会をつくる。それは、誰もが高齢者になった時に社会が排除しないという形で自分ごとになるのです。
私に今、できることは私の経験を、これまで通り多くの人にシェアしていくことです。公立小学校の特別支援学級に在籍していた6年間、特別支援学級のない私立中学校での3年間、公立高校、転校した通信制高校と様々な学校を経験してきた私の考える真のインクルーシブ教育についての発信を続けていくことで何かしらの貢献ができると考えています。
社会は、もともと多様性の宝庫。違っていることが当たり前であってインクルーシブという概念がでてくること自体、社会の本来の在り方に矛盾しているのです。私は、学校という場所がすべての子どもたちが社会に出て幸せになる方法を見つけるための学びの場所になるように、誰ひとり取り残されない、排除されない学校を実現したいです!
今回は、貴重な機会を与えてくださってありがとうございました。
小牧愛/自立生活センターてくてく
今回、初めてインクルーシブ教育の研修会に参加となりました。インクルーシブ教育とは何かというところからのスタートではありましたが、まず参加者の方々の自分史を聞いてとても興味深かったです。私は小中高を自分で選択しながら、進学していきました。
重度の障害を抱えている方で、自ら選択してその通りに生活できることは容易ではありません。重度の障害者が地域の学校に通う事の大変さ、理解を求めて通う事に共感しました。また、恵まれた環境がすぐ整う方もいれば、難しい方もいて、それはそれぞれのとても貴重な経験であると実感しました。
その中で海外へ目を向けると、アメリカやスウェーデン等はインクルーシブ教育が当たり前である事に衝撃を受けました。私が小学校時に、地域の小学校へ通いたいと思う中、簡単に通う事が難しく、学校側と交渉した事を最近の事のように覚えています。
どんな環境、状況においても理解があり、容易に通学できる事はとても障害者が成長とともに、生活できるのは素晴らしい事と感じました。
今回の研修で思い出した事があります。自分が以前地域の小学校を進学し、中学年になったとき後輩で、自分より病状が軽い身体障害者の方が進学しようとしていました。その時にはエレベーター等の高額なバリアフリーにつながるものはないが、スロープや障害者用お手洗いは各階についており、後輩にとってはある程度学校生活を送りやすくはなっておりました。
ある日後輩と話す機会があり、「先輩が居たから、この学校に通う事を決意しました。至るところにバリアフリーの設備があり、学校生活を送りやすいです。」と話がありました。
今回の研修と経験に基づいて、私たち障害者が地域の学校に通うことは私たち障害者だけでなく、健常者たちの刺激、そして理解にもつながるのではと改めて感じました。そして、過去の経験が自分だけの経験だけではなく、未来の子供たちの選択肢の広さにつながると思いました。
そして、研修の事例に登場してきた女性の車椅子の方と、健常者の同級生が運動会に参加しているのはとても印象的でした。私の小学校生活も少なからず影響を与え、障害者への理解と障害者が当たり前に生活している社会・価値観につながっているではと微力ながら感じました。
これからインクルーシブ教育について、まだまだ奥が深い事ので、もっと率先して学んでいきたいと思います。
植田洋平/自立生活センターヒューマンネットワーク熊本
東京に集まり行われていたインクルーシブ教育研修は、コロナ禍のためオンラインでの開催となりました。対面でないため、参加者とどのように繋がることが出来るのか不安だったのと、普段の研修より全体の時間も短かったため、どんな内容になるのかなぁと心配していましたが、とても充実した時間になりました。
プログラムでは、私を含む参加者10名が前半後半に5名ずつ自分の学校での体験を話しました。話す時間は8分間と短いのですが、皆さん話し慣れているのか、お話が上手で、8分間でとても印象に残るお話をされました。
中でも支援員の立ち位置については、とても考えさせられました。介助が必要な生徒には、そのサポートが必要ですが、支援員がずっと側にいることで周りの子どもたちと分断される環境が作られたり、支援員に任せきりで担任の先生と信頼関係を築くことができなかったというお話がありました。
逆に支援員がついていなかった人は親が同行して親に申し訳なかったというお話もありました。私を含め、一部の運が良かった人は友達が自然と手助けしてくれていて学校生活を送れたようです。
ただ、支援員の関係で大変な経験をした人も、親が同行して複雑な心境で学校生活を送った人も、幸いなことに友達との関係や素敵な先生との出会いが支えになり、大切な経験を積むことができたようでした。
また、体験談だけでなく、DPI日本会議の崔さんから、障害者権利条約から見たインクルーシブ教育の考え方についての分かりやすい解説もあり、体験と理論を一緒に学ぶ機会になりました。
最後に、参加者全員がインクルーシブ教育を実現するために何ができるかを話しました。「小学校の啓発活動に力を入れる」「学校のバリアフリー化を進める」「教職員の研修に自分たちが話せる時間を作る」などなど、大切な視点から色々な意見が出ました。
全体を通して、全国の若い世代の障害当事者が、自分の経験を糧に、共に学ぶ教育を実現したいと考えていることを感じられる良い時間になりました。
その2に続きます!
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