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今年度の活動方針(ウェブ版)を新たに作成しました

2018年09月28日 お知らせ

いつもDPI日本会議の活動をご支援・応援頂きありがとうございます。

今年度(DPIは今年4月から来年3月まで)も残り半年となりましたが、今年度の活動方針について「どこから見ればいいかわかりづらい」というご意見を頂き、多くの方に見て頂けるよう、リンクを付けた形でホームページに掲載いたしました。

▽DPI日本会議の2018年度活動方針

(活動方針は、1.トップページのサイドバナーにあるDPIコンテンツ「1年間の活動方針」と、2.私たちの活動「1年間の活動方針はこちら」からもご覧頂けます)

来年度以降の活動方針についても同じ形で、今後お知らせしていきたいと思います。
また今後のリニューアルの参考にさせて頂きますので、DPIホームページのコンテンツについて何かご意見ございましたら、事務局までご連絡頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。

DPI日本会議事務局

2018年度活動方針 目次

活動分野(クリックするとその方針へ移動します)

1. 障害者権利条約の完全実施

(1)国内法整備等に対する取り組み
(2)障害者権利条約の実施に向けた取り組み

2.地域生活

(1)改正総合支援法施行をふまえた課題への取り組み
(2)障害者総合支援法モデルチェンジデザインプロジェクト(三菱財団助成事業)

3.交通・まちづくり

(1)バリアフリー法関連
(2)東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会
(3)交通機関への働きかけ
(4)バリアフリー障害当事者リーダー養成研修
(5)バリアフリー研修

4. 権利擁護

(1)障害者基本法
(2)障害者虐待防止法
(3)精神障害者の人権と地域生活の確立

5. 教育

(1)法令の改善等に向けた取り組み
(2)国際関連の取り組み
(3)地域での取り組みと関係団体との連携

6. 雇用・労働・所得保障

(1)雇用・労働
(2)障害者の所得保障の確立

7. 障害女性

8. 国際協力

(1)南アフリカでのプロジェクトの実施とアフリカ他地域への自立生活運動の推進の強化
(2)SDGs での障害の重要性への認識の強化
(3)国際レベルでの DPI 発展のための取り組み

9. 尊厳生

10. 優生保護法と優生思想

11. 欠格条項

12. 防災

13. 障害者文化芸術

14. 次世代育成


各事業、組織について

◯広報・啓発

◯普及・参画

1. 加盟団体への支援、ネットワーク強化に向けて
2. 講師派遣、点字印刷
3. DPI 障害者政策討論集会

◯権利擁護に関する事業

1. DPI 障害者権利擁護センターの体制強化
2. 関係機関との連携の強化
3. 差別や虐待実態の把握と新たな施策の基礎資料づくり

◯組織体制整備

1. 会員および支援者の増大にむけて
2. 事務局の体制整備について
3. 財政および予算執行について

◯部会とプロジェクト

1.部会について
2.プロジェクトについて

2018年度活動方針全文

1. 障害者権利条約の完全実施

2017 度に引き続いて障害者権利条約(以下、権利条約)批准後完全実施のための「制度改革第 2 ラウンド」の運動を展開する。2018 度は日本障害フォーラム(以下、JDF)やその他関係団体と協力し、国連障害者権利委員会(以下、権利委員会)に提出するパラレルレポートを完成させることが重要な課題である。

(1)国内法整備等に対する取り組み

今年度の主要目標は障害者基本法の改正であり、改正案の国会上程を実現するため最大限努力する。地域生活の権利やインクルーシブ教育の理念をさらに明確化し、障害女性、精神障害者の権利に関する条項の実現並びに、内閣府障害者政策委員会(以下、政策委員会)の強化を図るための改正を実現する。現在、権利条約の国内実施の監視は行政機関の審議体である政策委員会が障害者基本計画の実施状況を監視することを通じて行うとされており、司法府や立法府への監視を行うことができない。司法、立法、行政という三権の全般的な実施体制を確保するための法改正をめざす。

2019 年の障害者差別解消法の改正に向けた取り組みを行う。「そうだ、相談窓口を使ってみよう!」キャンペーンについて 2017 年度の実施における課題を精査し、強化する。これは、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、差別解消法)において紛争解決の仕組みが十分に機能しているのかを図るための相談窓口への申し立て運動であり、差別の定義や紛争解決の仕組みの検証などを行い、課題を整理する。
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、障害者虐待防止法)改正に向けた取り組みを本格的に進める。病院や学校・保育園、行政機関における虐待の通報義務化は大きな課題であり、通報義務化されている福祉施設などでの虐待も後を絶たない。防止や監視の仕組みが地域の行政機関に任せきりとなり、第三者機関などが介入できるしくみを持たないという限界があり、オンブズパーソン制度等、第三者(機関も含む)が介入できるしくみを提案していく。ピープルファーストなど虐待問題に取り組んできた他団体と協力・連携のもと、運動を展開し、加盟団体への呼びかけも進める。障害者基本法改正の目的を整理した資料を作成し、5 ヶ所の地域で地域の団体と連携してタウンミーティングを行う。
また、2017 年度に継続して、加盟団体やその他地元の障害者団体と協力しながら自治体における差別禁止条例づくりをさらに推進する。

