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滋賀県での優生保護法被害者情報公開請求訴訟について

2022年01月27日 権利擁護

光さす緑

国はかつて強制的に、障害児が生まれないように、また、障害者が子どもを産まないように、優生保護法(1948~1996年)をつくりました。全国で行われている被害者による裁判では、今年2022年の2月と3月に大阪と東京で高等裁判所判決が出る見込みです。

この全国で行われている優生手術(強制不妊・断種)の被害者による訴訟とは別の裁判があります。

優生保護法が存在していた時代に滋賀県でどのような実態があったかを知る(実態解明の)ため、市民の立場で関連の文書を見ることを求めている裁判が現在、滋賀県において行われています。

村田常任委員から裁判報告が届きましたので紹介します。


滋賀県優生保護法被害者情報公開請求訴訟報告

京都では、当初、弁護団が優生保護法被害者から相談を受けて提訴を検討していましたが、当事者およびご家族の意向から提訴に至りませんでした。

有志メンバーでの支援活動は、京都新聞社が滋賀県における旧優生保護法被害者の実態を調べるため、2018年に滋賀県における旧優生保護法(1948~1996年)下での強制不妊手術関連の文書について公文書開示請求をおこない、一部開示とされた文書は、ほとんどが黒塗りにされていました。

そのため、同社は滋賀県情報公開条例に基づき不服審査請求を出し、その結果、滋賀県公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会(以下、審議会と略)にて2019年8月に被害者と保護義務者の名前と住所、審査を申請した医師の名前以外はおおよそ全面開示が妥当とする答申を行ったものの、滋賀県は答申に反して審議会が開示すべきとした449ヵ所中、349ヵ所を再び黒塗りにして開示したことを厳重に受けとめて、同社が滋賀県に対して旧優生保護法情報公開請求訴訟を提訴しました。

このことから、全国各地の訴訟とともに、京都に在住する旧優生保護法被害者の実態解明と今後同じ過ちが起きないようにするため、広く市民にこの事実を伝えて、滋賀県が情報を公開することにより、全国各地で行われた旧優生保護法下の強制不妊手術の真相解明へつなげたいという思いから裁判支援が始まりました。

この滋賀県への旧優生保護法被害者情報公開請求訴訟において、情報公開の必要性として重要なことは、この旧優生保護法は憲法13条が保障する個人の尊厳および個人が持っている身体機能(生殖にかかわる機能など)を保持する権利を根本的に否定するもので、憲法14条1項に書かれている平等原則に違反していること、この法律を国が定めて、各都道府県へ実施を求めていたことです。

その実態を解明するには、強制不妊手術の対象者が、どのような基準で決定されたのか、公的機関がどのような審査と判定を進めたのか、実施状況を現存する資料から解明するため、情報公開による調査が必要であることは明らかですが、滋賀県は必要な情報の開示に対して審議会が公開するべきと判断しても従わずに非公開とすることは違法ではない、また審議会の判断と違う判断になったことにも問題はないとして、あくまで否定的な見解を述べています。

これは他県の関連する旧優生保護法被害者情報の開示と比べても、大きく後退した姿勢です。

私たち支援に関わる有志は、この滋賀県の旧優生保護法被害者の情報が公開されることにより、全国各地の被害者の「知る権利」の保障と望まない強制不妊手術により、あるべき人生を失った被害者へ向き合い、謝罪と補償につながるよう、これからも支援活動の輪を広げて社会的関心の高さを伝える活動を続けてまいります。

新型コロナウィルス禍、傍聴を含めて規制を受けていますが、多くの方に傍聴および傍聴後の報告会へご参加くださいますよう、強くお願いいたします。

■次回期日:2022年3月15日(火)14時30分から 大津地裁本館101号法廷に於て

参考:各地の優生被害者による裁判の日程概要

(報告:DPI日本会議常任委員 村田惠子)


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