5月21日(金)「東京優生保護法裁判(東京)」報告集会に参加しました
2021年05月27日 権利擁護
(写真:横断幕を持ち、高裁前に立つ北さん、弁護団、支援者の皆さん)
2021年5月21日(金)15時から「東京優生保護法訴訟控訴審」第2回期日(第101号法廷)があり、裁判後にオンラインで報告集会が開催されました。藤原久美子DPI常任(DPI女性障害者ネットワーク代表)からの参加報告を以下に掲載します。
私は16時からの報告集会に、ZOOM参加しました。
冒頭、次回期日が10月4日(火)15時から行われるとの報告があり、今回が結審とはならなかったことに、胸をなでおろしました。
仙台から駆けつけた全国優生弁護団の新里弁護士からは、つい先日5月11日に行われた佐藤由美さん(仮名)、飯塚淳子さん(仮名)の高裁期日において、除斥期間に関する新たな主張をしたことが報告されました。
早稲田大学の山野目教授から出された主張によると、最高裁判所が違憲判決を出して6か月を経過してから除斥期間が発生するというもので、最高裁はこれまでも他の判決で、除斥期間を覆す判決も行ってきているとのことでした。
東京弁護団の佐藤暁子弁護士からは、今回期日において、以下の弁論をした報告がありました(メモによる趣旨です)。
佐藤暁子弁護士の弁論趣旨
- 国が補償しないことは違法であること、大臣や国会議員が、不作為により損害を補償する義務を怠ったこと。この法律を作ったことで、被害は手術の時だけでなく、子どもをもつことができなかった、被害を誰にも言えなかったことなどずっと続いているので、点ではなく線として考えるべきであること。国には、偏見・差別をなくすための施策を行う義務があったこと。また、金銭以外で賠償してはいけない、と法律には書いていない手術は本人に知らせずに行われたために、本人は知らないので、積極的に賠償するための法律をつくるべきだった、と主張した。
- 国側は、義務に対して、何をすべきかはっきりしていないと反論したが、謝罪や人々に偏見・差別をなくし、優生政策の影響をなくして状況を変えるために、ハンセン病の時のように、家族も含めて謝罪をすべき。正義や公平の観点から間違っている。
- 国際法では、手術は拷問であり、拷問等禁止条約は、補償を求めるために期限を設けるべきでないとしていて、国際的ルールとなっている。拷問である以上、苦しみは続くので、賠償義務に時間的な制限はない。
これまでも日本の裁判は、条約を参照してきたのだから、人権条約に違反していることを国が無視することはできない。 - 国は被害回復のための法律は必要ない、と主張しているが、憲法17条でも、国は被害者に賠償すべきとしていて、救済のための法律を作ることができる。
また、東京弁護団長の関哉弁護士からも、傍聴者は26名で、雨が降る中、入庁行動も10名以上集まったこと。また論点である「除斥期間20年が本件に適応されるのか?」ということに関して、ひどい被害であることをわかってもらうよう、意見書を準備していることなどが報告されました。
最後に原告の北三郎さん(仮名)からは、手術は、親がしたと思っていたから、裁判などできないでいたこと、2018年に仙台で裁判があって、初めて、国が受けさせたのだと知ったこと、満足いく被害回復はできておらず、泣き寝入りはできない、命の限り闘っていくとの力強い決意が語られました。
北さんの声を久しぶりに聴くことができました。でもいつまでも北さんが辛い被害の話ばかりするのではなく、早く「頑張ってきてよかった。報われた」といった声を聴きたいと思います。
参考(外部サイト):優生保護法被害弁護団
報告:藤原久美子(DPI常任、DPI女性障害者ネットワーク代表)