(2)障害者権利条約の実施に向けた取り組み

障害者権利委員会による日本政府の最初の国家報告書に対する建設的対話(審査)が 2020 年春の会期(第 23 会期)で行われる予定である。それに先立って権利委員会の日本政府に対する事前質問事項が 2019 年の中旬に作成される。2018 年度はこの事前質問事項に向けたレポート作成に焦点を絞って活動を展開する。
2018 年 4 月から JDF パラレルレポート準備会が JDF パラレルレポート特別委員会(以下、特別委員会)に改編された。特別委員会は今年度中に国連障害者権利委員会に提出するパラレルレポートを完成させる。DPI 日本会議(以下、DPI)は特別委員会の事務局団体の一つとしてこの作業に積極的に関わり、DPI が権利委員会から日本政府に出す総括所見を想定した提言案(通称:DPI レコメンデーション)の内容がきちんとレポートに反映されるよう取り組んでいく。2018 年度末にはレポートの英訳を終え、まずは事前質問事項に入れ込むべき課題を整理して事前質問事項作成用のレポートを権利委員会に提出するための作業を行う。
また、JDF として作成に当たっては中央の団体だけではなく、3、4 ヶ所程度で公聴会という形で地域の障害者の意見を聞き、議論する機会を設ける。関連して 2018 年度末に開催される第 21 会期障害者権利委員会に傍聴団を派遣し、事前質問事項についてのワークショップや委員へのロビー活動に参加する。JDF のメンバーとしての参加となるが、JDF の条約関連の事務局団体として中心的に活動する。また、障害者権利委員会の委員である石川准 障害者政策委員会委員長や他国の障害者権利員や障害者団体などとの連携を深め、権利条約に関する活動を積極的に行う。

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2. 地域生活

2018 年度の報酬改定に併せて施行された総合支援法の改正への対応、並びに権利条約の「他の者(障害のない人)との平等」、「社会モデル」、「インクルーシブ社会の構築」の視点および権利条約第 19 条「自立した生活及び地域社会への包容」の一般的意見の視点からみて、障害者の地域生活支援について今後の課題を整理し取り組む。

(1)改正総合支援法施行をふまえた課題への取り組み

①重度訪問介護の入院中の利用可能な対象者の拡大および市町村の対応について「障害支援区分 4・5」の人で、入院中の利用が出来ず困った実例、市町村の誤った解釈により入院中の介助が制限された実例等を募集し、事例に基づき厚生労働省(以下、厚労省)と交渉する。(障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会による厚労省交渉を含む)

② 65 歳になった高齢障害者の介護保険適用問題について
共生型サービスの新設で、資格要件を緩和して重度訪問介護(以下、重訪)資格だけで介護保険の訪問介護を行えることになったが、運用は介護保険に従うため見守りはできず、急な変更への対応も困難であり、なんら問題の解決にはならない。重訪は、障害者特有の制度として認め、介護保険優先利用対象から明確に外すべきである。あわせて、介護保険併給者の国庫負担基準が激減する問題を早期に解消するための取り組みを行なう。

③重度訪問介護の対象拡大について
行動障害のない人(行動関連項目 10 点未満)がいまだ対象外となっていることについて、検討チームの設置などを求めるとともに、重訪の対象拡大による成果の普及啓発として、重度知的障害者の自立生活を追ったドキュメンタリー映画の活用を考える。

④総合支援法の対象から漏れ続ける人への対応について
障害者総合支援法(以下、総合支援法)の対象者の定義が制限列挙方式のため、一部の難病や難治性疾患の人などが支援を受けられずに取り残されている。総合支援法第 4 条の定義を障害者基本法の定義に改正し、申請すること自体を認めない(サービスにアクセスできない)現状を是正することを求める。

⑤重度訪問介護の更なるシームレス化について
「通勤や就労(経済活動にかかる外出)」、「通年かつ長期にわたる外出」、「社会通念上適当でない外出」は対象外とする省令は社会参加を妨げる社会的障壁になっているケースが多々ある。これは「他の者との平等」、「社会的障壁の除去に資する」といった権利条約やそれを受けた障害者基本法、総合支援法の規定からも問題があることから削除することを求める。それとともに、障害種別を超えた当事者が主体となった組織で検討する場を設けることを求める。

⑥地域生活支援促進事業となった大学等の修学支援について
通学も含む修学時のヘルパー利用が可能となる仕組みができたことは一歩前進だが、その運用の改善点や、今後の課題について事例を収集するなどの取り組みを行う。

(2)障害者総合支援法モデルチェンジデザインプロジェクト(三菱財団助成事業)

2018 年度は三菱財団の助成事業の 2 年目(最終年度)となる。1 年目の勉強会で学んだ時代背景と今後の動向を参考に、権利条約第 19 条の一般的意見を踏まえ、総合支援法の積み残し課題の是正も含めた、次の法改正に向けた提言を取りまとめ、タウンミーティングなどを開催し議論を深めていく。
厚労省が立ち上げた「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」では、障害、児童、高齢分野の縦割りを解消した全世代・全対象型の地域包括ケアシステムの構築を打ち出してきており、2018 年度から新設された共生型サービスは、介護保険とサービスの統合を視野に入れたものと考えられる。
介護保険との統合における厚労省の最大の目的は「介護保険料徴収年齢の引き下げ」であることは明白であり、これが実施されると、いわゆる 65 歳問題が保険料徴収年齢にまで広がることを意味する。
こうした問題に対して DPI としてどのように対応していくかなどについて、本プロジェクトの成果をふまえて、地域生活部会および企画委員会で論点整理を進めていく。

