withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業
日本自立生活センター活動報告(日本財団助成事業)
2021年04月20日 地域生活
日本財団からの助成による「withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」では、協力団体である京都の「日本自立生活センター(JCIL)」と大分の「自立支援センターおおいた」が病院から地域への移行支援に取り組んでいます。
今回はJCILに本事業の進捗状況について報告をして頂きます。
▽自立支援センターおおいたの報告はこちら(2021年3月8日)
この度は、日本財団助成金を受け地域移行支援モデル事業を実施させていただけることを大変嬉しく思います。
JCILでは、今年1年間で以下の事業計画に沿って活動を展開していきたいと思っています。今回は、今年1月から4月頭までの動きを大まかに報告します。
▽日本自立生活センター地域移行支援モデル構築事業計画書はこちら(PDF)
JCILが関わってきた宇多野病院からの地域移行支援の振り返り座談会
京都には宇多野病院に筋ジス病棟があり、JCILとしては1990年代頃から宇多野病院入所者の方たちと関わりがありました。これからの地域移行支援を考えていくためには、まずは今までの支援を振り返ることが大切と考え、地域移行支援に関わってきたJCILの当事者・健常者スタッフで座談会を行っています。
宇多野病院との初期の関わりは、JCILが派遣するアテンダント(有償介助者)を入所者の方が利用されていたことに遡ります。その後2000年代に入って京都でも24時間介助が使えるようになった頃から、宇多野病院から地域生活への移行支援が活発化しました。
直近の宇多野病院地域移行支援は2017年12月以降活発に動いており、2020年10月末までの間に4名の方が地域で24時間介助を受けながらの自立生活に移行されました。しかしそのプロセスの中では、ドクターや病院スタッフと私たちの認識のズレに悩まされたり、地域移行を志す当事者の方の想いとは裏腹に様々な制限があったり、コロナによって支援者が病棟に入れなくなったりと様々な障壁がありました。
その中を当事者と支援者がいかに協力して突破してきたか、地域移行達成までにどのくらいの支援量と時間を要したのかなどをみんなでざっくばらんに話しながら振り返っています。
今までに3回座談会を行いました(2月22日・3月15日・4月12日)。現在までに文字起こしが完了している前半部分(2019年コロナ禍以前まで)の全文を前半と後半に分けて以下に掲載しますので、詳細はそちらをご覧ください。
▽座談会「JCILと筋ジス病棟~コロナ以前の取り組み~(前半)」全文はこちら(PDF)
▽座談会「JCILと筋ジス病棟~コロナ以前の取り組み~(後半)」全文はこちら(PDF)
地域定着支援
上述のように直近では4名の方が病院を出て地域での自立生活を始められたのですが、病院を出たら終わりということではなく、むしろそれからが始まりです。JCILでは、先に宇多野病院を退院された自立生活の先輩が、後から退院してこられた方のピアサポートをするという好循環ができています。
現在は地域定着支援として、2020年10月27日に退院された藤田さん [気管切開人工呼吸器使用]と、同年10月31日に退院された田中さん [鼻マスク人工呼吸器使用] の支援を行っています。藤田さんは主にベッドから車いすへの移乗や外出、また緊急時の防災対策などについて、田中さんは主に食事の経口摂取や介助者との生活全般について、ピアサポーター・健常者スタッフ一緒に考えています。対面だけではなくZoomやメッセンジャーなどのオンラインツールによる相談も頻繁に行っています。
藤田さんと田中さんの支援について、退院前の様子からコロナ禍での地域移行、また移行後の地域定着支援の様子を報告書として掲載します。以下よりご覧ください。
京都市「脱施設化」のための働きかけ
京都市の第6期障害福祉計画において、地域移行については国の基本方針が6%のところ京都市は2.2%、施設入所者数削減については数値目標なしという状態です。京都市として「脱施設化」の戦略を新たに設定し、地域移行、施設入所者数削減の数値目標を、最低でも国の基本指針と同じ数値とすることを目標に、以下のような取り組みを行っています。
・京都市障害者施策推進審議会で、JCILの宇多野病院からの地域移行支援の具体事例を報告
・同志社大学の鈴木良さんと地域移行・脱施設について意見交換
・京都で「脱施設ネットワーク」を作るために関係者・団体などに声かけ、話し合いを実施
その他の障害者入所施設訪問
宇多野病院筋ジス病棟だけではなく、その他の京都の身体・知的障害者入所施設を3月に3ヶ所訪問しました。入所者の方には会えませんでしたが、各施設によってコロナ対応にはばらつきがあるようでした。コロナ以降、入所者の方と全く会えていないので、これからオンラインも含めてつながり方を模索していきたいと思います。
地域移行啓発プロモーションビデオ作成
「地域移行」という言葉について、施設入所当事者の方を始め、家族や施設スタッフ、地域の介護事業者など多くの人が具体的なイメージを持てていない現状があると思います。そして話を聞いても「なんかいまいちよくわからない、、」ということもありえます。
そこで今回のモデル事業の一環として、宇多野病院から地域移行された方々に協力してもらってプロモーションビデオを作ることにしました。地域で医療的ケアを受けながら暮らす様子、病院から地域への移行の様子などを分かりやすくかつ面白く動画にする予定で、これまでに2回ミーティングを行いました。
完成したらインターネットでの公開はもちろんのこと、病院や施設で自立生活講演会を開き動画を活用したいと思っています。お楽しみに!
以上が現在までの大まかな活動の報告です。この他にもJCIL内で脱施設勉強会のようなことも実施していく予定です。これからも引き続きモデル事業構築に貢献できるよう活動を継続していきます。
(報告:JCIL 日本財団PTチーム)
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