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どんなに重い障害のある人も病院や施設ではなく、地域で自分らしく暮らせるように(「Withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」JCILからの報告)

2022年01月17日 地域生活

ステップアップのイメージ
みなさんこんにちは。

Withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」京都実働部隊の日本自立生活センター(JCIL)です。前回の報告に引き続き、今回は10月から12月までの動きについて報告します。

地域定着支援報告

藤田さんの写真

藤田さん・田中さんの地域定着支援について、ピアサポーターである野瀨(脊髄損傷、脳性麻痺、呼吸器ユーザー)が報告をします。

まずは藤田さんについてですが、下記の日程で訪問やzoomを使ったサポートを行いました。
◎サポートを行った日程:10月18日(月)☆・11月7日(日)・11月22日(月)☆ ・11月28日(日)・12月27日(月)☆
(☆の付いている日は、zoomを使用したサポート日です)

Zoomによるサポートは、ご本人より月に一度みんな(藤田さんをサポートしているメンバー)で話したいという事で、フリートーク会と題し、日々の困り事や出来事をみんなで共有し、解決に励みました。

時には藤田さんが聞き手となり、メンバーのお悩みに助言されることもあります。

ご自宅に訪問した際には、藤田さん担当コーディネーターから移乗研修に使う動画撮影の手伝いを頼まれたり、またパソコンの操作方法について相談を受けたりしています。

パソコンについては操作方法が定まっていないため、岡山、大藪、野瀨で障がいを持っておられるIT機器のセッティングを専門としている方と連携を取りながら藤田さんに最善のセッティングを探し出したいと思っています。

そして以前より訪問入浴とのトラブルが絶えず、サポートしておりましたが、これは藤田さんだけの問題でなく制度等の問題だと捉え、藤田さんに限らず訪問入浴を利用している当事者等に話を聞き、京都市に意見書を提出し藤田さんと共に改善が出来ればと思っています。

また田中さんについては、11月中旬にzoomにてお話を聞かせていただきました。毎週定期的に外出されており、充実した生活を送られています。今年は田中さんの地元でもある和歌山に旅行に行かれたいと言われていました。

田中さんの写真

京都市「脱施設化」のための働きかけ

10月に報告した「京都市による脱施設化・地域移行の動き」のその後をお伝えしたいと思います。

筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト実態調査報告書が発表されました(「Withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」JCILからの報告)

京都市における障害者の地域移行実態調査等のためのワーキンググループが動き出します。

メンバーは、審議会でJCILから要望したように「地域移行についての実績があり、モデルケースを示しエンパワメント支援を行うことができ、また現行の施策の不備を指摘できる当事者や事業者」で構成されるもようです。

今月、第1回目のワーキンググループ会議が開催される予定です。脱施設化・地域移行が進まない現状を少しでも打開していけるよう、皆さんと議論していきたいと思います。

また今月と来月に、第36回国際障害者年連続シンポジウム・京都市居宅介護等事業連絡協議会合同企画(二回連続)「当事者、支援者、家族、みんなが安心できる地域での生活とは?~障害のある人たちが地域で支援を得ながら暮らしていくために~」(DPI日本会議共催)を開催します。

上記ワーキンググループの中心で京都市障害者施策推進審議会会長の岡田まりさん(2月3日)と、京都市障害保健福祉課・施設福祉担当者及び在宅福祉担当者の方(1月20日)から、京都市における地域移行の現状と取り組みについてご報告いただきます。

1月20日(木)「当事者、支援者、家族、みんなが安心できる地域での生活とは? ~障害のある人たちが地域で支援を得ながら暮らしていくために~」(DPI共催イベント)

筋ジス病棟以外の障害者入所施設へのアプローチ

筋ジス病棟以外の入所施設については、アンケートを取って以降も面会などのアプローチができない状態が続いていたので、なかなか動けていなかったのですが、2021年12月27日に、某入所施設におられる方のご家族とお電話でお話しすることができ、施設での面会等の状況についてお話を聞くことができました。