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3. 交通・まちづくり

(1)バリアフリー法関連

2006 年のバリアフリー法制定から 12 年ぶりに改正された。バリアフリー法は、評価されるべきところと同時に多くの課題が残された。このまま 2020 年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、オリパラ)を迎えることに大きな不安を抱くが、「社会的障壁の除去」が明記されたことにより社会モデルの考え方が盛り込まれた。また、障害の多様性を確保した構成員による定期的な評価会議が新設されたことは私たちが常に訴え続けてきたことであり、これらを根拠に必要なものを明確にしていく取り組みは様々な分野で続けていかなくてはならない。
市町村がバリアフリー方針を定めるマスタープラン制度が創設されたことにより、基本構想など地域での取り組みが確実に進められるよう働きかけていく。今後、定期的な見直しが行われることを見据え、バリアフリー部会として課題を整理しながら進めていく。

(2)東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会

IPC(国際パラリンピック委員会)は、今大会を契機に社会的発展を促しアクセシビリティの向上をレガシーとして残すことを目標に掲げている。東京都でも IPC の国際基準に準じた「Tokyo 2020 アクセシビリティ・ガイドライン(以下、AGL)」を策定して大会準備を進めている。しかし、既存の競技施設は建設されてからかなりの年月が経過しており、改修を行うにしても限界がある。また、競技会場までのアクセスには鉄道とバスが主に利用されると想定するが、障害者や高齢者はもとより海外からの来訪者も多く利用することから、多くの課題が残っている。これらを AGL に沿って改修するとともに、一過性のもので終わることのないよう、仮設対応ではなくレガシーになるよう継続して取り組む。
オリパラ開催時に必要になる宿泊施設の確保が大きな課題になっているが、バリアフリールームなど高齢者や障害者などが円滑に利用できるようにするため、部屋数の検討や設備について検討する「ホテル又は旅館の客室基準見直しに関する検討会」に 2017 度から引き続き出席する。

(3)交通機関への働きかけ

鉄道におけるホームからの転落事故が頻発したことをきっかけに、ホーム柵の設置が急速に進んでいる。しかし、具体的な設置計画が立てられているのは都市部に限られ、ますます地域間格差が広がっている。また、ホーム柵の設置と同時にかさ上げを求めているが優先順位が下げられている実態がある。段差や隙間の解消策を提案するとともに部分かさ上げも視野に入れて取り組んでいきたい。
駅の無人化は地方のみならず近年では都市部でも進んでおり、全国的な問題として認識しなければならない。エレベーターやホーム柵の設置のみならず、人員配置を求めるとともに、最低限必要なバリアフリー設備が整備されるよう働きかける。
航空機への搭乗にかかる手続きにおいて、車いすやバッテリーの扱いなどを繰り返し確認されることにより、他の客の手続きより時間がかかる問題を改善されるよう働きかける。また、空港から乗り継ぐ交通機関として、国際空港など大規模な空港に鉄道が整備されていないことが車いす使用者の移動に制限をかけている。鉄道の整備はもとよりリフト付き空港リムジンの運航や UD タクシーの普及及び利用を可能にしていく取り組みを進める。

(4)バリアフリー障害当事者リーダー養成研修

2017 年度は静岡で開催される予定で 12 回目となる。静岡での開催は初めてだが日本各地において起きている問題を把握するとともに、地域で活動する当事者の発掘及びスキルアップにつなげていきたい。2020 年のオリパラ開催に向けスタッフに対する研修の講師を担う人材が求められているため、そのような講師になれる人材の育成にも取り組む。

(5)バリアフリー研修

「ユニバーサルデザイン 2020 関係閣僚会議」において「ユニバーサルデザイン 2020 行動計画」が決定したことにより、交通、観光分野における接遇の向上と職員研修の充実等が推進される。コミュニケーションを促進する e ラーニング(情報技術を用いて行う学習)の作成や人事院公務員研修、汎用性のある心のバリアフリー研修、エコモ財団が行う交通サポートマネージャー研修など、様々な取り組みが進められる中、当事者講師の発掘・養成とスキルアップに努め、各委員会の構成員として継続的に参加する。

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4. 権利擁護

(1)障害者基本法

実定法である差別解消法、障害者虐待防止法、総合支援法等に我々の考えを盛り込ませるためには、重要施策の方向性等の理念を定める障害者基本法をどれだけ権利条約に沿った形で改正できるかが必要不可欠であり、今後に大きな影響を与えることになる。

しかも2016 年 4 月施行の差別解消法の 3 年後見直し規定もあることから、秋の臨時国会(10 月)へ法案提出を目標とし、急がなければならない。そのためには、全国から改正の必要性の機運を高めることが最も重要である。

具体的には、8 月から 10 月にかけて、愛知、大阪、熊本、北海道、東京の計 5 ヶ所でタウンミーティングを開催する。また、加盟団体を中心に学習会の開催、地元選出国会議員へのロビーイング、地方議会からの意見書提出等、地域の実情に即した幅広い活動を行っていく。この地域での活動内容をホームページに掲載することで、さらなる各地域での取り組みを盛り上げていく。

また DPI 基本法改正試案も同時にさらなるバージョンアップおよび各地域における学習会、タウンミーティングで使用できるよう、わかりやすくまとめた障害者基本法改正テキスト「権利条約の時代にふさわしい基本法を!」(仮称)を作成する。

(2)障害者虐待防止法

2012 年 10 月障害者虐待防止法が施行されたにもかかわらず、養護者(家族、親族、同居人等)・障害者福祉従事者等・使用者を合わせた相談、対応件数は、7,466 件(平成 28 年度厚生労働省「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に 基づく対応状況等に関する調査結果報告書)と非常に高い数値となっている。

