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優生裁判熊本地裁傍聴報告 6月13日に原告二人の証人尋問、10月結審の予定

2022年06月16日 権利擁護

紫色のあじさい

植田洋平さん(ヒューマンネットワーク熊本、旧優生保護法被害者とともに歩む熊本)より、熊本県の優生保護法裁判の傍聴報告が届きました。以下、紹介します。


優生保護法下の強制不妊をめぐり国の責任を問う裁判の熊本地裁で、2022年6月13日(月)、原告2名への証人尋問が行われました。

原告の意見陳述書の内容を一つひとつ具体的に確認しながら進められました。原告側からの質問では、渡邊数美さん(77歳、男性)がどのような幼少期を過ごされていたのか、手術を受けるまでの経緯、自分の生殖機能が無くなったと知った時の心情や母親への思い、体調の変化、命を絶とうとした時のこと、現在の思い等を話されました。渡邊さんは当時の悔しさを思い出しながら涙を浮かべながらお話しをされました。

被告側からの質問は、「『手術を受ける前に血尿が出たことで病院を受診し、その後両睾丸を摘出された』とのことでしたが、血尿以外の症状はありましたか?」「手術後、血尿はでましたか?」など、睾丸の摘出が血尿の治療のための手術の可能性を探されているような質問が行われました。渡邊さんは「血尿以外の症状はありません。」「手術後、血尿は出ていません。」と回答されていました。

裁判官からの質問では、「意見陳述の中に、ニュースを見て自分と同じと思ったという話がありましたが、いつのニュースですか?」という問いがあり、「3~4年前の仙台地裁の裁判のニュースです」と答えられました。高等裁判所の判決で、訴えることが出来ることを知ってから除斥期間を定められたため、その判断材料にされるために質問されたのかもしれません。

二人目の原告の川中さん(仮名、75歳、女性)は原告側からの質問では、川中さんにとって障害があると思われる第一子はどのような存在だったか、第一子のことを2年間母親に話せなかった理由、夫や母親への第一子への冷たい対応、第二子の中絶を決めた時のこと、優生手術を医師から話された経緯、優生手術を受けることを決めた時のこと、手術を受けた後の思い、現在の思い等を話されました。

被告側からの質問では、中絶手術を受けることを決断することから、不妊手術を受けることまでの経緯を細かく時系列に並べ直すような質問が行われました。「第二子に障害がある可能性を医師から伝えられて中絶手術を受けることを決めたのか」「中絶手術を受けることを夫に相談したのはどのタイミングなのか」「不妊手術を勧められたタイミングは第二子に障害がある可能性を伝えられた時か、中絶手術を受けると医師に伝えた時か」「不妊手術のことは夫に相談したのか、相談したならいつのタイミング」「中絶手術をいつ受けるか決めてから何日で不妊手術を受けることを決めたのか」

とても細かい繰り返しの質問が多く川中さんも混乱されたようで、回答に困られていました。誰の意思で不妊手術を受けることを決めたのか、ということと医師から説明が行われているかということの確認をされているような質問でした。

裁判官からは渡邊さんと同様に、いつのニュースを見られたのかという質問が行われました。

次回期日は10月31日(月)14時00分~で、この日が結審となる予定です。

▽参考:優生保護法被害弁護団(外部リンク)


 

3月14日熊本地裁での優生裁判期日の報告(藤原久美子さんの意見陳述)

5月10日(火)12時30分から優生保護法問題の早期・全面解決を求める院内集会(オンライン)にぜひご参加ください

「旧優生保護法訴訟東京控訴審判決」に関するDPI日本会議声明


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