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ジュネーブでのロビーイング報告検討会を開催しました(キリン福祉財団助成)

2022年10月06日 障害者権利条約の完全実施

報告検討会の様子

9月13日(火)、2022年度 キリン福祉財団助成プロジェクト「障害者権利条約の検討・総括所見を活用した国内法制度の整備について」の一環として、東京のDPI事務所において、スイス・ジュネーブの国連本部から数日前に帰国したばかりの崔栄繁DPI日本会議議長補佐による報告検討会が行われました。

本プロジェクトでは、国連障害者権利委員会が日本政府に出した総括所見の普及活動を主眼とし、総括所見・国連のガイドライン等の分析、諸外国における総括所見と障害者団体の活動に関する研究、国内施策の整備に向けた各地でのタウンミーティング等の実施を予定しています。

障害者権利条約締約国である日本の初回審査(建設的対話)が 2022年8月22日(現地時間15:00-18:00:日本時間同日22:00- 8月23日01:00)及び8月23日(現地時間10:00-13:00、日本時間同日17:00-20:00)の2日間に行われ、この建設的対話に関する総括所見が、2022年9月9日付で公開されました。

▽総括所見(英文)は国連障害者権利委員会のウェブサイトからダウンロードできます
*日本語訳はまだ公表されていませんが、いずれ外務省のウェブサイトに公定訳が掲載される見込みです。

今回の報告検討会では、日本から多くの障害当事者を含め、総勢100名を超える傍聴者が建設的対話の傍聴のためにジュネーブを訪れたこと、飛行機の遅れなどさまざまなトラブルがあったこと、日本に帰国する飛行機に乗るためにPCR検査が必要で、その場でコロナ陽性であることがわかった人や帰国後に感染が判明した人が少なからずいたこと。

現地では非常に短い時間のなか、政府報告に対するパラレルレポートを提出したJDF(日本障害フォーラム)や日本弁護士連合会らが特に重要な課題について、連日、障害者権利委員に対しさまざまな形でロビーイングを行ったこと、特に、障害者権利委員会と日本政府の建設的対話に先立って行われた障害者団体など市民社会団体によるブリーフィング(非公式)での権利委員から出た多くの質問やその回答を短い時間に用意したこと、建設的対話を国連の会場で聴いた参加者の反応など、現場感あふれる報告が行われました。

国連TVでライブ中継された日本審査(建設的対話)の録画は以下のURLで見ることができます(2022年10月初旬現在)。

▽一日目

▽二日目

報告検討会を終えて

左から平野、西村

平野みどり議長(自立生活センターヒューマンネットワーク熊本)のコメント

ジュネーブでの熱い建設的対話をリアルタイムでオンラインで聞けたということは、現地に行けなかった私たちにとってもすごくよかったです。総括所見でどんな勧告になるんだろうと思っていましたが、多くの重要な課題を盛り込んだ勧告になっているのは、現地でロビーイングに参加した皆さんたちのタイムリーな動きもあってのことでしょうけれども、これまで長い間、建設的対話に向けて準備をしてこられた、いろんな人たちの努力の結果だということで、感慨深いです。

インクルーシブ教育(24条)の推進について、日本のなかでまだまだかなりの抵抗があるなか障害者権利委員会ではこのような勧告をまとめているんですよ、と言えることはとても心強いと思います。また19条に関して、コロナ下の医療危機を経て、命を守っていくということは、地域で、分散して、地域のメンバーとして生きていくことで、そのことがいかに命を守ることになるかを痛感しました。

さらに、障害を持っている女性・少女への対応がまだまだ不十分だということをそれぞれの条文のなかで横断的に言ってもらったことは、障害女性の課題は6条だけの問題ではないぞということを強く言っていただいたことと思い、よかったことです。

地元の熊本でも、教育の問題、地域移行の問題がなかなか進まない状況があります。個別支援をいろいろしているのだけれども、今回の総括所見における勧告をもらって、今まで取り組んできたことを推進していくことが正しいんだと確信を得られたことが良かったです(談)。

西村正樹副議長(DPI北海道ブロック会議)のコメント

建設的対話のあと、総括所見(勧告)がこれほど早く出されるということに驚きました。これから、出た勧告を我々としてはどう受け止めてどう活用していくかが課題です。ぜひ、今後のプロジェクトで他の国が権利条約の勧告を受けてどのような取組をしたのかを知りたいと考えています。

私の関心のある雇用労働と所得保障に関する勧告についても、まだ十分に読み込めていませんが、我々のなかでは生活保護の基準をひとつの柱と考えてきましたが、障害者権利委員会では雇用・年金を含め十分な所得を得ることに重点を置いているといくことで、平均所得を1つのベースとして今後所得保障を考えていく必要も感じました。

日本の今の障害年金では所得としては明らかに低いことから、この視点も重要であり、今後取り組みが必要です。また職場をつくっていくことが基本で、就労支援など様々な取組はあくまで経過であって、その先には障害があってもなくても共に働ける職場と制度を作っていくことが目的であることを改めて感じさせられました。

雇用労働施策と所得保障の課題は必ずしもローカル性のある問題とはいえないですが、地元の北海道では公共交通機関についての課題が大きいです。DPI日本会議も重視している無人駅の課題について、国土交通省のガイドラインが検討されるなどの動きがあり、将来的には地方と都会の格差解消をめざしたいです。

また2030年に札幌冬季オリパラを誘致している関係で東京オリパラの成果を継承しつつ、イベント等については必ず障害者の参加を意識する形で取り組んでいくというところです。

今回の報告検討会を含む活動は、キリン福祉財団からのご支援により行っています。心よりお礼申し上げます。

報告:(事務局)


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