しかも、この法律の大きな問題点は、学校、保育所等および医療機関等は、通報義務の対象になっていない。
そのため、法的根拠にもとづく取り組みもなされないため、重大な人権侵害が後を絶たない。また前述した障害者基本法同様、附則に 3 年後見直し規定があるものの、改正の動きは見られない。そこで、所管庁である厚労省との話し合い、関係国会議員との懇談等を粘り強く続けていく。

(3)精神障害者の人権と地域生活の確立

「Nothing About Us Without Us」(私たち抜きで、私たちのことを決めないで)という「障害者権利条約」の理念を遵守することこそ、精神障害者の人権と地域生活の確立の基盤である。隔離収容主義を根幹とした日本の精神医療福祉は、多くの精神障害者を精神科病院に隔離収容し、地域社会にあっては排除するという過酷な人生被害を精神障害者に与えてきた。

日本国憲法や権利条約に違反している。措置入院・医療保護入院という強制入院は廃止しなくてはならない。本人の同意なくしての治療や支援も本来は許されない。同意が取れないまま、治療や支援を行わなければならない時は、一層の配慮と謙虚さが治療者・支援者に求められる。

DPI は当事者団体として関係者と協働して、日本国憲法や障害者権利条約を遵守し、精神科特例も強制医療も身体拘束も社会的入院も欠格条項を、廃止すべく運動していくことこそ急務である。また寝屋川事件や三田市事件など何十年と座敷牢のようなところに閉じこめられ、寝屋川事件の被害者女性は死亡している。このような精神障害者に対する無知・無理解からくる社会的排除をなくす活動も展開しなければならない。
そして精神障害者の希望や意見を尊重して、精神障害者が人権を確立し、地域自立生活を形成するために必要な社会制度や福祉サービスの整備に取り組む。

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5. 教育

障害のある子どももない子どもも地域の幼稚園・保育園、小・中学校の通常学級、高校で共に学び育つインクルーシブ教育の仕組みを作り、実践を推し進めるための活動を行う。引き続き、地域の学校を原則とする就学先決定の制度づくり、教育の場における差別解消法上の不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の獲得の推進、障害に基づくハラスメントの防止といった課題に対する、政府や国政レベルでの活動とともに、地域の活動についても積極的に支援を行う。

またインクルーシブな避難所の設置など災害時にすべての人が居住する地域で避難することができる体制づくりのためにも、すべての学校のバリアフリー化を推進する。

(1)法令の改善等に向けた取り組み

日本の障害児教育の方向性とそれに基づく制度は、権利条約の謳うインクルーシブ教育とは大きく乖離している。私たちはこの現実に対して強い危機感を持ちつつ取り組みを進めていく。文部科学省(以下、文科省)関連においては、初等中等教育局関連について、第24条に関する国家報告書について精査し、各国に対する権利委員会からの総括所見を参考にしつつ、結果として分離別学を促進している特別支援教育の問題点をまとめていく。

そしてDPI障害者政策討論集会(以下、政策論)やその他のイベントなどを通して文科省に対して権利条約に即したインクルーシブ教育の推進を働きかけていく。

2018年4月より「学習指導要領等の改正」が行われた。普通学級にいる障害児童・生徒についての言及がされているが、取り出しによる分離が進まないよう、しっかりと声を挙げていく。また2018年度より小学校において道徳が特別教科化されたが、その点への問題意識を持ちつつ、教材の中で障害者が「医学モデル」の視点のもと扱われていることが多いことを踏まえ、他団体と連携しながら実態把握と是正等に向けた取り組みを進めていきたい。

高等教育局関連では「大学修学支援事業」が実施されたが、地域生活部会と連携し、各地の運用状況把握や制度改善の検討を行う。さらに、パラリンピックを見据えて「特別支援教育の生涯学習化」という方針も打ち出されているが、これについても関係団体と連携しながら注視していく。

また2018年度も引き続き、政策委員会をはじめとする各種委員会等において、教育分野の内容が検討される場合は、インクルーシブ教育が実現されるよう意見提起等を行う。

(2)国際関連の取り組み

権利条約第24条が求めるインクルーシブ教育について、一般的意見第4号について、DPI日本会議全国集会(以下、全国集会)など様々な機会をとらえその内容を周知し、国内法制度や実態との整合性について研究を行うとともに、パラレルレポート提出に向けて、内容等の検討を進める。高等教育については、無償化の取り組みを継続的に行う。

(3)地域での取り組みと関係団体との連携

差別解消法施行後の就学先の決定や合理的配慮の提供の実態を、東京インクルーシブ教育プロジェクトや教育合宿参加者の団体、および関係団体などと協力しながら把握し、法制度を変革する取り組みに結びつける。教職員への障害者の採用・人事配置については、「障害のある教職員ネットワーク」と引き続き連携をとりながら運動を展開していく。

また2015年度より引き続き「公立学校における職員対応要領整備状況調査」を実施して、各地の公立学校等での合理的配慮の実施状況を注視していく。

2016年度から開始した「インクルーシブ推進教育フォーラム」を、今年度も他団体と協力しつつ開催し取り組みとしての定着を図る。また今年度は「インクルーシブまるごと実現プロジェクト」の企画と連携を図り、学齢期の教育場面だけでなく放課後・就学前を含めた生活全体の課題について、取りあげていきたい。

