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2日目報告!!障害者権利条約に関する台湾政府の報告書審査

2017年11月01日 障害者権利条約の完全実施

障害者権利条約に関する台湾政府の報告書審査、2日目です!
本日も現地の様子をお届けします!


写真:朝は近くの店でおかゆに巨大ご飯まきを買い込みました。

■10月31日午前(第10条から17条)
9時から委員とNGOとの対話が開始されました。後見制度や精神障害者の強制入院(非自発的入院)や強制治療について、NGOのメンバーから様々な実情が委員に対して話されています。ソーシャルワーカーであるという発言者は、精神病院では電話が制限されているし、家族やソーシャルワーカーですら、面会の機会が制限されていたり、IDを見せて確認してからでないと、面会させないなどの対応がされていると指摘がありました。精神病院の状況は日本と似ています。グレース・チャンさんも12条、14条、15条に関連して、後見制度ではなく政府が障害者に対して支援付きの自己決定ができるような財政上の取り組みをすべきである、という発言をしました。
委員長の長瀬さんから、昨日と同様、委員に対して台湾政府にどのような総括所見を出してほしいか述べてほしい、という話がされ、さらに、障害者権利委員会の委員の数や多様性について台湾のNGOメンバーに説明がありました。知的障害を持つロバート・マーチンさん、ろう者の委員などの話です。社会から排除され、隠された存在にされがちな精神障害者に権利条約が焦点を当てていることも述べました。
委員のマイケル・スタインさんなどからNGOに質問がされました。14条、精神病院についてです。精神保健法の問題、後見制度ではなくピアサポートによる支援付き自己決定について、などです。ダイアン・キングストンさんからは緊急時の難聴者やろう者、知的障害者の情報保障について、後見制度についての質問です。また、17条について長瀬さんからろう児として生まれたこどもがろう者のコミュニティに入るのか人工内耳などの状況についての質問がされました。

精神病院の実態について発言した方に休み時間にいろいろと話を聞いてみました。病院にルールがあって、三等身以内の人しか訪問できない。支援者などは訪問が拒否される。裏口から訪問するので本人がOKだったら中に入れる場合もある。家族の意見が中心なので、本人に会いたくても家族がダメと言ったら会えない。法律ではだれでも訪問できるようになっているが、条例や規則が制限している場合があり、法律違反状態。急性の場合、強制入院の場合、一か月で基本的には退院できる。医者の判断で60日に延長。慢性の場合は慢性の人の病院に移る。任意入院の場合は自分で交渉して退院できる。身体拘束も統計はないけどかなり経験している。決まった時間以外にカップラーメン食べて怒られて興奮して身体拘束された例。医療スタッフの比率が精神科は他科とくらべて低い。保険制度の関係で患者の数が多いと病院はもうかる……。
精神病院の現状を報告する支援者の団体のメンバー
写真:精神病院の現状を報告する支援者の団体のメンバー

10時半から台湾政府との建設的対話が始まりました。長瀬さんから10条(危険な状況)について、政府に対し、障害当事者団体の参画について厚労省、内務省への質問がされました。とくに今年8月、台湾では大停電が起き、大臣が辞任しています。内政省から8月の大停電からたくさんのことを学んでいるとの回答がありました。
12条から14条についてはマイケル・スタインさんが質問しました。12条の規定は条約の中核であり、一般的意見1などもだされている、台湾の様々な法律がどこまで12条の精神に沿って動いているのか、支援付き自己決定についてどのような制度があるのか、などの質問がされました。法務省からは日本の法テラスのような支援、有期の保護人制度があり、障害者の権利を保護している、という回答がされました。また、障害者が決めることができる新しい法律を作ろうとしている、という発言もありました。また14条に関して、障害のみを理由とする自由のはく奪はない、とし、非自発的入院については、法改正の前は3000件だったのが、現在は1年に約700件ほどになっている、と回答がありました。第15条と16条にダイアン・キングストンさんから中絶、堕胎についての質問がされ、政府から生殖の権利法9条で中絶は精神障害、レイプ被害などの理由では合法であるとの回答がされました。第17条では優生保健法をGenetic Health Act と訳したのか、間違いではないか、と指摘。これに対して政府は過ちを認めました。人工内耳手術について、新生児の99%スクリーニングし、戦略として新生児への早期介入する政策をとっているとの回答がされました。
このセッションを終えるにあたって長瀬さんより日本の相模原の津久井やまゆり園事件に触れて、権利条約は優生思想との闘いである、という話がされました。
昼は弁当付き!
写真:昼は弁当付き!

