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喫茶企画「植田カフェ」―地域定着活動の一つとして-
(withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業)

2021年08月23日 地域生活

植田カフェ

▲写真:植田カフェの様子

「withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業(日本財団助成)」について、本事業の協力団体である日本自立生活センター(JCIL)から活動報告をいただきました!


みなさんこんにちは。「Withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」京都実働部隊の日本自立生活センター(JCIL)です。

今回は地域移行をされた植田さんにお話を伺いました。また前回の報告に引き続き、6月から8月頭までの取り組みについて報告します。

喫茶企画 植田カフェ―地域定着活動の一つとして-

はじめまして、植田健夫と言います。

18年間入院してきた宇多野病院を2018年11月に退院し、京都市南区のアパートで一人暮らしを始めて2年と8ヶ月ほど経ちました。 退院してから1年半くらいは、病院での生活ではあり得なかった自分の好きな時に自分の好きなところに行ける、誰からも制限されることなくしたいことがでる生活を送っていました。

昔からコーヒーが好きだったので京都市内の色んなカフェ(20箇所以上)を巡り、日々の生活に充実感を感じていました。 たまにJCILの本体活動(運動)に顔を出すことはありましたが、自由な生活に満足していたので、人との関わりが余りなくてもその時はまだ本体活動に積極的に関わろうという気持ちはなかったように思います。

しかし1年半くらい経ってから少しずつ自由さに充実感を得ることも少なくなり、このままこの生活を続けていくだけでいいのかと疑問を抱くようになりました。 そのような思いを抱くようになったのとほぼ同じタイミングでコロナ禍に突入しました。

行きたいところに行ける自由さをコロナ禍に奪われて、日々の生活に物足りなさと、なんの為に退院してきたのかという思いがありました。 そのような状況の中、前から少し興味があったものの手を出さないでいた本体活動に関わってみようかと思いました。

たまたま僕の担当コーディネーターが本体活動に関わりのある人だったので相談したところ、週1回のペースで本体事務所に行ってみることになりました。 しかし本体事務所に行き始めたものの、自分の担当というものもなく、何をして過ごしたらいいか分からない時間を過ごしました。

目につくところの掃除などをやっていましたが、それをやってしまったら他にすることがないような状態で、本体事務所に行くモチベーションも次第に下がってきました。 そんな話をあるヘルパーとしたところ、ある提案を受けました。

「植田さんカフェ好きでしたよね?本体活動の一つとして植田さんがカフェやってみるっていうのはどうですか?」 軽いノリで提案を受け入れ、月一回カフェをやってみることになりました。 そのヘルパーのツテでコーヒー屋さんを紹介してもらい、自宅でコーヒーを美味しく淹れるレクチャーも受けました。

先月(8/17)第一回目を開催しましたが、予想をはるかに上回り、用意したコーヒーは30分で完売しました。

「喫茶店で飲むより美味しい」だったり、「毎週やらないの?」がったり、ありがたい言葉をたくさんもらい、やってよかったと思いました。

今のところ毎月第3火曜日の午後、月一回のペースでやっていますが、ゆくゆくは回数を増やして行けたらと思っています。 利益を出すことが目的ではなく、安く美味しいコーヒーを飲んで一服してもらうことが目的なので、これからも構えすぎず頑張っていきたいと思います。

アイスコーヒーとアイスカフェ

京都市「脱施設化」のための働きかけ

鈴木良さんを講師にお招きして「脱施設化」勉強会を5月25日に行いました。京都において地域移行や施設入所者数削減という目標を実際に推進していくために、この勉強会に京都市施策推進協議会のメンバーや、地域移行に関心のある研究者の方にも参加していただきました。

勉強会後、研究者数名と話し合いをし、京都市の協力を得ながら施設入所待機者の実態調査を実施できないか検討を始めることにしました。

8月26日に京都市障害者施策推進協議会の議題の中に「地域移行に関する実態調査」の項目が入りました(ここ数回の推進協議会で「地域移行」も目標値などは議論のテーマだったが、現時点では今回の議題の内容は不明)。

7月2日、入所施設関係者と今後連携するために、京都市障害者施策審議会の委員・知福協関係者で入所施設を運営しておられる方と話し合いをしました。具体的に、地域移行できそうな入所者の地域移行を進めたい旨をお伝えし、協力をお願いしました。

筋ジス病棟以外の障害者入所施設へのアプローチ

JCILでは団体発足当初から施設に入所され公的な介助派遣制度を利用できない方々などに対して障害当事者と介助者の直接契約により外出等のサポートを行う「アテンダントシステム」を継続的に行ってきました。そのため、古くから施設入所者の方々とつながりがあるのですが、昨年からのコロナ禍により面会や外出などが行えない状況が続いています。

そこで、この「脱施設化プロジェクト」を機に筋ジス病棟の入所者以外の施設入所者とも再びつながりを再構築し、幅広く脱施設化に取り組んでいきたいと話し合っていました。その足掛かりとしてまずは、以前からつながりのある施設入所者の方々に向けたアンケート調査を実施しようとしています。

アンケート調査の内容としては、コロナ後のご自身の生活の様子や今お住まいの施設等のネット環境の有無、またオンライン面会やオンラインイベントを当団体で企画した場合、参加したいと思うか、どんなことがやりたいかといった設問を設けています。まずはこのアンケートにお答えいただき、施設におられる方々と再びつながるきっかけづくりができるよう、只今準備中です。

地域移行啓発PV作成

地道にではありますが、医療的ケアの必要度が特に高い重度障害者の地域移行を啓発するためのプロモーションビデオの作成に向けた取り組みを続けています。取材させてもらえそうな障害当事者や地域の介護派遣事業所や訪問看護ステーション等への趣旨説明や取材交渉も概ね完了しました。

このプロモーションビデオでは、宇多野病院からの地域移行だけでなく、地方での地域移行・自立生活にもスポットを当てたいと思っており、7月に徳島で自立生活をされている「CILとくしま」の内田さんにお話を伺いました。

「そもそも行政の理解がなくて24時間重度訪問介護の支給決定が下りず、弁護士を立てて交渉した」「支給決定が下りた後でも、そもそも重度訪問介護でヘルパーを派遣してくれる事業所が一つもなかった」などなど、内田さんが自立生活に至るまでの道のりにはとても大きなハードルが…。それでも地元で自立生活をしようと奮闘された結果、見事徳島の地で実現されました。

そんな貴重なお話も盛り込むことで、さまざまな状況にある方にメッセージをお届けできればと考えています。

筋ジス病棟からの地域移行にせよ、地方での自立生活の実現にせよ、本人の「やりたい!」という意志と周囲のサポート、適切な制度利用があれば実現できるということをこのプロジェクトを通して私たちも改めて実感しています。引き続き頑張ります!

今回の報告は以上です。引き続きプロジェクトメンバーみんなで頑張っていきます!

明日は、地域移行された当事者の藤田さんからのメッセージをご紹介します。お楽しみに!

(報告:JCIL 日本財団PTチーム)


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