学校への保護者等の付き添いをなくしていくための取り組みは、2018年度も公教育計画学会・組合とも連携し、地域の学校で学ぶ医療的ケアが必要な児童・生徒への看護師配置の予算拡充への働きかけや、さらには普通学級における合理的配慮提供の充実化を図っていく。

また若手障害者がインクルーシブ教育への理解を深め、運動の主体となるための取り組みとして、今年度も教育合宿を行う。これについては今までの参加者が教育課題に継続的な関わりを持ち、深められるようなものにもなるよう、内容を検討する。

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6. 雇用・労働・所得保障

(1)雇用・労働

DPI は、全ての障害者の雇用における平等性の担保と労働者性を確保することを目的及び基本的指針としてきており、今後もこの課題の改善に向けた取り組みを進める。
そして、障害者雇用については、募集、採用試験、採用後、退職および退職後等、障害者があらゆる場面において障害のない人と同等の機会、処遇を確保するとともに、障害に基づく差別の禁止と障害に応じて必要とする合理的配慮を確保することを基本とする。

一般就労とされている分野では、当面は、2016 年 4 月から施行されている改正障害者雇用促進法に基づき 2015 年 3 月に策定されている「障害者差別禁止指針」および「合理的配慮指針」の実効性(当事者の視点に立ちチェックする機能)を確保するための取り組みを進める。

福祉的就労とされている分野については、2018 年 4 月から実施される法制度改正及び報酬改定の影響の検証と運動課題を整理し、具体的な取り組みを確認・実施する。第三の働き方とされる社会的企業および社会的雇用など、障害者の新たな働く場としての課題の検証と制度としての整備等を進める。

なお、障害者が働くためには障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が提言した第三の働き方とされる社会的雇用等の多様な働き方や障害者への人的支援・仕事の確保・賃金補填のあり方等についての検証も必要である。そして、障害者が自らの力を発揮し、働くことができる職場づくりの実践は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである。

多様な働き方を可能とすることを目標として国が進めている「働き方改革」を障害者の視点から進めることが必要である。

以上を基本として、障害者の雇用促進と労働権の確立および働く場の確保に向けて、引き続き関係する障害者団体及び日本労働組合総連合会(連合)、全日本自治団体労働組合(自治労)、日本教職員組合(日教組)等の労働組合との連携を深めるとともに 2018 年の 2 月27 日に設立された「超党派 障害者安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟(略称:インクルーシブ雇用議連)」との関係を構築し以下の取り組みを進める。

①障害者雇用の促進に向けたフォーラム等を継続的に開催。
②職場における合理的配慮を確保するために、人的サポート、環境整備等、実効性を高める。
③制度等の改正で就労移行支援、就労継続支援 A 型・B 型への影響と問題点を整理し、福祉の対象から労働者としての位置づけの確立と本人の意向に基づく一般就労への移行等を進める。
④社会的企業及び社会的雇用・就労等、多様な働き方のあり方と制度化に向けた議論の深化。
⑤国が進める「働き方改革」及び一般就労の働き方については、障害当事者の現状と課題を踏まえた視点から検証と実践。
⑥厚労省への要請書の提出と意見交換を実施。また、分野が広範になるため課題等の絞り込み。

(2)障害者の所得保障の確立

権利条約第 19 条の「自立した生活及び地域社会への包容」及び第 28 条の「相当な生活水準及び社会的な保障」に基づき、障害者の地域生活保障や施設や病院での長期生活を余儀なくされてきた障害者が地域移行を促進するために、以下の取り組みを関係団体と連携して進める。

①年金制度の見直し
a.年金制度のあり方は、年金制度の抜本改革時に総合的な観点から見直しを求める。
b.障害基礎年金を、障害者の基本的な生活を賄うことが可能な水準に引き上げる。具体的な水準としては、生活保護の基本生計費に障害者加算を合わせた額とする。
c.無年金状態にあるすべての障害者について年金制度見直しによる解消を図る。また、年
金制度見直しまでは、「特定障害者特別給付金制度」の改善と対象の拡大等の対応を求める。

②その他の制度の見直し
a.特別障害者手当を自立生活手当とする等の見直しと基準を引き上げるとともに、すべての障害者を対象とする。
b.障害者の地域での住まいを確保するための住宅手当の創設を求める。
c.生活保護制度及び生活保護基準等の改悪には、反貧困ネットワークをはじめとする関係団体と協力して反対運動を行っていく。

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7. 障害女性

障害女性部会は、今年度も協働する女性組織の DPI 女性ネットと連携し、障害女性の複合差別の実態と課題を広く知らせながら政策提言を行い国内外に働きかけていく。特に強制不妊手術問題、出生前診断、母体保護法については、優生思想の払拭の一環として精力的に活動していく。
障害女性のエンパワメントを推進し、次世代育成にもつながる取り組みを行なう。

また以下の項目について政策提言および活動を行う。

(1)強制不妊手術の被害者救済では、「優生手術に対する謝罪を求める会」、その他団体と連携して実態が速やかに解明されるよう働きかけて謝罪と補償の実現に向けて取り組む。

(2)新型出生前診断では新たな「命の選別」となる優生思想としての問題を提言し、拡大阻止に向けて、関係団体と連携し取り組む。

(3)国の施策・各自治体の条例に障害女性の項目が盛り込まれるよう、提言・傍聴などを行なっていく。

(4)APDPOUnited(DPI アジア太平洋連帯)女性委員会におけるアジアの障害女性の連帯について、韓国 DPI と連携しながら進める。あわせて国際的な障害女性のネットワークの構築と情報交換および運動を強化する。

