【旧優生保護法】兵庫で鈴木由美さん(脳性まひの女性)が第二次提訴
【写真】横断幕(「誰もが人間としての尊厳を守られる社会に 旧優生保護法による不妊・中絶手術 国は謝罪と補償を!」と書かれている)を掲げ、提訴行動する弁護団・支援者の皆さん
2月27日(水)、兵庫で旧優生保護法に対する第二次提訴がありました。
原告の女性は、提訴についての弁護士からの説明の時は、原告は仮名で紹介し、顔も公表しない予定でしたが、裁判所での提訴行動を終え、弁護団と報告集会のために弁護士会館に向かわれる途中で、「顔と実名を公表する」と決断されたそうです。
本名:鈴木由美さん(63才)は、12歳ぐらいの時に不妊手術を受け、手術による体調不良から30代くらいまでほぼ寝たきりの状態だったそうです。
由美さんの発言で、「子供が欲しかった。彼氏ができても自分は子供が産めないことを話さないといけないのがつらかった」、「手術による体調不良で20代30代という青春時代を棒に振った。(成人の日に)晴れ着を着て祝うだろうが、そんなこともできなかった」と話されていました。
由美さんはいつもおしゃれにしていて、年齢より若く見えるかたです。
記者会見で記者から「手術を受けてなくても子どもを産めたかどうかわからないですよね」といったニュアンスの投げかけがされた後、会場にいた同じ脳性まひを持つ女性(古井正代さん)が「私ら脳性まひ者が子どもを産むなんて思われてない。でも私は3人の子どもを産んだ。できないと決めつけないでほしい。」と毅然と発言されました。
また、支援者からの応援メッセージでは、由美さんに自立の手ほどきを受けた女性(石地かおるさん)が、「自立を考えている仲間と一緒に由美さんの家に行って、介助者を使って自由な生活を手に入れることを教えてもらった。当時彼氏さんも一緒にいて、パートナーと自立生活するイメージもできた」と話しました。
現在、兵庫では「優生保護法被害者と共に歩む兵庫の会」(歩む兵庫の会)の設立準備中ですが、そのメンバーの一人である、兵庫聴覚障害者協会の嘉田事務局長からは、「これまで兵庫では聴覚障害のカップルが提訴していて応援してきた。障害が違っても、障害種別を超えて支援していきたい」との発言がありました。
第一次提訴原告の高尾辰夫さん・奈美恵さん(二人とも仮名)夫婦も提訴行動から駆け付け、奈美恵さんが由美さんに頻繁に話しかける姿もみられたそうです。また辰夫さんはスピーチの中で由美さんに応援する、一緒に頑張りましょうと力強いメッセージを送られていました。
なお、弁護団からは第一次提訴との併合を裁判所に申し入れをしているそうです。
受理されれば3月22日(金)の第2回期日に鈴木由美さんの裁判も一緒におこなわれることになるかもしれません。
藤原久美子(DPI常任委員、神戸Beすけっと)
なお、鈴木由美さんの記者会見から、Facebookで 動画(3分弱)と下記の発言書き起こしを神戸市在住の吉田明彦さんが投稿されていますので、ご紹介します。
[書き起こし]
わたしが12歳から33歳のあいだの、すごく普通やったら青春時代っていうピカピカした時代もみなさんはあったと思いますよ、はたちになったら晴れ着着てというのもあったと思いますよ、でもわたしにはそれがなかったし、ほかのこういう手術された方もすごくつらい思いをしてるんです。
だからわたしはあえて怒るんじゃなくて、国に認めさせていただいて、こんな法律もう二度と作ってほしくないんですよ。だからこうして、名前も顔も出してこうしてみなさんの前で話させていただいているんです。今後も裏でそういうことがあるかもわからないので。
たった障害があるということで、障害を持ってるだけでなんでそういうことをされるのか、すごくわたしは憤りを覚えている。
だって、手術の場面が、いまだに病院に行かなきゃあかんときに、病院行きたくないっていうのが、やっぱりそのときの、怖い、ライトが浴びせられてっていうのが目の裏に焼き付けられているんですよ。
からだの傷が薄れても心の傷は絶対に薄れることはないから、それをみなさんに報道してほしい。心の傷は絶対、死ぬまで穴は埋められないんです。
以下、報道です。
<動画NEWS>
NHK 旧優生保護法で脳性まひ女性提訴
MBS 旧優生保護法の下で不妊手術強制 兵庫県の女性が提訴
サンテレビ 旧優生保護法巡る訴訟 神戸市内の女性が二次提訴
ABC 「心の傷は薄れない」旧優生保護法で提訴
読売テレビ 旧優生保護法巡り国を提訴へ 神戸市の女性
<記事NEWS>
読売テレビ 旧優生保護法で不妊手術 63歳女性が提訴
共同通信 脳性まひの女性が提訴、神戸 旧優生保護法で12歳に不妊手術
神戸新聞 12歳で強制不妊手術の女性「子どもほしかった」 国を提訴
朝日新聞 「12歳ごろに強制不妊手術」 神戸の女性が追加提訴