■31日午後(第18条~第23条)
まず、NGOと委員との対話が行われました。
台北にある自立生活センターのリンさんから報告がされ、地域での自立生活に関係することとして、介助量が減らされたり無くされたりするのがこわくて地方自治体や政府に対する批判などを行う場に来ることができない仲間がいる、ブラックリストに載ってしまうとサービスがカットされてしまう、という深刻な報告がされました。それに対して長瀬さんから、深刻な問題なので政府との対話のセッションの際に政府側にそうしたことがないように委員として強く意見を述べる、というやり取りがされました。
また、台湾への入国の場合に、障害者が排除される場合があるのかということについて出入国法第18条では精神障害や伝染病の人は入国を拒否することができるとなっている、という報告がありました。そのほか、自立生活に関連して知的障害者の場合、参考にされるのは家族や専門家の意見が中心で当事者の意見はなかなか聞かれない、という報告もされました。
NGOとの対話で。リンさんが発言しています。
写真:NGOとの対話で。リンさんが発言しています。
NGOとの対話で発言する知的障害当事者の方。
写真:NGOとの対話で発言する知的障害当事者の方。
NGOとの対話でグレース・チャンさんも委員にインプット!
写真:NGOとの対話でグレース・チャンさんも委員にインプット!
精神科病院について教えてくれました。リンさんの通訳です。
写真:精神科病院について教えてくれました。リンさんの通訳ですm(_ _)m

15時半から政府との建設的対話が始まりました。
まず長瀬さんから確認がありました。リンさんが提起した問題について、この審査委員会の難しいところは衛生福利部が準備をして、事務局も担っている。ここで発言したことがのちに不利になるということがないようにしてほしい、ということで政府の代表(衛生福利部副大臣)に発言を求めました。これを受けて政府の代表から、権利を保護すること、NGOとは信頼関係を持つパートナーになるということ、同意できる・出来ないは別にして資金やサービスをカットするなどのことはこれからないことを保障する、という発言を引き出しました。当然のことですが、権利を保障する、と明確な発言を聞けたのはよかったよかった!長瀬さん、ナイスでした!

18条については、政府から、法により中国本土、精神障害、伝染病は入国を拒否でき、公共の健康や国家の安全にかかわらない限りすべての人が台湾に来ることを歓迎する、単に障害のあるなしだけ出入国を拒否することはない、ケースバイケースで判断する、と回答。

19条について、アクセシブルな住宅の確保も大きな問題ですが、政府から新たな建物についてはバリアフリーが進み、既存の建物は45%の建物が政府の補助でエレベーターを設置した、住宅のバリアフリーなどについてインセンティブを与える政策をとっている、3つの施設を閉鎖し、現在、障害者の5%が施設に住んでいる状況、という報告がありました。

20条に関連して、政府の担当者の手話の認識として、中国語対応の手話ではなく自然手話(と英語では言っていた)、つまり日常、ろう者が使っている手話を手話として広げていきたい、という発言がありました。
ほかにもいろいろなやり取りがありましたが、結果は総括所見ですね。
手話通訳にパソコン筆記
写真:手話通訳にパソコン筆記

今日の審査委員会も終わりました。女性の活躍が目につく、というか特にNGO側で発言するのは女性の方が圧倒的に多いですね。
審査委員会での平野みどり議長
写真:審査委員会での平野みどり議長

とにかく委員の皆さん、超ハードな大変な仕事、本当にお疲れさまでした。台湾の障害者団体の方々も本当にお疲れさまでした。
31日夜
写真:31日夜

ということで、審査委員会が終わった後は今日の復習のために街に繰り出したのは言うまでもありません。地下鉄は車いすユーザーでも利用しやすいですね。リンさんに小籠包のおいしいところに連れて行ってもらいましたが、いろいろ語り合うためだったということを議長に代わり報告させていただきます(笑)。

(議長補佐 崔 栄繁)

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