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8. 国際協力

2017 年度より全米障害者自立生活センター協議会(NCIL)との連携や南アフリカ政府との連携など、従来のアジア太平洋の枠を超えて強化されてきた。会員団体においても国際協力の機会も増え、それらを踏まえて以下の分野を活動の中心として事業を展開していく。

(1)南アフリカでのプロジェクトの実施とアフリカ他地域への自立生活運動の推進の強化

南アフリカでの JICA 草の根事業「アクセシブルなまちづくりを通した障害者自立生活センターの能力構築」では、カウンターパート代表の突然の死去により今まで育成してきたIL センター職員の運営責任が重くなってくる。彼らをさらに支援するかたちで、南アフリカ国内で知名度が上がってきた自立生活センターが国内の他地域での設立のモデルとなるよう残り 1 年で強化を図る。モデルづくりは、アフリカの他の国との障害当事者団体との協力連携が自立生活センターを軸に発展する布石としたい。
JICA の課題別研修 「アフリカ地域障害者のエンパワメントを通じた自立生活促進」は、実施予算の減少で研修生や研修日程が削減されるが、その質は維持するように努める。研修最後のタイでのフォローアップは、タイの自立生活センターの支援を仰ぐだけでなく、彼らのエンパワメントの機会ともなるウイン・ウインのプログラムとしていく。

(2)SDGs での障害の重要性への認識の強化

障害分野での持続可能な開発目標(以下、SDGs)の普及、および政府や市民社会団体での SDGs での障害の重要性の認識が強化されるように努める。DPI 内ではその意義や内容の周知に努めて、政府の SDGs アクション・プラン2018 の不十分な内容が 2019 年にも継承されないように意見を言っていく。

市民社会団体のネットワークの中では、DPI 日本会議が障害当事者として SDGs に関する意見を発信していく機会が増えたので、この機を逃すことなく発言を強化していく。発言の場では LGBT や難民、女性などの問題と合わせて障害が取り上げられるので、彼らマイノリティ団体とも協力して特に人権の視点で SDGs の達成を訴えていく。

(3)国際レベルでの DPI 発展のための取り組み

2011 年の第 8 回 DPI 世界会議で世界議長に選ばれてから長期にわたり規約を外れた形態の世界評議会を率いてきたインドのジャビッド・アビディが逝去した。従来のメンバーから成る DPI が呼びかけていた統一が達成されないまま、混乱の中に取り残された途上国の障害者団体がいる。世界評議会に代表を送っている日本は、彼らも巻き込んでの再建の一翼を担っていく。
SDGs や権利条約に関心が向くことで、アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)への関心がうすれている。アジア太平洋での DPI の活動を小ブロックを中心に活性化し、アジア太平洋障害者の十年が障害者の運動に利するように努めていく。

9. 尊厳生

本人が不治かつ末期とされる「終末期」医療についての対応について予め自分の希望を記しておくリビング・ウィルやエンディングノートの作成が自治体その他の「終活」セミナー等を通じ、推進されつつある。DPI ではこうした地域の動きを掴み参画することを各地の会員に呼びかけると共に、本人が前もって延命措置を行わないよう書く「尊厳死のためのリビング・ウィル」ではなく DPI 加盟団体の ALS/MND サポートセンターさくら会などが推奨している「意思の表現や自署が難しい時のための宣言書」(尊厳生のためのリビング・ウィル)を広めていく。

経済の合理性が重視されているために、完治しない者や重度障害者の生存が否定される優生思想が再びはびこりつつあり、施設や家庭で職員や家族による障害者の殺人事件や虐待事件が近年頻発し始めたことの背景にもこれが挙げられる。一方で優生保護法による優生手術の被害者が救済を求め訴訟を行っている。障害者の生存・生殖を脅かす施策・法律の動きに注視しつつ、重度障害者の生きる権利を保障していけるよう運動を進めていく。

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10. 優生保護法と優生思想

女性部会・尊厳生部会・権利擁護部会を中心に「優生手術に対する謝罪を求める会」やDPI 女性ネットと連携して、被害者に対して謝罪と補償がなされるよう働きかけを行う。

2018 年 1 月の全国初の告訴を受けて被害者が声を挙げつつあるが、実態調査や救済が限定的なものにならないよう、全国にある DPI 加盟団体にも協力を要請し、地元自治体の実態調査を進めるよう地方議会への働きかけなど行い、声を上げにくい状況にある人たちに寄り添って支援を行っていく。

特にこの法律を背景に施行された県民運動のあった多くの自治体においては、地元団体の活動を呼びかけ、集会等を行う団体に協力するなど、活動に参画していく。政府は 2019 年度、救済立法策定を目指すとの方針を示しているが、立法を急ぐあまりに実態解明が疎かになったり、限定的な救済にならないよう、その動きを注視し提言等行う。救済に向けた動きを止めないよう、大規模な院内集会や、地域での市民集会の開催を主催・共催する。同時に、国内だけでなく 2020 年に予定されている権利条約日本審査に向けパラレルレポートを提出し、その他の国連機関にも随時情報を発信して協力を要請していく。「不良な子孫」とされて約 50 年も続いた法律の根底にある優生思想は、母体保護法に改正された現在も今なお続いており、根強く残る障害者差別撤廃に取り組んでいく。

