相模原市長に人権尊重のまちづくり条例制定への要望を行いました 「（仮称）相模原市人権尊重のまちづくり条例について（答申）」を踏まえた画期的な条例を！
７月18日（火）に外国人人権法連絡会とともに、本村賢太郎相模原市長に要望を行いました。相模原市では、本村市長の諮問を受けて今年３月に相模原市人権施策審議会が「（仮称）相模原市人権尊重のまちづくり条例の制定について（答申）」を出しています。
この答申には、以下５点の先進的で非常に重要な内容が盛り込まれています。ぜひともこれらを盛り込んだ条例を実現してほしいと思い、本村市長に直接要望に伺うことになりました。
①「津久井やまゆり園事件」をヘイトクライムと位置づけ、前文に盛り込むこと。
②不当な差別的言動（悪質なヘイトスピーチ等）を禁止し、秩序罰又は行政刑罰を科すこと。
③不当な差別的言動の対象に人種・民族・国籍だけでなく、障害も含めていること。 「人種、民族、国籍、障害、性的指向、性自認、出身を理由とする不当な差別的言動」
④差別事案が発生した場合、それが許されないものであるとの立場を市が明確にし、なくしていくために市長は速やかに「声明」を出す仕組みを設けること。
⑤救済の機能を持つ第三者機関として「相模原市人権委員会」を設置すること。 「被害者の申出等(第三者による申出及び職権を含む。)を契機として、救済機関(相模原市人権委員会)において関係者等への調査や調整、加害者への説示などができる仕組みを設けること」
いずれも重要な項目ですが、①と④と⑤について補足説明いたします。
昨年、障害者権利条約の日本の審査があり、権利委員会から日本政府に総括所見（勧告）が出されましたが、このなかでもパラグラフ9で「社会における優生思想及び非障害者優先主義により2016年に相模原市津久井やまゆり園で発生した殺傷事件に対して、包括的な対応がなされていないこと」が指摘されています。
答申では津久井やまゆり園事件をヘイトクライムと位置づけ、前文に盛り込むこととしており、津久井やまゆり園事件が起きた相模原市の条例だからこそ実現してほしい項目です（上記①）。
2016年7月に津久井やまゆり園事件が起きた時、私（佐藤）はアメリカの障害者の大会に参加するためにワシントンD.Cに滞在しておりました。事件が発生してすぐに、ホワイトハウスから私たち日本の障害者メンバーに連絡があり、この事件をどう考えているか聞きたいということで、ホワイトハウスに行きました。
お会いしたのは障害関係の担当者で（ご自身も障害当事者）、レポートをまとめてオバマ大統領（当時）にアドバイスする役割だということでした。私は障害関係の担当者（しかも障害当事者）が政府内にいて、すぐに情報を集めて大統領や政府関係者にアドバイスするというシステムがあることに非常に驚きました。日本にはそのような仕組みはありません。
アメリカ政府は人権を大切にしており、差別は絶対に許さないというメッセージを政府や行政が出すシステムがあり、日本にもこのような仕組みが必要だと感じました（④）。
条約はパリ原則に基づいた政府から独立した人権機関の設置を求めております。すでに世界では100カ国くらいであるそうですが、日本には未だにありません。先進国で存在しないのは、日本くらいだそうです。
先日、オーストラリアの障害関係の専門家がDPIに来られましたが、日本には独立した人権機関がないと言うと、ものすごく驚かれておりました。信じられないという驚きようでした。世界では当たり前のことなのです。相模原市が第三者機関を設置することは、この独立した人権機関を踏まえて考えたものであり、これまでの条例にはない画期的なものです。
この５つのポイントを盛り込めば、これまでにない非常に先進的な、国際的なレベルを踏まえた取り組みだと考えています。相模原市で条例ができることによって、他の自治体や国にも大きな影響を与えていきますので、大いに注目しています。本村市長からも前向きな発言があり、今年度中には条例を策定するということでした。ぜひとも、素晴らしい条例ができるように応援していきたいと思います。
佐藤 聡（事務局長）
▽共同要請資料 「(仮称)相模原市人権尊重のまちづくり条例の制定について(答申)」を正確に反映させた反差別条例の実現を求める共同要請（PDF）
▽（仮称）相模原市人権尊重のまちづくり条例の制定について（答申）（外部リンク：相模原市）（PDF）
▽毎日新聞の記事（外部リンク）
悪質ヘイトに罰則、条例化を 障害者団体などが相模原市長に要請
▽神奈川新聞の記事（外部リンク）
人権条例「答申反映を」 相模原市に障害者団体など要請
▽東京新聞の記事（外部リンク）
＜差別なき社会へ＞相模原市ヘイト規制 「先進的答申」反映の条例を 障害者団体など要請
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