ご家族によれば、以前は家族でも面会はできない状態であったが、今は面会の日時の事前予約とワクチン接種証明書の提示があれば、仕切り越しではあるが面会は可能であるとのことでした。

条件は様々あるようでしたが、手続きを踏めば家族以外でも面会できるとのことだったので、私たちも安堵し、団体内では年が明けたら一度、面会の手続きをしてみようと話していました。しかし、年明けからのオミクロン株の流行・感染拡大により、面会の条件や状況に変更がある可能性もあるので、まずは施設に問い合わせて確認をし、アプローチの仕方について引き続き考えていかなければならないと感じているところです。

施設に入所されている方にとっては、2年近く外出できていないことになるので、状況を見ながらではありますが、継続的に面会・外出の糸口を探り脱施設化の動きにつなげていきたいと思います。

なお、宇多野病院の筋ジス病棟の面会の状況について、現在繋がりのある入所者の方に直接LINEで聞いてみたところ、家族のみ特別に面会が許可されているとのことでした。こちらへのアプローチについても引き続き考えて行きたいと思います。

地域移行啓発プロモーションビデオ(PV)作成

前回の報告では PV 作成についての動きについてお伝えできていなかったのですが、医療的ケアの必要性が特に高い重度障害者の地域移行を広く知ってもらうために、地道にビデオ作製に向けた活動を続けてきました。

11月16日には、宇多野病院療育指導室のスタッフの方にZoomでインタビューを行い、このプロジェクトでもおなじみの宇多野病院から退院された4名の方の地域移行の際のお話や、病院としての地域移行に対する考えなどを聞かせていただきました。

当然のことながらと前置きをされた上に、当事者が地域移行を希望していて状況が整っているならば、病院としても地域移行を支援すべきだと考えておられること、地域移行先の医療・福祉の地域資源の状況がわかればより支援しやすい、といった病院からの目線のお話を伺うことができました。また、コロナ禍におけるリモートでのつながり・支援者同士のコミュニケーションの重要性についても語られました。

今まで私たちは当事者団体として地域移行の重要性を発信してきましたが、今回は病院スタッフの方の目線からの話を聞くことができ、これからの地域移行を考える上でも大変貴重な機会になったと思っています。

あとは、動画の完成に向けて編集を頑張って行くのみ!

もう一息頑張っていきたいと思います 。

自立体験室利用について

自立体験室は現在、5名の方によって定期的に利用されています。夏はコロナ禍により、利用が若干減りましたが、基本的に毎月ごとに1泊2日~4泊5日、それぞれの人のペース、あるいは家族のペースに合わせて利用してもらっています。

現在のところ、利用者の方は皆、親と同居しつつ、施設でなく地域で支援を得ながら暮らしていくための準備として、ヘルパーの支援を受けながら体験室に宿泊しています。皆、知的障害ないし自閉症があり、同時に重度訪問介護の利用者でもあります。

親の多くは施設入所も考えておられました。しかし、行動障害が強くて施設には合わない人もいたり、実際に施設を利用したが体調を崩してしまった人もいました。JCILのスタッフが相談にのりながら、将来の地域生活のために、体験室の利用へと踏み出すことになりました。

当事者、家族、支援者が連携しながら、家族介護が立ちゆかなくなったとしても施設ではなく地域で支援を得ながら暮らしていけるよう、体験室を定期的に利用してもらっています。

今回の報告は以上になります。

昨年の12月31日をもって本プロジェクトの実働期間も終了しました。あとは成果報告に向けて、残務作業を進めるとともに、この一年間の動きをメンバーで振り返り、まとめを行っていきたいと思います。

これをもってプロジェクトの実施期間としては終わりとなりましたが、私たちの地域移行・地域定着の取り組みはこれからも続きます。病院や施設ではなく、どんなに重い障害のある人も地域で自分らしく暮らせるようになるためにはどうすればいいのか、これからもみんなで考えて行動に移していきたです。

ありがとうございました。


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