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11. 欠格条項

「成年後見欠格見直し法案」の審議を見定め、政省令を含む内容を注視し、的確な対応を行う。同法案は成年後見に関わる欠格条項を全廃する内容であり、一日も早い権利回復が求められる。一方、同法案が「心身の故障」欠格条項全面化の内容を同時にもつことについては、濫用を強く懸念し政省令や運用を継続して監視していく。

現在、成年後見に関わる欠格条項の他にも障害を理由とした欠格条項が多数残されており、欠格条項の全廃は、権利条約批准国の名に恥じないためにも急務である。国際的な潮流は後見制度のような「代理決定」から「自己決定支援」への転換であり、後見制度自体の見直しも大きな課題として取り組む。

資格試験や免許申請における合理的配慮提供のために、権利条約や差別解消法を有力なツールとして、必要な配慮を権利として確実に獲得していくための法整備を求めていく。「欠格条項の撤廃」については一層の「障害者欠格条項をなくす会」との連携が求められる。取り組みを活性化し、より多くの人に興味関心を持ってもらうためにも活動分野紹介ページ「欠格条項をなくす」(註)の積極的な更新を目指すとともに、メーリングリスト上での情報共有や必要な場合の拡散等にも努める。

(註)DPI ホームページに独立した活動分野紹介ページ「欠格条項をなくす」を設けている。

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12. 防災

2017 年度までの日本財団助成事業等を通じて得られた成果をもとに、2018 年度は、被災地で活動している支援団体とも連携しながら政府や地方自治体に対して、避難所のバリアフリー化や仮設住宅のユニバーサルデザイン化など、防災に関わる政策提言を引き続き行っていく。
また、障害者救援本部マニュアルウェブ版をホームページ上に公開する。(公開済)

13. 障害者文化芸術

2018 年度より DPI では、障害者の文化芸術活動に関し、キリン福祉財団の助成事業として 3 年間にわたり、「ソーシャル・インクルージョンの視点に基づく障害者文化芸術」プロジェクトを行う。

今年度は年に三回程度講師を招いて研究会を行い、現在の障害者の文化芸術活動について現状や課題の確認と今後の在り方を検討する。並行して、バリアフリー映画上映会+シンポジウムを 3 ヶ所で開催する。上映する映画については盲ろう者の生活を描いた「もうろうを生きる」、弱視のカメラマンの姿を描いた「光」を予定しているが、上映映画については柔軟に選択をする。

上記事業の推進とも関連し、全国の 27 の関係団体で構成する「2020 年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク」(障害者文化芸術推進ネット)との連携をはかっていく。このネットワークの副代表の一人を尾上浩二副議長が担っている。このネットワークは「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」を成立させ、2020 年のオリパラに向けた障害者の文化芸術活動を全国規模で展開することが目的である。DPI としても障害者文化芸術推進ネットと連携を図りながらプロジェクトを展開する。

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14. 次世代育成

DPI では、2018 年度も、故・三澤了元議長の意思を受け、2014 年に設立した三澤了基金を通じて、若い障害当事者の「やりたいこと」を支援し、研修参加、イベント実施等の活動の支援を行っていく。

また、2017 年度から政策提言能力のある若手障害当事者育成を目的として始まった政策プロジェクトを引き続き実施し、講義や合宿に加えて、ヒアリングや検討会への参加、部会メンバー等の形で、DPI の行う政策提言活動への参加を促していく。

また、今後は、政策プロジェクト参加メンバー主導のプロジェクトを立案する等、メンバーによる取り組みを推進する。

そのほか、「ADA27 LEAD ON! YOUTH PROJECT」の参加メンバーについても、さまざまな機会を通じて、引き続き若手障害者のネットワーク強化を図っていく。さらに、DPI の理事の構成メンバーが、性別・障害種別・世代などの多様なメンバーで構成されるよう、特別常任の規定を変更する等、定款の改正を行っていく。

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広報・啓発事業

各情報発信媒体を活用し、障害者に関する課題の周知、DPI の活動など、2017 年度以上に積極的に情報発信を行っていく。また DPI の活動について、より多くの方に関心を持ってもらえるよう、できるだけわかりやすい表現を使い情報発信するよう努める。ホームページのトップページにバナー広告を掲載できるようになり、新たに広告収入を得ることができる仕組みを構築した。上記取り組みを進め HP の情報媒体価値を高め、バナー広告の新規獲得を目指す。

隔月紙「われら自身の声」については、内容をより充実させるためにホームページでは伝えきれない、より深堀りした知識や内容の濃い情報の提供を行う媒体と位置付け、定期的な発行を行う。

メールマガジンは「DPI 活動日記」の発行を継続し、さらに広い読者層の獲得のための新企画も検討していく。

広報・啓発事業全体としては、「わかりやすく」をモットーに、ウェブ媒体では広く浅く、紙媒体ではより詳細な情報を発信できるように事務局体制を整える。

2016 年度に無期休刊した季刊誌の特集記事に代わる1テーマ・ブックレット(小冊子)の年 1 回程度発行見込みについて、持続的に販売できる形式をめざし引き続き検討する。

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普及・参画

1. 加盟団体への支援、ネットワーク強化に向けて

加盟団体とともにさまざまな事業に取り組む。2018 年度は障害者基本法改正の機運を高めるために、加盟団体と共に全国 5 カ所程度で地域フォーラムを実施したい。2017 年度からは政策提言をできる人材の育成を目指し、新たな取り組みとして政策プロジェクトを 2年間のプログラムで実施している。加盟団体の若手障害者スタッフを受講生に迎え、Skypeでの定期的学習会を実施し、実際に DPI の政策提言案なども一緒に作成する。さらに、各地で取り組まれている条例づくりへの支援、各種講師の派遣も実施する。これらの取り組みを通して、ネットワークを強化し、さらなる運動の展開を図りたい。

