【報告】3月5日 旧優生保護法下における強制不妊手術に関するJDFフォーラム
2019年03月28日 権利擁護
JDF(日本障害フォーラム、DPI日本会議も参加しています)と全国優生保護法被害弁護団(以下、弁護団)の共催、優生手術に対する謝罪を求める会(以下、求める会)の協力により開催されました。集会にはまた多くの国会議員がかけつけました。
この間、約一年にわたり、優生保護法の被害者による訴訟が全国各地で立ち上がり、弁護団や求める会、またDPI女性障害者ネットワークらによる集会・学習会も重ねられてきました。
旧優生保護法下で行われた強制不妊手術・妊娠中絶は、わかっているだけでも83,965人。明らかになっていない人も含めればその数はもっと増える恐れがあります。これだけの人生が、人権が、踏みにじられてきたことに強い衝撃を受けざるをえませんでした。
日本国憲法第13条では「個人の尊重と公共の福祉」が謳われており、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあります。
また、2014年に批准された障害者権利条約では第17条に「すべての障害者は、他の者との平等を基礎として、その心身がそのままの状態で尊重される権利を有する。」と明記されています。
それにもかかわらず、障害を理由に国から「劣っている人」「弱い人」と決めつけられ、取り返しのつかない強制不妊手術、中には旧優生保護法さえ逸脱した残酷な行為(子宮へのコバルト照射など)の被害に遭われた人々の心身への傷の深さを考えると、非常につらい気持ちになります。
3月5日の会場の参議院会館講堂に集まったおよそ260名が参加者一同で、この怒りと悲しみを共有しました。
JDF副代表の藤井克徳さんの話から学んだことですが、旧優生保護法には前史があります。
「国民優生法」と呼ばれるもので、さらにそれにはナチスの行ったT4作戦という前史が存在しています。
残念ながら優生思想は連綿と、21世紀の今も続いています。
現在、全国では20名が裁判を起こしています。その勇気に心から敬意を表したいです。自分たちが訴えなければ、国の犯した過ちはただされることもなく、歴史の闇に葬られてしまいます。
やがて同じような過ちという名の刃が、今とこれからを生きる人々に襲いかかるかもしれません。
「私と同じような思いは、もう誰にもしてほしくない」。
原告の一人は声を時折詰まらせながらそう訴えました。
国を訴えるということは、とてつもなく大変なことで、こころない批判や誹謗中傷に遭う恐れもあります。
しかし、国は誤った判断をし、「優生保護法」を成立させ、施行し、およそ48年間に渡って日本社会に優生保護法を根付かせてきました。このことに、私たちは今こそ正面から向き合っていかなければいけません
(DPI事務局員 鷺原由佳)
追補 3月14日、優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟(超党派議連)総会が行われ、議盟と与党ワーキングチームが決定した一時金支給に関する新法案が4月にも国会に提出され、成立が目指されるとの見通しが一時金の額と共に示されました。同日夕刻、弁護団と求める会は共同で記者会見を行い、またJDFに参加している団体としてDPI日本会議の佐藤聡事務局長が同席しました(写真)。
▽補償金額発表に関する緊急共同記者会見(優生保護法被害弁護団ホームページ)
写真:記者会見の様子