全ての人が希望と尊厳をもって
暮らせる社会へ

English FacebookTwitter

2月18日(土)長瀬修さんをお招きして「障害者権利条約の審査・総括所見を活用した国内法制度整備事業」の研究会を行いました

2023年03月02日 障害者権利条約の完全実施

長瀬
2月18日(土)「障害者権利条約の審査・総括所見を活用した国内法制度整備事業」の研究会をDPI常任委員会後に実施しました。

長瀬修さん(立命館大学教授、インクルージョンインターナショナル事務総長)をお招きして「障害者権利条約国際審査委員会 中華民国(台湾)第2回審査」というテーマでお話を頂きました。((公財)キリン福祉財団からの助成事業)

長瀬さんからは中国と中華民国(台湾)の国際政治上の位置、中国と障害者権利条約、2017年と2022年に委員として担当された障害者権利条約の審査についてお話をしていただきました。

障害者権利条約は、第2次世界大戦後1948年に作られた世界人権宣言が起源で、世界人権宣言第2条に「個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。」という事が書いてあります。

しかし、中華民国(台湾)は国連に独立国として認められておらず(中華民国と正式な外交関係を結んでいる国は14ヵ国ある)、障害者権利条約の批准・審査のプロセスに参加する事ができておりません。

そのため、中華民国(台湾)は障害者権利委員会が条約審査として実施している建設的対話から総括所見までを自国内で行う独自の仕組みを作っており、実際に2017年と2022年に独自の条約審査が行われました。長瀬さんはその審査の委員長を担当されていて、審査プロセス、国連で行われる審査との違い、審査後の国内の状況についてお話してくださいました。


▽2017年審査の報告記事は下記からご覧ください。
①ついに始まった!障害者権利条約に関する台湾政府の報告書審査!

②2日目報告!!障害者権利条約に関する台湾政府の報告書審査

③3日目報告!!障害者権利条約に関する台湾政府の報告書審査

④4日目報告!!台湾 新活力自立生活センター!

⑤最終日報告ー台湾 総括所見発表記者会見、行政院前抗議行動


総括所見に基づいて、詳細な行動計画を作成、総括所見を高い位置づけにしていることは大変評価が出来る一方で、障害者差別禁止法が欠如していたり、優生保健法という古い法律がまだ残っていたりすることは課題ということでした。

また市民社会については、権利意識が向上して、24時間介助を求めて条約に基づく訴訟などが行われるようになったことは大きな進歩。一方で、組織間で障害者権利条約の理解や実施の熱意に関するギャップが大きくなってきていることは心配な点ということでした。

その後、DPIの崔(議長補佐)から韓国における障害者権利条約の国内実施というテーマで韓国の障害者の現況、条約批准とプロセス、監視体制、実施状況などについて話をしました。(詳しい内容についてはここでは割愛します)

日本では昨年総括所見が出されて、多くの指摘が権利委員会からされたにもかかわらず、法的拘束力がないという枕詞で特に取り組みが行われていない現状があります。

日本が総括所見を受け今後どのような取り組みをしていくべきか、中華民国(台湾)と韓国と状況から考える大変良い機会となりました。お越しくださった長瀬さん、助成団体の(公財)キリン福祉財団に御礼申し上げます。

報告:笠柳(事務局長補佐)


私たちの活動へご支援をお願いします

賛助会員募集中です!

LINEで送る
Pocket

現在位置:ホーム > 新着情報 > 2月18日(土)長瀬修さんをお招きして「障害者権利条約の審査・総括所見を活用した国内法制度整備事業」の研究会を行いました

ページトップへ