2. 講師派遣、点字印刷

引き続き、各地の障害者団体が主催する学習会や集会に対し、権利条約や障害者制度改革および差別解消法・差別禁止条例、総合支援法等をテーマとした講師派遣を積極的に行う。また、点字印刷物の作成については、依頼に対し柔軟に応じ、視覚障害者への情報保障を担う。また、関係団体・個人への広報活動も積極的に行う。

3. DPI 障害者政策討論集会

第 7 回政策論は、12 月 1 日(土)、2 日(日)に戸山サンライズで開催する。本集会はDPI としての政策方針と活動の検証を行う場として、重要な機会となっている。権利条約の完全実施にむけ、今後より一層の取り組みを進めていかなければならない。そのため、地域での自立生活、インクルーシブ教育、成年後見制度、精神医療のあり方など、権利条約に照らして日本の現行制度を検証する。

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権利擁護に関する事業

知的障害者、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者、慢性疾患・難病患者の相談が長期・継続化し、身体障害者の相談も専門的な知識が必要となってきており、組織内外の研修を通じて相談員の資質や知識の向上を図るとともに、更なる人員配置も必要とする。

また、地方からの相談対応は電話や電子メールが主になるため、どうしても相談者と言葉のやり取りのみに終始し、問題解決の困難性をもたらしている。このため、地方の障害当事者が運営する相談機関との連携の強化が引き続き必要である。
こうした状況を踏まえ、2018 年度の方針として下記の諸点をあげる。

1. DPI 障害者権利擁護センターの体制強化

相談員相互の情報共有を密に図るため、組織内研修の定期的に行う。多様な立場から運営アドバイザーを迎え、特に総務、労務管理について体制の強化を図る。

2. 関係機関との連携の強化

DPI 常任委員会への報告等を充実するとともに、全国各地の障害当事者が運営する各種センターや運動団体との連携を深め、「障害者欠格条項をなくす会」との関係も更に強化を図る。また、各種人権擁護機関・団体との関係も強化する。

3. 差別や虐待実態の把握と新たな施策の基礎資料づくり

障害者差別解消法が施行された 2016 年より受けた相談について、差別や虐待に関わる内容の分析を、これまでより更に深化して行う。また、既存の福祉サービスでは対象にならず、社会的に排除されている障害者への相談強化に取り組み、構造的な差別を明らかにし、新たな制度・政策の資料を作成する。

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組織体制整備

1. 会員および支援者の増大にむけて

各情報発信媒体を積極的に活用し、会員および支援者だけでなく、これまで DPI を知らなかった方とつながり、活動を広く知っていただくよう努める。
また、常任委員及び事務局員の名刺に DPI ホームページの QR コードを入れ、ホームページへアクセスしやすい環境を整備し、DPI の活動へ興味を持ってくださる方を増やせるように努め、寄付や支援に繋げる。引き続き加盟団体のない地域における正会員、賛助会員を獲得できるよう努める。

2. 事務局の体制整備について

DPI の役割、ならびに求められる業務内容の複雑・多岐化に対応すべく、事務局内の体制を見直す。翻訳・点訳・事務局運営等におけるボランティアの確保など、引き続き事務局体制および環境整備等を行う。

3. 財政および予算執行について

加盟団体や関係団体を中心に財政支援の呼びかけ、会員の確保を積極的に行い、DPI の運動の周知および安定的な財源確保に努める。
2014 年 3 月に取得した新認定 NPO 法人および NPO 法人会計基準を活用し、より公正な組織運営をめざす。同時に、NPO 政策連絡会議をはじめ認定 NPO 法人制度の改正や寄付税制拡充のための運動に参加し、認定 NPO 法人としての社会的信用の獲得をめざす。

さらに、今年度は認定 NPO 法人の更新があるため、申請に関する準備をしっかり行ない、認定 NPO 法人格を継続できるよう努める。

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部会とプロジェクト

1.部会について

2014 年度からテーマ別に 8 つの部会(地域生活、バリアフリー、権利擁護、教育、雇用労働・所得保障・生活保護、障害女性、国際、尊厳生)を設けて取り組んできた。2017 年度には DPI 基本法改正試案の作成、インクルーシブ教育推進フォーラムの開催、障害者と障害のない人がともに働くためのフォーラム 2018(精神・発達障害者しごとサポート養成講座)等開催し好評を博した。2018 年度はさらなる部会の活性化をめざす。部会ごとのメンバーを拡充し、部会ごとにセミナーなどを企画し、発表の場を作っていきたい。

2.プロジェクトについて

重点的な課題についてはプロジェクトを立ち上げて取り組む。
① オリパラプロジェクト
オリパラのバリアフリー整備に対する提言書の作成と働きかけに取り組む。
② 障害者総合支援法モデルチェンジデザインプロジェクト(各活動方針 地域生活 参照)
③ 政策プロジェクト
政策立案できる若手障害当事者の育成を目指し、2017 年 9 月にスタート。全国の 15 人の障害当事者が毎月 Skype で学習会を受講している。2 年間のコースで今年度後半は、実際に企画立案やヒアリング資料や提言書等の作成も行う。

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