京都市で「脱施設化・地域移行」を進めるための取り組み
(日本自立生活センター報告、withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業)
2021年06月16日 地域生活
日本財団からの助成による「withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」では、協力団体である京都の「日本自立生活センター(JCIL)」と大分の「自立支援センターおおいた」がオンラインツールを活用して病院から地域への移行支援に取り組んでいます。
今月はその日本自立生活センター(JCIL)から、本事業の進捗状況についてご報告いただきます。
みなさん、こんにちは。
「Withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」京都実働部隊の日本自立生活センター(JCIL)です。前回の報告に引き続き、今回は4月から6月頭までの動きについて報告します。
宇多野病院からの地域移行支援振り返り座談会 (後篇)
京都には宇多野病院に筋ジス病棟があり、JCILとしては1990年代頃から宇多野病院入所者の方たちと関わりがありました。これからの地域移行支援を考えていくためには、まずは今までの支援を振り返ることが大切と考え、地域移行支援に関わってきたJCILの当事者・健常者スタッフで座談会を行っています。
前回の4月の報告では、2019年にコロナ禍に突入する前までの地域移行支援について振り返りましたが、今回はコロナ禍以降の動きを中心に振り返りました。
2020年10月に退院された藤田さんと田中さん、支援者で話し合い、コロナ以前のお二人の地域移行に向けた動きを振り返った後で、コロナ以降病院全体に面会規制がかかり、病棟内に支援者が入れないどころか介助者の研修もできない中で、オンラインを活用してどのようにその壁を突破し地域移行を実現したのか。
盛り沢山の内容ではありますが、座談会の文字起こし全文を前半と後半に分けて以下に掲載します。ぜひご一読ください。
▽座談会「JCILと筋ジス病棟~コロナ以降(2020年から)の取り組み~(前篇)」全文はこちら(PDF)
▽座談会「JCILと筋ジス病棟~コロナ以降(2020年から)の取り組み~(後篇)」全文はこちら(PDF)
京都市「脱施設化」のための働きかけ
京都市で脱施設化・地域移行を進めるための働きかけについて、その後の動きをご報告します。
〇脱施設化の勉強会
先月、鈴木良さん(同志社大学准教授)をJCILにお招きし、脱施設化について学びました。
これはJCILの内部勉強会だったのですが、今回は、京都市の地域移行促進のネットワーク作りに賛同いただいている、京都市障害者施策推進審議会の委員(他の障害者団体の方々や、入所施設運営法人の代表)、障害者福祉の研究者の方々にも参加いただきました。
鈴木良さんからは「脱施設化をどう進めるか~日本の現状とこれからの課題」と題し、入所施設と地域移行の現状について基本的なところから教えていただき、どうしたら脱施設化を京都市で実効性のあるものにしていけるか考える機会を設けることができました。
〇京都市の施設入所待機者についての調査
上記の勉強会にも参加された、京都市の地域移行促進のネットワーク作りに賛同いただいている研究者の方々とミーティングを開きました。
勉強会で鈴木さんが強調された「施設への新規入所を止めることが重要」という話から、新規入所をせずにそのまま地域で暮らせる基盤作りのために、何が必要か、今できることは何かを検討しました。
今後も定期的に話し合いの場を持ち、具体的な動きに繋げていきたいと思います。
〇地域移行啓発PV作成
前回も報告したように、医療的ケアの必要度が特に高い重度障害者の地域移行を啓発するためのプロモーションビデオを作成しています。月1回程度チームメンバーで集まってミーティングを開き、普段はメッセンジャーグループ上でやり取りをしながら着実にプロジェクトを進めています。
話し合いを重ね、 ビデオの目的や構成、今後のスケジュールなどもまとまり、いよいよこれから各方面への取材・撮影の始まりです!
「地域移行」というものが、「障害当事者団体だからできる」とか「都市部だからできる」といったものではなく「然るべき制度と支援があれば誰にでもできる」というメッセージを届けるために、一般の介護派遣事業所や訪問看護ステーション、地方で24時間介助を使いながら自立生活を送る当事者などなど、幅広い層へ取材を行い、幅広い層の人たちにこのビデオを届けられるように頑張ります。
もちろん宇多野病院から地域移行された当事者の方たちの経験や地域生活の様子もふんだんにお届けする予定です!
最初は軽い気持ちで始めたプロジェクトですが、気がつけばかなり本腰を据えて取り組む一大プロジェクトに…。みなさん完成までお楽しみに!
今回の報告は以上です。他にも他の障害者入所施設へのアプローチや地域定着支援も継続中ですが、それはまた次回の報告で。
引き続きプロジェクトメンバーみんなで頑張っていきます!
(報告:JCIL 日本財団PTチーム)
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